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13年以上経過したクルマの重課税の見直しは?「自動車文化を考える議員連盟」の設立趣旨を聞いてきた

@DIME 9/4(日) 18:10配信

 5月に本連載で取り上げた「自動車文化を考える議員連盟」の呼びかけ人の一人である務台俊介衆議院議員を先日、議員会館に訪ねた。設立総会で訊ねることができなかった質問を改めて向けてみた。

 まず、議員連盟の目的だ。設立趣意書は、次のように結ばれている。

「我々は、歴史的・文化的に価値のある経年車(ノスタルジックカー・クラシックカー・ヴィンテージカー)の保存や地方誘客への活用の促進その他我が国の自動車文化の振興に寄与する方策を幅広く考えるため『自動車文化を考える議員連盟』を設立する」

 そして、その“経年車”についての問題が、登録から13年を経たクルマへの「重課」と呼ばれる自動車税の割り増しが続いていることだ。これは、そうしたクルマを所有している人たちから評判が悪い。趣意書でも、次のように触れられている。

「ノスタルジックカーを良好な状態で保有し続ける上で所有者の負担となっているのが、保管・メインテナンスやパーツの調達コストに加えて、古い自動車に課せられる自動車税などの課税である。例えば、自動車税におけるグリーン化特例に関しては、軽課について対象を重点化した上で軽減を強化する見直しが行われてきた。その反面、新車新規登録から13年を経過したガソリン車などについては、車体課税が重課されており、平成28年税制改正においてもこの措置が延長されることになった。

 たしかに、ノスタルジックカーは『経年車』であり、数値上の環境性能は良くないかもしれない。しかし、実際にはノスタルジックカーは移動・輸送の手段としてほとんど運転されることはなく、その意味で実質的に環境負荷は軽微である。自動車登録からの経年数や型式による環境性能課税を機械的に貫いて、このような自動車にまで重税を課すことは、ノスタルジックカーの持つ文化的・歴史的価値を軽視するものである。古い物を大切にする心を持ちつつ、我が国の自動車産業の歴史に敬意を払うためにも、我が国の自動車文化を再考し、振興することが必要である」

まったくその通りである。国会議員有志が、1台を長く乗り続けている人と同じ思いを抱き議員連盟を設立したことに僕は率直に驚きと喜びを覚えた。ならば、議員連盟の最初の活動目標は、13年以上を経過したクルマへの重課税を見直すことなのか? まず、それを確認したかった。

「趣意書に事実認識は書きましたが、そこまでは踏み込んではいません」

 務台議員は椅子から立ち上がって、書面を覗き込んで確認した。そうなのである。登録から13年を経過したクルマへの重課税は問題視しているものの、やはりそれを是正することが議員連盟の目的ではないというのだ。では、何が目的なのか?

「重課税が間違っていたという認識はありません。環境性能課税を導入した時点で、買い替えの促進を図るという政策目標に沿ったものでしたから」

 政治家は国民や官僚などの様々な声や意向を汲み取らなければならない。どうやら、こちらの期待が大き過ぎ、急過ぎだったのかもしれない。しかし、買い替えによって廃車や、新車を製造することによる環境負荷は小さくはない。

 最近のクルマは格段に壊れなくなったし、壊れずに気に入って乗り続けているクルマを新車の販売を伸ばすために買い替えを促すというのは、どう考えても“文化的”とは言えない。どちらが大切なのだろうか?

「議論が足りなかったと思うんですよ。当時、税制を定めるに当たって、おそらくは自動車業界の声は聞いたけれども、ユーザーの声を良く聞かなかったのではないでしょうか」

 政治家に声が届きやすい自動車業界の意向の方が強く働いて、ユーザーの声が蔑ろにされていたのだったならば、それでは困るのである。では、いったいこの議員連盟の活動の目標は何なのか?

「僕のブログには、『こんな金持ちの道楽(クラシックカーの保存)よりも、もっと大切なTPPや憲法などに関する』『もっと重要なことを行なえ。そんなことのために国会議員として送り出したわけではない』といったコメントも寄せられました」

 どんなキッカケでこの議員連盟を立ち上げることにしたのか?

「地元の松本(長野県)で、クラシックカーの修理工場を経営している人から頼まれたのが始まりです。私自身はクルマに対して特に思い入れはないのですよ。これまでも、必要なクルマはずっと中古車を購入してきましたから。でも、議連を作って議論を積み重ねていけば、良い解決策ができるのではないかと考えたのです」

 務台議員の口から、なかなか議員連盟設立の目的について答えてもらえないので、こちらから差し向けてみた。

---“自動車の税制全般を自動車文化の視点を入れながら広い視点で考える”という了解でよろしいのでしょうか?

「そうそうそう。重課税を見直すかどうかというよりも、歴史的なクルマの優遇税制などから始めたらどうだろうか、ということでやっています」

 文化は、人間のさまざまな社会活動の成果として生まれてくる。文化を作ろうとして文化は作れない。作れたとしても、貧弱なものにしかならない。自動車文化を振興するためには、まず国民が充実した自動車生活を送れる社会を構築することの方が先決だ。

「自動車文化を考える議員連盟」には、速やかに欧米のような歴史的なクルマの免税制度を整備し、その後に、自動車を取り巻く税制の見直しに取り組んでもらうことを期待したい。歴史的なクルマの免税制度と、13年を経過したクルマへの重課税に代表される、自動車税制全体の見直しを峻別して議論する必要があるだろう。

 クルマを所有しているだけで発生する自動車税などは時代遅れも甚だしく、不合理である。燃料税として一本化するというドラスティックな改革も有効だろう。自動車税を廃止した分をガソリンや軽油、さらに段階的には電気や水素などに課税すれば、走行距離と環境負荷に応じた合理的な課税が行えるはずである。引き続き、この議員連盟の活動を注視し続けていきたい。

文/金子浩久

@DIME編集部

最終更新:9/4(日) 18:10

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