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荷物の多い女に「肩掛けカーディガン」は不可能だった!【トミヤマユキコ】

女子SPA! 9月6日(火)9時10分配信

―40歳までにオシャレになりたい!Neo トミヤマユキコ―

 ファッションに興味はある。服を選ぶのは嫌いじゃない。ダサいわけでもない。でも、ガチで女らしい格好はちょっと恥ずかしいし、シンプルシックな格好はどうにもつまらない。

⇒【写真】荷物を持たず、肩掛けカーディガンでポーズをキメる筆者

 そこで、ついつい変な服を選んでは、オシャレ/非オシャレの圏外に飛び出し、いい大人なのに「オシャレっていうか、なんかおもしろい服を着ている人」状態に……そんな悩みを抱えた読者は少なくないはず!

 おもしろ最優先で生きてきた結果、人生も洋服も若干とっ散らかり気味な著者が、40歳までにオシャレになるべく奮闘するコラム連載第2回!

◆第2回 肩掛けファッションを攻略するには?

 気がついたら「肩掛け」ファッションがオシャレだということになっていてびっくりした。肩掛けといっても、サマーセーターの袖を結ぶ石田純一スタイルではない。いま流行りの肩掛けは、袖に腕を通さず、そっと羽織るのである。これは「着崩し」の一種であるからして、オシャレ上級者だけが楽しめばいいのでは? と思っていたのだが、もはや無視できないくらいに流行が拡大している。

画像:WEAR

 見たところ、圏外ファッションの人は革ジャンとか黒のブルゾンなどを肩掛けにして、ちょっとハードなイメージ。圏内ファッションの人は、カーディガンをふわっと羽織って清楚なイメージであることが多い。どちらも、ラフというか、ほどよい抜け感がある。キメキメの気分じゃないときにやってみたくなる心理は、わからんでもない。

 初回の原稿にも少し書いたが、肩掛け女子は、路上はもちろん、ぎゅうぎゅうの満員電車内にもいるし、香港にもいる(香港では日本のファッション誌が簡単に手に入るので、その影響だろう)。このあいだ仕事でTBSに行ったら、館内ですれ違った女子アナもばっちり肩掛けにしていたし、今日なんて、渋谷で肩掛け男子を目撃した。

 国も性別も圏内/圏外も関係ない肩掛けブームにわたしがいまいち乗り切れないのは、「機能的でない」からだ。腕を動かすたび、ちょっとずつズレるだろうし、それをいちいち直さなくちゃいけないのは、どう考えてもダルい。昭和の女は、ピーコ大先生の名言「オシャレは我慢」をかたく信じているので、ズレるくらい我慢しなくちゃいけないのかも知れないけど……いやだなあ。

 ボヤいていてもはじまらないので、実際にやってみた。

 わたしは圏内ファッションの攻略を目指す身なので、カーディガンをチョイス(ポップな柄しか持ち合わておらずすみません)。ツルツル素材さえ避ければ、そうしょっちゅうズレるものではないとすぐに分かったが、それでも「何かの拍子にズレるかも」という強迫観念があるため、つい肩に力が入ってしまう。

 わたしはいかり肩なので、なで肩のひとよりはるかにズレにくいハズなのだが、風が吹いた時や誰かとすれ違う時などに、キュッと緊張が走る。あとは、腕を上げる動作も危ないと思ってしまい、これまたキュッとなる。緊張の連続で、どんどん肩凝りが酷くなり、イライラしてきて、結局2時間ほどでカーディガンを脱ぎ捨ててしまった(敗北)。

 肩掛けは、心配性の人間には向いていない。まさしく肩の力を抜いて、自然体でいられる人じゃないとダメだ。あるいは、汚しても悲しくならない価格のものを選び、落とす前提で着るしかない。

 それから、肩掛けファッションは、バッグとの相性をきちんと考える必要がある。当たり前だが、荷物いっぱいのでかいトートバッグをよっこらしょ! と肩掛けにすることはできない。そんなことしたら、肩周りがグチャグチャになってしまう。かといってリュックはもっと変だ。

