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BOYS AND MEN「YAMATO☆Dancing」、楽曲に隠された「面白さ」を分析

リアルサウンド 9/4(日) 16:10配信

【参考:2016年8月22日~2016年8月28日のCDシングル週間ランキング(2016年9月5日付・ORICON STYLE)】(http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2016-09-05/)

 今週のシングルランキングは、1位にKis-My-Ft2『Sha la la☆Summer Time』、2位にBOYS AND MEN『YAMATO☆Dancing』、3位にAquors『ユメ語るよりユメ歌おう』という並びとなった。

 この週のオリコンチャートで注目を集めたのは、名古屋発の10人組男性グループ・BOYS AND MEN(通称・ボイメン)とKis-My-Ft2の“一騎打ち”とも言えるランキング争いだった。発売初日のオリコンデイリーランキングではキスマイの14.7万枚を上回り、ボイメンが16.7万枚で1位を記録。しかし、その後にネット上でキスマイのファンによる購買運動が盛り上がったこともあり、結果としてキスマイが週間1位を死守した形となった。

 この「チャート一刀両断!」コラムでもレジーさんが指摘している通り(http://realsound.jp/2016/08/post-8956.html)、今の時代の「CDが売れる理由(=CDを買う理由)」は、かなり特異な形に変わってきている。特にシングルに関してはそれが鮮明になっている。「『応援』の気持ちが明確なモチベーションになっていて、少しでもファンの声や要望を世間に(そして当事者に)伝えるためのツールとしてCDの購入が使われている」と書かれている通り、単に「音源を購入する」という行為とは、いつの間にか別のものになってきている。

 特に今回は、ボイメンにとってはメジャーデビュー曲であり、自身が主演する映画『BOYS AND MEN~One For All, All For One』の主題歌である。一方、キスマイにとってはデビュー5周年を迎えたタイミングである。双方のファンの熱意はかなりのものだったのではないだろうか。

 というわけで。筆者は「状況分析だけじゃなく、きちんと楽曲を読み解く」という信条を持ってこのコラム連載を担当しているので、ここからはBOYS AND MEN「YAMATO☆Dancing」について分析していこう。

 東海地方出身・在住のメンバーで構成されたボーイズグループのBOYS AND MEN。もちろん売りは「名古屋発」ということだ。名古屋テレビで行われたオーディションをきっかけに2010年に結成し、地道な活動を続けてきた。

 男性アイドルグループのシーンにおいてはジャニーズ系のグループの人気が圧倒的だが、東京・関西に比べて名古屋はジャニーズ空白地帯である。そこを狙ったグループ戦略なのだろう。

 おそらくボイメンの代表曲の一つになるだろう「YAMATO☆Dancing」も、徹頭徹尾「ジャニーズのサウンドメイキング」を研究したようなサウンドになっている。テイストは和風ディスコ。曲はサビから始まる。和楽器が鳴り響き、「YAMATO☆Dancing」と「大和男子」と「この魂」で韻を踏む。シンセホーンのオブリガードも非常に「らしい」フレーズだ。もちろん、忍者や少年隊の歴史を紐解いてもわかるとおり、「和」と「ディスコ」の組み合わせはジャニーズの原点だ。

 そして、Aメロのポイントはベースラインにある。イントロに比べて音数を減らし「デン、デン、デン」と中央で鳴るベースに耳がいくような設計になっている。そしてここで、あえてとてもチープな音色が選ばれている。この「安さ」が効いている。デビューのタイミングでは、あえて「安い」シンセベースの音色を用いて親しみやすさを演出する。それはジャニーズWESTの制作陣が「ええじゃないか」で用いたテクニックだ。

 さらにそのベースラインが導く形でブリッジの「でら調子いいわ! でら調子いいわ!」に繋がる。もちろん方言で「名古屋発」をアピールするセリフだ。ちなみに、このセリフは、曲が進むと「でら気合入れてくぜ」「でら本気だから! でら本気だから!」「でらイケててごめんね!」と展開していく。筆者は関東出身なので名古屋弁の「でら」の使い方としてどこまで正確なのかわからないのだが(読者の方で名古屋出身の方いたらツイッターなどのコメントで教えてほしい)、とにかくインパクトは十分だ。

 歌詞もかなりユニークだ。ここに色濃くヤンキーテイストを盛り込んでいるのがボイメンの個性と言っていい。歌詞のテーマは「男の生き様」と「仲間意識」。さらに「ただ我武者羅に食らいつけ(One chance)」「街の噂を独り占め(Fever)」「三倍速で駆け抜けろ(ウェイウェーイ)」などの素敵フレーズが並ぶ。一目見たら頭からっぽに見えるが、ちゃんと七五調になっているのが詞作上のテクニックだ。

 特に「三倍速で駆け抜けろ(ウェイウェーイ)」は、いろんなJ-POPの歌詞がある中でも、トップレベルでネジの外れたフレーズだと思う。

 きっとボイメンのファン以外も、聴いてみればこの曲の「面白さ」を味わえるのではないだろうか。

柴 那典

最終更新:9/4(日) 16:10

リアルサウンド