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ハリルジャパンの構造的欠陥。サイド攻撃の機能不全は必然だった

SOCCER DIGEST Web 9/4(日) 9:00配信

ハリルジャパンの攻撃は、場当たり的な個人の即興に頼っている。

 1-2で敗れたUAE戦では、過去の日本代表戦で何度か見られた光景が繰り返された。ボールポゼッションで圧倒的優位に立ちながらも、守備を固める相手からなかなかゴールを奪えない。次第に手詰まりになり、明確な意図なく上げたクロスを撥ね返され続け、そのまま試合終了の笛が鳴ってしまう。UAE戦では、そうした”悪い時の日本代表”の姿を露呈した。
 
 終始高い位置を取り、サイド攻撃の主役になった右SBの酒井宏は言う。
 
「(修正点は)最後のフィニッシュのところ。今日も多かったのでね。僕も含めて最後の部分の質は(問題が)あったと思います」
 
 相変わらずの課題には閉口するほかないが、興味深かったのは次の言葉だ。
 
「でも、あれだけ引かれると、クロスも難しいですね。全然(中央に)空いているところがないので。もっと仕掛けても、良かったかなっていうのもあります」
 
 日本代表は、なんとか同点にしようと左右のSB(酒井宏と酒井高)を思い切って高い位置に張らせてサイドから打開を狙った。しかし、先の酒井宏の言葉にもあるように、クロスを供給する側にはターゲットが見えていなかったのだ。

 それも当然だろう。相手がべったりとゴール前に張り付いているにも関わらず、日本はクロスのターゲットを増やさなかった。ハリルホジッチ監督の選手交代は、岡崎→浅野だ。クロス攻撃が増えるあの局面であれば、交代で下げるべきなのは香川ではなかったか。
 
 本誌解説者の金田氏もこう言っている。
 
「後半は相手の足が止まったから、W酒井(酒井宏、酒井高)の攻撃回数はより増えた。クロスの精度は低かったけど、だとすれば、浅野と交代させるのは岡崎でなく香川だった。何度もクロスを入れるのであれば、1トップではペナルティエリア内の人数が足りない。香川は中央の狭いエリアで足もとにボールを受けて、コンビネーションで崩すタイプ。ヘディングで相手CBに勝てるとは思えない。だとすれば、ヘディングの強い岡崎と浅野の2トップにするべき。クロスのコースをふたつ作ってあげれば良かったんだ」
 
 ハリルホジッチ監督には、香川がヘッドでゴールを決めたキリンカップ・ブルガリア戦の残像が残っていたかもしれない。しかし、決して空中戦が得意とは言えない香川の本質を考えれば、明らかにシチュエーションを見誤った交代だ。
 
 加えて、サイド攻撃に変化を付けられなかったのも問題と言える。サイドにボールが入ってもコンビネーションがなく、SBはほとんどの場面で単独で縦に突破を仕掛け、クロスを供給していた。つまり、中央の守備をまったく揺さぶれないまま、「空いているところがない」(酒井宏)ゴール前にクロスを入れていたのである。これでは、撥ね返されるのも当然だろう。

 単調にクロスを入れるのではなく、サイドチェンジを繰り返して相手の陣形を崩すなり、中央へのカットインで相手をひきつけてスペースを作るなり、崩しのアイデアが欠けていたのは残念と言うほかない。

 あるいは、宇佐美がエリア内で倒された場面のような仕掛けを増やせば、チャンスは広がったかもしれない。しかし、今のハリルジャパンには、それを徹底させるチーム内の規律がなく、場当たり的な個人の即興に頼っているように見える。
 
 UAEほどではないにせよ、9月6日に対戦するタイもゴール前を固めてくるだろう。まさかの黒星スタートとなったUAE戦と同じミスを犯すようだと、取り返しのつかないことになる。

最終更新:9/4(日) 13:47

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