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SNS運営側が暴走した炎上騒動

Wedge 9/4(日) 12:10配信

 「ゴルスタってゴルバチョフ・スターリンの略なんじゃないの?」。そんなことがささやかれた8月後半。中高生限定SNSアプリ「ゴルスタ」が、その厳しすぎる運営方針から炎上した。ネット上に残る運営者の発言は、独裁国家を思わせるものだったことが話題になっている。

反省文提出に「警察に通知」

 「(運営者のメールアドレス)まで反省文を送信してください」「あなたはゴルスタの円滑な運営を妨害しました。『威力業務妨害』として警察に通知する準備を進めています」……。

 こんなツイートを行っていた中高生専用アプリ「ゴルスタ」。ユーザーが規約違反をしていたときだけではなく、運営に批判的な発言をしていただけでアカウントを停止し、ユーザーに反省文を遅らせることもあったようだ。

 一部のユーザーの間では、アカウント停止が解除されるような「反省文の書き方」まで共有されていた。これが、「故意ではなくミスで規約違反をしてしまった場合でも言い訳せずとにかく謝る」「とにかく“運営さん”に感謝の言葉を入れる」などというもので、「まるで独裁国家のよう」と指摘されていた。

 さらに炎上の原因となったのは、8月24日にゴルスタの公式ツイッターアカウントが「元ユーザー」の個人情報と思われる内容をツイートしたため。ユーザー名とともに、居住している都道府県と本名と思われる内容を入れて、「警察に通報します」とつぶやいた。これが個人情報の漏洩だとして瞬く間に拡散。ここから、以前から一部では指摘されていたおかしな運営状況が次々と広く知られることとなった。

 現在、アプリはダウンロードができず、運営会社スプリックスのサイトにはアクセスできない。ツイッターの公式アカウントも消えている。

狭いコミュニティーの中でできあがる支配装置

 ゴルスタは本来「ゴールスタート」の略らしいが、冒頭でも紹介した通り、「ゴルスタはゴルバチョフ・スターリンの略なのでは?」とツッコミが入るほど“独裁的”な運営方法。さらに、公式アカウントの幼稚にも見える監督方法から、「運営も中高生なのでは?」とすら揶揄されていた。

 運営会社のスプリックスは、学習塾の経営など教育関連の事業を行っていたという。子どもの監督方法についてはノウハウがあったのだろうか。26日に同社副社長が読売新聞の取材に対し、「当社のミスでした。深夜でもあり、担当者がヒートアップしてしまったためです。深くお詫びいたします」と回答したというが、個人情報をつぶやいてしまったことだけではなく、「反省文提出」システムや、「警察に通知する準備を進めています」といった脅しのようなツイートについて、社内では把握されていなかったのかが謎だ。

 そもそも運営側にとってユーザーは「お客様」のはずなのだが、ゴルスタの場合はまるで支配関係があるかのように見える。確かに、SNSの使い方に慣れなかったり、子どもらしい羽目の外し方をしてしまったりするユーザーもいたのだろう。最初は保護者のような気持ちでユーザーを「指導」していた運営側が、次第に「権力の行使」に歯止めがつかなくなっていったのかもしれない。

 SNSであっても洒落にならない権力の暴走だったが、実際に全国の学校や塾、部活動では(さらには会社でも)、これと似たことが起こらないとは限らない。狭い環境、コミュニティーの中での集団行動は、支配装置として機能しやすい。夏休みの終わりに見る悪夢のような一件だった。

網尾歩 (ライター)

最終更新:9/4(日) 12:10

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