ここから本文です

ゴキブリ退治 なぜ液体洗剤が効くの?

NIKKEI STYLE 9/6(火) 17:30配信

ゴキブリ退治 なぜ液体洗剤が効くの?

 夜にのどがかわいたから、台所で水をのもうとしたら、大きなゴキブリが出てきちゃったよぉ。キャー。思わずそばにあった液体洗剤(せんざい)をかけたら、しばらくじたばして死んじゃった。どうしてかな。

体の空気穴がふさがって窒息するんだ

 ゴキブリに液体洗剤をかけると、最初はあばれるけど、すぐに動かなくなってしまう。洗剤の中に何か悪い成分が入っているように思ってしまうけど、それはまちがいだ。

 実は呼吸ができなくなって窒息(ちっそく)して死んでいるんだ。生物は生きていくために呼吸して、空気中の酸素を取りこみ、体の中にたまった二酸化炭素をはき出している。

 昆虫(こんちゅう)のゴキブリは人間やイヌなどのほ乳類や鳥類、は虫類とは呼吸の仕組みがちがう。人間は口や鼻から空気をすいこみ、気管や気管支を通って肺のおくにある「肺ほう」と呼ぶ小さなふくろに届けられる。肺ほうでは、毛細血管で血液に酸素を取りこみ、不要な二酸化炭素を出す。

 これに対し、昆虫は「気門」という小さな穴から空気を取り入れている。バッタやセミ、チョウをつかまえて体の横をよく観察してみよう。小さな穴がついているのに気づくと思うよ。これが気門だ。気門はふつう昆虫の胸の部分の両側に2対、おなかの部分に8対ついている。気門は20あるわけだ。

 昆虫で肺にあたるのが「気管」だ。気門からつながっている細い管で、昆虫の体じゅうにトンネルのようにはりめぐらされている。気門からすいこんだ空気中の酸素を体内に取り入れて二酸化炭素を出す。
 気門が水にぬれてふさがると、呼吸ができなくなって死んでしまう。このため、多くの昆虫の体には気門のまわりに細かい毛がはえていて、水をはじいて気管に入らないようにしている。

 ゴキブリの場合は体の表面に油がついている。だから、ゴキブリは「アブラムシ」と呼ぶ地域もあるくらい油で光ってギラギラしている。水をかけてもはじくから、ゴキブリは平気でいられる。

 洗剤はなぜ気門の中に入りこめるのかな。これは洗剤にふくまれる界面(かいめん)活性剤(かっせいざい)という物質がかかわっている。

 例えば、洗剤でお皿を洗うと、油よごれがきれい落ちるよね。これは界面活性剤に水と油がくっつくようにする働きがあるからなんだ。ふつうは水と油を混ぜても、しばらくすると2つの層に分かれてしまうけど、洗剤を入れてかきまわすと白くにごった液体になる。水と油が混ざったからだよ。

 ゴキブリの気門から入った洗剤は気管の中まで広がってしまい、空気が取りこめなくなる。ゴキブリは気門がいくつかふさがっても、他の気門から空気を取り入れて呼吸ができる。でも、洗剤が体全体にかかると、気門がすべてふさがってしまうから、ゴキブリは窒息してしまうんだ。

 洗剤でなくても油となじみやすい液体をかければ、ゴキブリは気門がふさがってしまい、呼吸ができなくて死ぬ。サラダ油やオリーブ油といった食用油、化粧品(けしょうひん)の乳液をかけても同じ結果になるよ。ゴキブリが死ぬのは不思議に思えるけど、ちゃんとした理由があるんだ。

1/2ページ

最終更新:9/6(火) 17:30

NIKKEI STYLE

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ライフスタイルに知的な刺激を。
生活情報から仕事、家計管理まで幅広く掲載
トレンド情報や役立つノウハウも提供します
幅広い読者の知的関心にこたえます。

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。