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「弱気派」が圧倒的なのに1万7000円回復した日経平均の怪? 

会社四季報オンライン 9/6(火) 20:31配信

 日経平均株価が週明け5日に1万7000円台を回復した。久々の日経平均1万7000円台……これを見ると、筆者はすぐに「なんか高くない!?」と思ってしまう。根本的に相場感のデフレマインドを全身に宿している筆者の悪癖なのだが、どうやらこの感覚は自分だけが持っているわけでもないようだ。

 「日経平均1万7000円台を9月前半につけることは無理だろう」なる市場参加者の相場感は、日経平均のオプションの建玉からも読み取れた。今週末9日のSQ(特別清算指数)算出を前に、建玉残が特に積み上がっていたのは権利行使価格1万7000円のコール約2.1万枚、1万7500円コールの約1.9万枚だった。

 コール(買う権利)の出来高が増えると、日経平均に対する先高期待の表れと解釈されることが多い。ただ、一時的にそうした出来高が増えることはあっても、建玉として残っているものはオプション売りのポジションが多いと想定される。これは(プットも同様だが)、プレミアムが安いときに売り、SQまで当該行使価格に日経平均が到達しないことでプレミアム分を手に入れることを狙った投資家のポジションである。

 注目された先週末2日の米雇用統計は市場予想を下回る弱い数字だった。弱気マインドに侵食された筆者は、「9月利上げ無理→ドル売り・債券買い」の初期反応は理解できた。ただ、イベントトレードが一巡した後に「ドル買い・債券売り」に急変化した動きはいまだにうまく後講釈すらできない。

 為替の円安にツレて同日の夜間の日経平均先物は1万7170円まで上昇した。弱気派にとっては釈然としないうえ、不愉快な夜になったことは容易に想像ができる。明確な理由づけさえできないまま、コール売りの買い戻しや買いたくもない日経平均先物を買わされる(デルタヘッジ)という最悪なトレードを迫られたのだから……。

■ 買い残はアベノミクス相場初期の低水準

 日本株に対するこの懐疑的な目は、オプションを取引する投資家に限ったことではない。個別株の6~7割を信用取引が占める日本株。その信用取引のメインプレーヤーである個人投資家も同様といえる。

 米ジャクソンホール会合直前の8月26日時点では、信用買い残が金額ベースで2兆2528億円だった。日銀がETF買い入れ枠を年間6兆円に増額したのが7月29日。この週は2兆1550億円だったが、あれだけの株価テコ入れ策が出ても8月第1週2兆2419億円→8月第2週2兆1616億円→8月第3週2兆2317億円→8月第4週2兆2528億円と、ほとんど変化がない。バイオの臨床試験風にいえば、「有意差は確認できず」である。

 この間、トヨタ自動車 <7203> やメガバンクなどバリュー株と呼ばれる銘柄が主役に転じ、ソフトバンクなど人気銘柄の一角も大きく値上がりした。それでも個人投資家のセンチメントが上向いてきた感はまるでないまま、1カ月経過していたのである。2兆2528億円の信用買い残というのは、アベノミクス相場初期(2013年3月第2週)以来の低水準だ。

 信用買い残を信用売り残で割った信用倍率(金額)からも同じようなことがいえる。8月26日時点では3.13倍。これは今年の最低倍率だ。年初来で最も倍率が大きくなったのは1月第2週で、6.04倍。日本株が急落を演じた年初の時点に比べると、信用倍率はほぼ半分にとどまっているわけだ。

 個別株でいえば、信用買い残は増えない一方、信用売り残が増えているということ。日本株が上がり始めると、「なんだかおかしいのではないか?」と信用売りでリターンを狙う投資家が圧倒的に増えやすい日本株市場の特性を示している。信用売り残は8月26日時点で7203億円と、今年2番目の高水準。今後、買い戻しに回るポジションの残高は信用取引経由でも多くなるとみられる。

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最終更新:9/7(水) 16:51

会社四季報オンライン