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[ARとVR]は何が違う?――第2のポケノミクスとは?

HARBOR BUSINESS Online 9/5(月) 9:10配信

「ポケモンGO」の大ヒットで、現実とバーチャルが重なる技術が一気に身近になった。世界をガラリと変えるかもしれないこの技術に便乗して、儲ける方法を専門家に聞いた

◆第2のポケノミクスの可能性を探る

 スマホをかざすと液晶画面に映し出される目の前の風景に、突然実在するはずのないキャラクターが現れる――。

 現実の世界に別のデジタル情報を重ね合わせる技術はAR(拡張現実)と呼ばれる。ARを駆使したスマホゲーム「ポケモンGO」は7月のリリースと同時に大旋風を巻き起こし、日本の株式市場でも関連銘柄が軒並み急騰する“ポケノミクス”とも称された。

 現実にデジタル情報をプラスするARに対し、人工的に新しい世界を作り上げるのがVR(バーチャルリアリティ、仮想現実)だ。テーマ的にはどちらも一巡した感はあるが、10月13日にVRの技術を活用したソニーのゲーム機「プレイステーションVR」(以下PSVR)が発売されるのを機に市場には人気再燃の兆しがある。では、実際にどちらが狙い目なのか。まずは両者の特徴から見ていこう。

◆現実を重ねるAR、ゼロから生み出すVR

「ARとVR。2つの技術が一挙に身近になった’16年は、AR/VR元年ともいわれています。アメリカではすでにフェイスブックやマイクロソフトなど世界的な企業も参入しています」

 そう解説するのは、フィスコリサーチアナリストの飯村真由氏だ。

「どちらもゲームや映像の印象が強いですが、将来的には医療サービスほか、あらゆる産業に拡大しうる技術です。例えば、自宅にいながらスタジアムのような臨場感でスポーツ観戦ができるサービスの提供をソフトバンクが発表していますし、複数の人の顔を入れ替えて表示するアプリや洋服の試着、家の模様替えの疑似体験をスマホでできるアプリなど身近なところにも活用されています」

 いずれも既存の生活をガラリと変える可能性を持った技術であり、’25年にはARとVRを合わせた市場規模は8兆円に達すると試算するアナリストもいるという。

 具体的に投資するならどちらが有利か。テーマ株に詳しいカブ知恵の藤井英敏氏はこう語る。

「短期的には10月13日のPSVRの発売に向け、VR関連銘柄が盛り上がる可能性があります」

◆PSVR発売に向け相場は盛り上がるか

 いわゆるポケノミクスも、株式市場が最も盛り上がったのは、アメリカでのブームが話題になってから日本でリリースされるまでの期間だった。PSVRも発売が近づくと関連銘柄が買われることが考えられるという。

「ポケノミクスと同様、発売されると相場はいったん終了するので、それまでに取引を終わらせておきましょう」(藤井氏)

 一方、中長期的に見ると、市場規模が大きいのはARだと飯村氏は指摘する。

「ARの技術を短期的に収益化できる銘柄はまだ多くありませんが、現実と重ねられるぶん、活用範囲は広いでしょう。当面はエンタメ分野が有望で、例えばポケモンのように既存の位置ゲームのメーカーがサンリオやディズニーなどと組んで人気キャラクターをゲーム化するようなことができれば、大相場も期待できます」

 いずれにしろ、大化けを狙うなら任天堂やソニーなどの大型株よりも、値動きの軽い中小型株に投資するのが効率的だ。藤井氏と飯村氏がそろって本命に推すのは、PSVR向けソフトに技術提供するCRI・ミドルウェアだ。また、VRに特化した部署「VR部」を設置し、VR採用面接体験などゲーム以外の分野にも実績があるカヤックも注目だという。

「いずれも株価の過熱感が収束して、買いやすい水準です」(飯村氏)

◆高値掴みを避け欲を出しすぎないこと

 藤井氏は、ソニーの高機能・高精度ARエンジンを販売するサイバネットシステムや、描画に必要なVRレンダリングエンジンを手掛けるシリコンスタジオも本命の一角と見る。

 とはいえ、関連銘柄の多くが上場するマザーズ市場の値動きはこの春から低迷しており、目下のところは儲けやすいとはいえない。

「マザーズ指数が天井をつけた4月にジャンピングキャッチをした投資家の信用取引期限が10月にやってきます。そこまでに投げ売りが一巡して上値が軽くなることも考えられる。失敗を防ぐには必ずチャートを見て、株価が25日移動平均線より上にあるときに投資し、万一、25日線を下回って移動平均線自体も下向きならすぐに損切りすることです」(藤井氏)

