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醍醐国連事務総長の“百発百中”シーン誕生秘話とは? 『ゴジラ』撮影裏話を宝田明と水野久美が明かす!

おたぽる 9/5(月) 20:00配信

 今、『シン・ゴジラ』で盛り上がる“ゴジラ”。映画の公開を記念して、『ゴジラvsモスラ』でラストバトルの舞台であり、その戦いで破壊された、横浜みなとみらい21のシンボル・横浜ランドマークタワー内にあるランドマークホールで、ゴジラの世界観を体感できる「大ゴジラ特撮王国 YOKOHAMA」が開催されている。

 今回は8月28日に行われた、数多くのゴジラ映画でおなじみの俳優・宝田明と女優・水野久美のスペシャルトークショーの模様をお届けする!

■“百発百中”の名シーンはこうして生まれた

 トークショーでは、宝田明と水野久美が共演した3作品『怪獣大戦争』(1965年)、『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966年)、『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)について、撮影の裏話が語られた。

 ハリウッド俳優のニック・アダムスを招いた『怪獣大戦争』では、宝田明が「ハリウッドのスターが来るということで、緊張しましたけど、大体同じくらいの年齢で、若いせいもあって、『明、いい女性を紹介しろ』って言われ、あちこち連れて行きました。とにかくナイスガイでしたよ」と、ニックの素顔を紹介。特に印象的だったのは、「そのころ、ミュージカルをやっていて、コール・ポーターの『キス・ミー・ケイト』(1966年)の準備に入ると話したら、彼が撮影を終えて帰国して10日くらい後に、あの当時、我々が手に入らなかったボーカルスコアを『絶対に成功してくれ、グッドラック』とメッセージを書いて送ってくれました」と、ニックとのエピソードを明かした。

 一方で、地球を滅ぼすために地球人を誘惑する「X星人」・波川を演じた水野は、劇中ではニック演じる科学者のグレンを好きになるという設定だったが、実際では逆にニックから猛アタックをされていたという。ニックは妻子を連れて来日していたにもかかわらず、「かなりすごかったですよ。毎日、毎晩電話が来ました。外国の方って、“この人”と思ったら、ものをくださるでしょ。それで、エリザベスアーデンとか、ブランドものの化粧品を送ってくださるの」と水野。ちなみに、水野は『怪獣大戦争』の前に、『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965年)でもニックと共演をしている。

「だから、私もお家にご招待して、お食事を作ってあげたりと、いろいろやったのが、ちょっといけなかったのかなと思います。でも、そのときフィアンセがおりましたので、ちゃんとはっきり言ったんですよ。『私には婚約者がいるから、あなたとはいいお友だちでいましょうね』って。もうそれでわかったみたいでしたよ。でも、そこまではいいんですよ。(撮影中に一旦帰国して、)その次にいらしたとき、ニックさんは違う女優さんにアタックされたんです!」(水野)

――そんな好色だったニックのことを、宝田はアメリカでインタビューを受けるとき、「horny」(あのスケベ野郎)と呼んでいるそうだ。

 続く、『怪獣大戦争』の翌年に公開された『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』では、インファント島の原住民を演じた水野の当時の苦労が明かされた。「高橋紀子さんが演じる役だったのですが、撮影にインするときに盲腸になって。それで急きょ、プロデューサーの田中友幸さんからお電話をいただいて、次の日すぐに撮影に行ったんです。台詞も何もその場で覚えて言わなくてはならなくて……」と、オファーされたときも大変だったそうだが、それ以上に、大変だったことがあったという。

「(演じる役が南海の)原住民なので、(褐色の肌のように見せるため)ドーランを塗るんですよ。そうすると、今みたいによい品質のものがなかったから、3時間経ったら落とさないと皮膚呼吸ができなくなって大変だからと、3時間経つと全部シャワーでドーランを落としちゃうんですよ」と、当時の苦労を明かした。だから、水野にとっての思い出は、とにかく「塗って落として、また塗って……」ということしかないとのことだ。

 ゴジラシリーズの最終作として作られた『ゴジラ FINAL WARS』は、宝田が醍醐国連事務総長を、水野が地球防衛軍の司令官・波川玲子を演じた作品だ。物語では、2人はX星人に操られてしまうのだが、水野いわく演じる際は「絶対に瞬きしないでしゃべってくださいと言われ、カメラがアップになる中、瞬きしないで台詞を言わなければならなかった」という。すると、「(対面している)主演の松岡さん(TOKIO・松岡昌宏)が気持ち悪がっちゃったんですよ。そりゃあ、全部台詞を言いながら、じーっと見ていたら、気持ち悪いですよね。でも、そういう場面になると、役が乗り移っちゃうみたいなんです。自分がX星人になったみたいで」と水野。

 なお、X星人になっている波川が撃たれて倒れるシーンも、「後ろにひっくり返って死ぬように言われたのですが、X星人だから、そのまままっすぐ動かないで、目も動かさないで開いたまま、死んでくれと言われました」という。しかし、「それでもやったら、一発OKだったので、やっぱり好きなんでしょうね。そういうの」とのことだ。

 一方で、宝田は、X星人のマザーシップから脱出する際、X星人の光線銃を持ちながら「これでも昔は百発百中と言われた男だ」と言う印象深い台詞についての秘話を明かした。「監督の北村龍平さんから、そのシーンになって、『宝田さん、俺の腕は百発百中だと言ってください』って言われたんです。確かに、“百発百中”って言ったよね。でも、実は“百発百中”じゃなくて、『俺の銃は錆びている』と言おうとしたんです」と宝田。宝田は、1965年に『100発100中』という映画に出演している。監督な粋な計らいが、ファンを沸かす名シーンを生んだようだ。

 トークショーの最後には、観客からの質問もあった。「特撮映画に取り組み始めたころ、現在のようにここまで特撮映画が流行ると思っていたか?」という質問には、「想像もできませんでした」という水野に対し、宝田は「『ゴジラ』(1954年)の台本をいただいたとき、『当たるかどうかわからないが、当たったらシリーズ化していきたい。でも根底に流れているのは、広島、長崎に次いで、第五福竜丸も被爆し、3回放射能の被害に遭っているということ。これを世界に訴えられるのは、東宝だ』と言われたので、キワモノのようではなかったですね。そういう大きな主張があったから」と、ゴジラのテーマ性の強さを訴えた。

「『怪獣大戦争』の宣材写真で、『おそ松くん』に登場するイヤミの「シェー」のポーズをする写真が残っているが、それは当時の宣伝担当からポーズをしてくれと頼まれたのか?」【編注:『怪獣大戦争』では、ゴジラが当時流行っていた「シェー」のポーズをするシーンがある】という質問に対しては、お願いされてやったとのことだが、「あれをやることは、いささかひんしゅくを買いましたよね。どうですか、ゴジラがあれをやるの。『甘ったれるな』と言いたいところもありますよね。海外でもよく『そういうのをやるのは、マンガチックじゃないですか』と聞かれますが、それはまったくおっしゃる通りですよ」と宝田。一方、水野は「本当のことを言うと、とっても嫌だったんですよ。恥ずかしいじゃないですか。でも、それでもやっぱり仕事ですものね」と明かし、会場の笑いを誘った。
(取材・文/桜井飛鳥)

最終更新:9/5(月) 20:00

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