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“がん哲学の権威”が語った「小林麻央がブログを綴る意味」

女性自身 9/6(火) 0:00配信

≪今日からブログを書くことにしました。家族はとても、驚いています。素晴らしい先生との出会いに心を動かされました。その先生に言われたのです。「癌の陰に隠れないで」≫

進行性の乳がんで闘病中の心境を綴ったブログが大きな反響を呼んでいる、小林麻央(34)。ブログを再開したのは9月1日で、6年半ぶり。夫・市川海老蔵(38)が妻の闘病を明かした会見から3カ月、乳がん発症から1年11カ月目のことだ。

再開1回目のブログのタイトルは、『なりたい自分になる』。文面から、ある先生と出会ったことをきっかけとして、自分の生き方を問いなおす哲学的な側面と、闘病中の苦悩を乗り越えようとする“覚悟”が見て取れる。

がん患者の人間性に寄り添い、その尊厳を大切にする一般社団法人『がん哲学外来』の理事長で順天堂大学医学部の樋野興夫教授は「ブログの先生は、人間的な責任で手を差し伸べられたと思う」と語る。

 がん患者の悩み、苦しみを“言葉の処方箋”で救おうと、08年から患者や家族3千人と対話してきた樋野先生。その活動にシンクロするという今回の麻央のブログを読み解いてもらった。まず、“癌の蔭に隠れる”とはどういう意味なのか。

「がんを宣告されると患者は“なんで自分が”という不条理に悩み、苦悶します。不安に襲われアイデンティティや自分の居場所を失ってしまう。それが“癌の陰に隠れる”ということだと思います。その際、病気が『あなたの役割は何ですか?』と問いかけてくる。苦しみの中、その問いの答えを見つけ、前向きになるには時間がかかるのです」

がん発症以来、麻央もその答えを見つけるために自分と向き合ってきたのだ。樋野先生は、相談に来た患者に次のような問いかけをするという。

「『あなたは何のために生まれてきたのですか?』、『残された人生をどう生きたいですか?』。人間には1人1人、与えられた使命があります。それが見えてくると、吹っ切れて自分も救われるのです」

“癌に隠れていた自分”との訣別を宣言した麻央は、ゆるぎない一歩を歩みだした。

「麻央さんは居場所を失った状態から“私はここにいます”と力強く表明して、自分を人への“贈り物”とする使命を悟ったのでは。どんな人にも岐路はありますが、“隠れる道”ではなく人のために生きる“勇敢な道”を選んだのです」

 再開した麻央のブログには≪一度きりの人生なので、なりたい自分になろうと決意できたことはうれしいです≫という言葉も。また≪私は力強く人生を歩んだ女性でありたいから 子供たちにとって強い母でありたいから≫とあるように、入院中でなかなか会えない子供たちへの思いが募るのか、母としての“覚悟”も明かした。

「教育は、すべてのものを忘れた後にでも残るものです。子供は3歳、4歳で今の状況をわかっていなくても、深い部分でいつか大きくなったときに“親のプレゼント”を思い出す。一生懸命に生きている姿が、子供の心に残るのです。病床にあって体が動かなくても子供にできること、それは彼らに何かを伝えたいと思うこと、そしてかけがえのない人生を最後まで貫く覚悟を持つことではないでしょうか」

 がんと闘いながらも麻央は必死に前を向いて、生きる“母の姿”を子供たちの目に焼き付けようとしているのだろう。病人として守られる存在ではなく、人のために生きる新たな一歩を踏み出した麻央。その生きざまは、2人の幼な子だけではなく多くの人々を強く励ましてくれるはずだ――。

最終更新:9/6(火) 0:00

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