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韓国で9月末に過酷な汚職防止法施行

JBpress 9/7(水) 6:15配信

 「本当にこんな法律を守れるのか?」「いや、もう3万ウォン(1円=10ウォン)を超える食事をご馳走になるのは駄目だ」「法律の施行前ならゴルフの接待も大丈夫だから早く行こう」――

 韓国で1本の法律施行を前に官界、産業界、メディアから飲食店、ゴルフ場が騒然となっている。厳格な汚職防止法が9月28日に施行になるのだ。

 法律の名称は、「不正請託および金品などの授受禁止法」。内容は、公務員などに対する不正な請託を禁じるものだ。

■ 賄賂罪より厳しい

 もちろん、韓国にも、公務員などに金品を渡して不正な請託をすることは禁じられている。賄賂罪だ。

 ところが現行の贈収賄罪では不正は防げないと、うんと厳しい法律がさらにできたのだ。いったい、この法律とはどんな内容なのか。

 韓国では、この法律を一般的には「金英蘭(キム・ヨンラン)法」と呼ぶ。この法律を最初に発議した人物の名前が由来だ。

 金英蘭氏は1956年生まれ。ソウル大法学部在学中に司法試験に合格し、判事になった。夫も司法試験を首席で合格して検事になり、法曹界では秀才法律家夫婦として知られる。

 金英蘭氏は2004年に40代で女性初の大法院(最高裁判所に相当)の判事になった。異例の「飛び級出世」だった。

 6年間の任期を終えた後、不正腐敗を防止したり、人権を保護するために一般国民からの告発や情報提供を受ける政府機関「国民権益委員会」の委員長に就任し、2012年まで努めた。

 不正腐敗の撲滅や人権保護に熱心な法律家で、在任中にこの法案を作成した。

■ 破格の法律

 この法律はいくつかの点で「破格」の内容だ。まずは、対象者の範囲がやたらと広いことだ。

 対象者には、国家公務員や地方公務員のほかに、私立学校の教職員、学校法人の役職員、マスコミの代表者や役職員などが含まれる。

 汚職防止のための法律だが、その対象に、私立大学の教授や新聞記者、学校法人の理事なども入る。

 さらに政府の審議会などの非常勤の委員、こうした対象者の配偶者まで対象になる。これは大学教授や記者が、いろいろなロビー活動をすることがあり、これを防ぐためだ。

 韓国紙デスクはこう話す。

 「国立のソウル大学の教授は公務員だから対象者だ。では、私立の延世大学の教授は何をしてもいいのかとなって私立大学教授が含まれた」

 「国営の放送局であるKBS(韓国放送公社)の記者が対象なら、他の放送局や新聞社の記者が入らないのは不公平だと全部入ることになった。おかしいといえばおかしいが、国民感情がこうだと言われれば反論しにくい」

■ 言論の自由侵害との反論を一蹴

 記者を含めることは憲法で保障されている言論の自由に抵触するとの批判も出たが、憲法裁判所はこれを認めなかった。

 もう1つの特徴は、ふつうの賄賂防止に関しての法律では「対価性」や「職務関連性」が最も重要になるが、この法律は、「対価性」は問わない。「職務関連性」がなくても適用対象になることだ。

 ある企業人が、職務とは関係のない学校の後輩にあたる公務員に対してゴルフや飲食を接待したとする。

 1回100万ウォン(1円=10ウォン)、または1年間に総額が300万ウォンを超えると、接待した企業人もこれを受けた公務員も「3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金」となる。

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最終更新:9/7(水) 6:15

JBpress

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