 長期でじっくり市場の回復を待てるなら、5倍や10倍も十分期待できるというが、それでもほったらかしは禁物だという。

「最近は決算発表時の暴落が多いので、長期で持つ場合は面倒でも発表5日前には手放して、発表後に買い戻すのが安全です」(同)

 飯村氏も、市場環境が好転するまでは、欲張らずに早めの利益確定を心掛けるのがコツだと話す。

「とにかく高値掴みを避けること。底値を狙うなら、25日移動平均線を割り込んで75日線で反発したタイミングが狙い目です。利益確定は過去の高値にこだわりすぎず、25日線の手前まで上昇したら手放す手堅い戦略で臨みましょう」

 そうはいっても、ARもVRも息の長い投資テーマであり、なんらかのリリースが出るたびに関連銘柄が吹き上がる可能性が高いという。チャンスはいつ訪れるかわからないので、ニュースが出たらすぐに買い出動できるよう、あらかじめ候補銘柄をピックアップしておくのがおすすめだ。

 遊ぶのに夢中になって課金していてもカネは出ていく一方。儲けることも忘れないように!

◆爆騰期待のAR/VR銘柄

●サイバネットシステム/東証1部・4312

目標株価:1000円/株価:723円/単元株数:100株

AR銘柄の本命として年明けに人気化。ソニーの高機能・高精度ARエンジンの販売代理店を務める。「東証1部で、富士ソフトの子会社なので安心感がある」(藤井氏)

●CRI・ミドルウェア/マザーズ・3698

目標株価:4500円/株価:3740円/単元株数:100株

ゲーム開発用ミドルウェアが多くのスマホや家庭用ゲームに採用。「VR酔い」のないムービー再生の技術を持つ。「VR銘柄の大本命といえるでしょう」(藤井氏)

●カヤック/マザーズ・3904

目標株価:1350円/株価:927円/単元株数:100株

ネット広告コンテンツ制作会社。スマホゲーム「ぼくらの甲子園!」やゲーム情報のチャットコミュニティ「Lobi」などを運営。「VR部」を設けてさまざまな事業を展開中

●ショーケース・ティービー/マザーズ・3909

目標株価:1350円/株価:927円/単元株数:100株

eマーケティングが主軸だがAR/VR分野にも注力。「不動産業にはバーチャル内見、ECサイト向けにはスマホで家具などをバーチャル配置するサービスを展開予定」(飯村氏)

●イー・ガーディアン/マザーズ・6050

目標株価:1600円/株価:1336円/単元株数:100株

SNS監視サービスを展開。「VRやARの対策専門部隊を設置し、デバッグから監視までトータルにサポートしていく方針。足元の株価には過熱感があるのでご注意を」(飯村氏)

●クリーク・アンド・リバー社/東証2部・4763

目標株価:900円/株価:634円/単元株数:100株

映像制作分野の人材派遣が主力。「AR/VR分野で多くの特許を持つ中国のアイデアレンズ社と8月に新会社を設立し、市場開拓を狙っていくようです」(飯村氏)

●ピクセラ/東証2部・4763

目標株価:160円/株価:115円/単元株数:100株

企業向けパノラマVRサービスを提供。大株主に投資会社のOakキャピタル。「Oakキャピタルが出資する銘柄は、たまに吹き上がるというジンクスがあります」(藤井氏)

●シリコンスタジオ/マザーズ・3907

目標株価:9000円/株価:6080円/単元株数:100株

主力はゲーム用ミドルウェア。「VR技術に注力中の本命銘柄の一角。資産運用会社のブラックロックが株を大量保有したことでも話題になりました」(藤井氏)

【藤井英敏氏】

カブ知恵代表。日興証券、フィスコを経て、自信を持って“役立つ”と判断した情報を個人投資家に提供する「カブ知恵」を設立。大型株から超小型株、IPOまで幅広く監視し、投資情報を提供

【飯村真由氏】

リサーチアナリスト。アナリストと投資家の中間的な目線で日々相場と向き合い、独自の相場観と現場取材に基づいた銘柄選びに定評がある。クラブフィスコの「飯村レポート」はストップ高を連発中

取材・文/森田悦子

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:9/7(水) 15:20

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