 友だちが「仕事柄いつも大荷物だから、肩掛けスタイルやりたくてもできないんだよ」と嘆いていたが、それはわたしも同じ。バッグの中はいつも仕事の資料でいっぱいだ。手提げタイプのバッグだと腕がもげそうになるので、肩から掛けられて、A4サイズのものが入るタイプのものしか買わなくなってしまった。むかし買った小さいバッグは、オブジェ的に飾ってあるだけで、ほとんど出番がない。

 そういえば、数年前に彼女のバッグを彼氏が持つという謎のラブラブアピールが流行ったが(いまでも時々みかけるけど)、大学院生だったわたしは「図書館で借りた本が詰まった、男物か女物かもわからぬズタボロのトートバッグを彼氏に持たせたところで、カップル感は出ねえな」と思っていた。やはりあのラブラブアピールは、小さなバッグだから成立するものであり、当時からわたしは小さいバッグを持てるような人生を歩んでいないのである(泣)。

 しかし、肩掛けを美しく見せたいなら、ストラップの長いハンドバッグか、そうでなければ、小さめトートかクラッチバッグなど、とにかく「荷物の少ないひと」であることが求められる。それから、荷物はひとつにまとめた方がシュッとして見える。ときどき、ハンドバッグぶらさげつつ、デパートの紙袋などを持っている人がいるけれど、荷物がごちゃついているのでは、せっかくの肩掛けスタイルが台無しだ。肩掛けスタイルとは、大荷物では格好がつかないスタイルだと、心に刻もう。

画像:WEAR

 荷物は最小限で、落としても大丈夫な服を肩掛けにせよ。それがとりあえずの正解なのだとすれば、コンビニに行く時のわたし(長財布+やる気のない肩掛け)とほぼ同じではないか? という疑問もあるにはあるが、肩掛けの練習をすることで、荷物のスリム化が図れるような気もしてきた(逆転の発想)。

 オシャレというのは、素材・デザイン・柄などの組み合わせを重視するものだと思うが、肩掛けスタイルについては、とにもかくにも「荷物との組み合わせ」を考えるのが先なのである。そして、持ち物のスリム化というのは、結果として全体のバランスを良くすることにも繋がる。そういう「御利益」があるなら、肩掛けにする意味があるなと思えたので、この原稿もがんばって肩掛けで書いています。

 ということで、わたしはまだまだ肩掛け初心者なのだが、以前からやっている友だちによれば「ワキ汗対策」として最高なんだとか。ふつうに着てしまうとワキがびしょびしょになってしまう系女子が肩掛けにすると、服もダメージを受けないし、オシャレにも見えるので、便利なのだという。全国のワキ汗パッド愛好者のみなさんにこの情報が届くことを祈るばかりだ。

 弱点をうまく隠しながらオシャレになれるなんて、いいこと尽くめだ。わたしの場合も、肩掛けにしていると、立派すぎるいかり肩が目立たなくなるような気がしないでもない。袖を通さず、あえてラフに着ることで、身体の輪郭がぼやけ、本当の骨格が誤魔化されるのだろう。

 足りない胸はブラで盛れるが、出すぎた肩は引っ込められない。ごくふつうの国産Mサイズの服が肩幅の都合で買えないことのあるわたしにとって、このいかり肩をどうするかは、けっこうな懸案事項であり、その点、肩掛けスタイルは悪くない解決策だ。まあ、実際にやってみる前までは「しゃらくさい」と思っていたが、そんなにけなすほど悪いものでもない。それがわかっただけでも、よかったと思う。

【トミヤマ・ユキコ】

ライター・大学講師。大のパンケーキ好きが高じて著したガイド本『パンケーキ・ノート』(リトルモア刊)が話題に。大学では少女マンガ・サブカルチャーについての講義を担当している。そのほか「週刊朝日」、「文學界」、「ESSE」などで書評・コラムを連載中。ファッションに対して積もり積もったコンプレックスあり。

Twitter @tomicatomica

タイトルイラスト/澁谷玲子

女子SPA!

最終更新:9月19日(月)19時52分

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