ここから本文です

豊富な映像使い21世紀の人材育成 オリ、パラを主題にパナソニックが教材制作

オーヴォ 9/8(木) 15:25配信

  大手総合電機メーカーが教材を制作? 初めて耳にすると「何のことだろう」と思う。パナソニックでは、次世代育成のために企業でなければできない強みを生かし、教育支援の教材コンテンツの開発、制作を進めている。企業である以上、自社のPR要素を多少含みながらも、21世紀に生きる若い人たちに、知識を蓄え、次を考えさせ、最後は実践力を高められるよう工夫が凝らされている。

 同社は、国際オリンピック委員会(IOC)が世界の12社だけと契約を結んでいる最高峰のスポンサーのひとつ。2020年の東京オリンピックのみならずパラリンピックともスポンサー契約を交わしている関係で、現在はオリンピックとパラリンピックをテーマに教育支援活動をしている。同社が保有する豊富な映像のほか、生徒用のワークシート、教師のためのティーチャーズガイドなどを組み合わせ、楽しくてためになる教材を作りあげた。

 授業用教材のCD―ROMに納められた映像は大人が見ても楽しい。最初は「大会の意義とそれを支える人々」がテーマだ。意義について世界の人たちが答える。「世界中からさまざまな人が集まり、国籍・宗教・経歴を越えて一つになれる」「将来は選手としてぜひ参加したい」「オリンピックをきっかけに、いろいろなボランティアに参加するようになった。生きがいを見つけた」「特別に秀でた人たちを見るのはとても楽しい」。いろいろな見方が示され、自分ならどう答えるだろうと考えさせられる。

 大会は選手だけでは成立せず、裏側では多くの人たちが活動していることが具体例とともに紹介される。2014年のソチ冬季オリンピックを例に、同社の各種映像・音声機器が吹雪の中で素早く正確に設置されていく様子が映し出される。

 ロシア語、英語、日本語が飛び交う中で、難しい作業が進む。仕事を成し遂げるとは理解、協力、そして使命感の共有が何より重要なことが強調される。

 次は「多様性と国際理解」がテーマだ。その象徴として取り上げられているのが東京都江東区有明にある同社の大型ショールーム「パナソニックセンター東京」。海外からのビジネス客に、スタッフが同社の製品や先端技術の展示をよどみなく紹介していく姿が紹介される。日本人が最も切実に感じながら、最も苦手なのが外国人との接遇。多様性と国際理解は21世紀のキーワードだが、必要性に迫られ社会人になってから身につけるのではなく、中学、高校生のうちにそれを意識して学ぶことの大切さが理解できる。

 最後は日本が得意とする「テクノロジー&イノベーション」を考える。オリンピックがより身近になったのは映像技術の進歩のお蔭。半世紀前の東京オリンピックでは、カラー画面に日本中が驚いた。テレビの画像は年ごとに鮮やかさを増し、今やハイビジョン画像の4倍(4K)、あるいは16倍(8K)の画素数がある映像技術が実現した。それらは鮮明で立体的にすら感じられる。2020年、日本はどこまで進化するのか。映像を見終わった後、生徒は空港、街の中、スタジアムなどで、こんな技術があれば便利だなと思うことを議論する。

 授業の効果をより高めるため用意されているのが、生徒用のワークシートと、教師のためのティーチャーズガイド。それぞれのテーマについて生徒に考えさせ、ワークシートを使い論点を整理していく。考えるヒントは教師が示す。その「虎の巻」がガイドだ。もちろん、授業のプロである教師の意見は常にフィードバックされ、次の教材開発の参考になる。

 同社が教育支援に乗り出したのは2008年。最初のテーマは環境だった。学んだ先に何があるのか、先進的企業の取り組みを紹介してほしいという教育現場の声に応えた。その後、テーマがオリンピック、パラリンピックに変わり、企業人も直面している課題「次の技術」「外国人に対するおもてなし」を率直に表現した。同社の教材を採用した学校は2015年度で中学校を中心に71校。8月末で締め切った2016年度は113校に増えた。首都圏だけでなく、北海道から沖縄まで、全国的な広がりをみせている。

 こうした企業による教育支援は増える傾向にあるが、オリンピック、パラリンピックをテーマにしているのはオリンピック・ムーブメントに関わって30年近くになる同社だけ。2020年までには、新たなプログラムを複数、開発していく予定だ。教育支援の狙いについて同社CSR・社会文化部の中田紗也子さんは「東京大会が行われる2020年は学校教育の内容に見直しがかけられるなど教育界にとっても大きなターニングポイントだと聞いています。日本全体が大きく変わろうとする中で、ビジネスでの社会貢献はもちろんのこと、次世代育成支援のようなCSR活動でも社会へ貢献できればと思っています」とさらなる充実を目指している。

最終更新:9/12(月) 14:24

オーヴォ

なぜ今? 首相主導の働き方改革