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スマホで遠くの名医が診てくれる時代がやって来た

JBpress 9/5(月) 6:00配信

 少し前の話になりますが、2015年8月10日に厚生労働省は、医師と患者を情報通信機器でつないで行う診療、いわゆる「遠隔診療」の解釈に関する新たな通達を発表しました。

 通達の内容は、「患者側の要請に基づき、患者側の利点を十分に勘案した上で、直接の対面診療と組み合わせて行われるときは、遠隔診療でも差し支えない。直接の対面診療を行った上で遠隔診療を行わなければならないものではない」というものでした。

 これを受けて2016年度に入ってからいくつかの遠隔診療システムが発表され、実際に使われ始めています。代表的な例としては以下のようなシステムがあります。

 ・MRT社の「pocket doctor」(医師への健康医療相談が可能)

 ・MEDIPLANET社の「first call」

 ・MEDLEY社の「CLINICS」(かかりつけ医へのオンライン通院が可能)

 遠隔診療が普及すれば、パソコンないしはスマホで、どこからでも名医やかかりつけ医に診てもらうことが可能になります。

 遠隔診療は、専門診療を広範囲に提供することにより既存の医療提供体制と概念を大きく変える可能性があります。様々な課題を克服して普及することを、大いに期待したいと思います。

■ 医療の質が担保可能なケースとは

 遠隔診療を導入する際に一番の課題とされるのは、医療の質をどう担保するかということです。

 それには、まず「遠隔診療で可能なこと」と「不可能なこと」の整理から始める必要があります。

 遠隔診療で通常の問診診察を行うことは可能です。また皮膚科などでは、スマホを症状の部位にかざすことで視診(見て診察すること)も可能でしょう。

 一方、遠隔診療で不可能なのは、聴診と触診になります。胸の音を聴診器で聞いたり、お腹の痛い部位を触ったりする診察はできません。また、喉の奥の腫れを見る喉頭ファイバーや、痔の腫れ具合などを観察する肛門鏡などの検査も不可能です。このような検査を伴う診察が必要な場合には、直接医療機関への受診が必要ということになります。

 こう考えると、遠隔診療を行うべきでないのは、問診や視診だけではなく聴診や触診、ないしは器具を用いた検査が必要な場合です。

 ですから、問診と視診のみで診察が完了するのならば、通院診療と遠隔診療を組み合わせた診療は医療の質を担保できると考えられます。

■ 革新的医療技術が登場すると常に起きるコストの問題

 次に超えなければならないのが、コストの課題です。

 これまでも革新的な医療技術が出現した場合、自費と保険診療のコストのジレンマによって普及が阻まれるという事態がしばしば起こってきました。

 その一例として挙げられるのが、CT大腸内視鏡検査(CT撮影により大腸を検査する技術)です(参考「オバマ大統領はなぜ内視鏡ではなくCTで大腸検査を受けたのか?」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36004)。

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最終更新:9/5(月) 6:00

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