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「ポケモンGO」がケータイ業界に与えたインパクト

@DIME 9/8(木) 8:10配信

 スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回はこの夏の話題を一身に集めた「Pokemon GO」をテーマに話し合います。

■ポケモンGOは進化していくゲーム

房野氏:今回は爆発的な人気となった「ポケモンGO」について話していただこうと思います。歩きスマホが問題になったり、日本通信やDTIからポケモンGO向けのSIMカードが販売されたりと、ポケモンGO関連でいろんな話題、問題が出ました。まだまだ人気継続中ですが、現時点での総括をしていただきつつ、ポケモンGOブーム後の予想もしていただければと思います。

石川氏:今回の騒動を振り返ると、ポケモンGOは、日本発ではなくて、アメリカからサービスインしたやり方がうまかったと思います。日本人ってアメリカで流行ったものが大好き。TwitterにしてもFacebookにしても、アメリカで流行ったものとして受け入れられ、ここまで広まったのだと思います。

 ポケモンGOが最初に日本でスタートしていたとしたら、ゲームユーザーは面白くないといい、歩きスマホは撲滅すべきだといわれ、盛り上がった瞬間に叩かれてグローバル展開されなかった可能性もあったような気がします。なかなかサービスインしなかったときに、テレビなどのメディアを巻き込んだのもうまかったと思うし、この流れがあったから、これだけのブームになったのだと思います。ただ、ブームが大き過ぎるところもあって、萎むのも早いのかなという危惧がある一方で、ネットワークを使ったゲームなので、いくらでも演出のしようがあるし軌道修正の方法もある。開発・運営するナイアンティックの腕の見せどころだと思います。

石野氏:今はまだベータ版みたいなものですよね。チュートリアルが他のゲームと比べて非常に少なくて、ゲームを起動しても何をしていいか分からなくなったり、「ジム」に行って勝ったところでたいした報酬がもらえなかったりして、続けるためのインセンティブが希薄。今後、トレードや対戦が入ってきたりするかもしれない。スマホアプリはアップデートでいくらでも進化するので、まだまだスタートの段階で、本領を発揮するのはこれからだと思います。先日、TOHOシネマズとのコラボレーションにより、TOHO シネマズ全館(一部劇場を除く)が「ポケストップ」として登場すると発表されましたけど、こういうものがどんどん出てイベントなどが盛り上がってきたときが、真の実力が発揮されるときなのじゃないかと思います。

法林氏:ポケモンGOについては、社会的な影響も含めて、考えるべきことがたくさんある。モバイル業界、ゲーム業界含め、社会にどう理解してもらうかを考えなくてはいけないタイミングに来ていると思う。

 気になるのは「ポケスポット」を削除してくれという話。たとえば広島平和記念公園の削除の件は理解できるし、それでいいと思うんですが、石野君が言ったみたいに、これから先、ゲームがどうアレンジされていくか分からない。たとえばコミケをやっている間だけ、そこにポケスポットを作って、キャラクターがもらえる、みたいな話もあるでしょう。スマホのゲームってスタンドアロンのゲームとは違って中身が変わっていく。遡ってみると、僕はやらなかったけど「Ingress(イングレス)」(ナイアンティックが開発したスマホ向けの位置情報ゲーム)も途中で仕様が変わっている。そう考えると、人が来て嫌だからとか、騒がしいからポケスポットを消してくれというのは短絡的かなと思う。

 でも、そう思われてしまうのは、ゲームがどういう仕組みで、どういう風になっているかを、運営側のナイアンティックがきちんと説明できていないからという部分があると思う。これってGoogleの流れから来る文化で、文句を言われたら消すという手法。それでいい場合もあるけれど、今回のように影響が出てしまうことがあるので、そこは会社がフォローしたり、サポーターのようなフォローしてあげる人たちがいるといいなと思う。今はあまりにも誤解が多い。

石川氏:人づてでゲームアプリ配信会社の人の話を聞いたんですけど、意外とポケモンGOの影響を受けていないらしいです。既存のアプリゲームが影響を受けていないということは、ポケモンGOは新たなゲームユーザーを開拓したということ。実際、幅広い層で遊ばれている。スマートフォンの位置情報と連携して、こういう楽しい遊びができるということを気づかせてくれた。キラーのキャラクターと組み合わせることはなかなか難しいですが、これに影響されて新しいゲームが出るだろうし、スマートフォン業界全体を押し上げるという意味で非常にいいと思います。

石野氏:KDDIは機種変更件数が、あくまでポケモンGO配信前後5日間の比較ですけど、20%伸びたといっていました。

石川氏:もうガラケーでいいやと思っていた人や古いスマホを持っていた人が、新しいスマホに買い換えたんだと思う。さらにMVNOからポケモンGO用のSIMカードも出てきた。イオンモバイルは、子ども向けに“ポケモンGO対応スマホセット” を売るそうです。SIMカードとスマホで、歩きスマホ防止アプリと子どもを守るアプリがいくつか入ったもの。月額1980円と2980円(2480円)の2プランで、1980円の方はAndroid版『VAIO Phone』とのセットだそうです。在庫処分ですね。

石野氏:イオンリテール デジタル事業部長の橋本(昌一)さんは、ポケモンGOを活かす気満々でしたね。

石川氏:橋本さんはもともとゲームを担当していた人で、ゲームは売れなくなっているけれど、格安スマホが子どもに売れる、という話をしていた。だから、子供向けの機能限定版スマホとしてイオンは売ろうとしている。それでまた市場ができるかもしれないし、スマホデビューが早まるかもしれない。スマホ業界的に景気が良くなっている感じがします。

■ポケモンGO対応スマホの悲喜こもごも

石野氏:低スペック端末では、負の余波を受ける人もいますね。

石川氏:1万円スマホでポケモンGOは遊べないじゃないかと。FREETELの『Priori3』なんかはGPSの認識が悪いという話だし、ファーウェイも『P8 lite』でアップデートを余儀なくされた。

石野氏:それはいいことだともいえて、メーカーにとっても売上単価が上がるチャンスですよね。今まで『P9 lite』を買おうと思っていた人が、ジャイロセンサーがないんだったらライカのカメラが付いている『P9』にしようと思ってくれれば、ファーウェイにとって2万円くらい収入が増える。これを機にハイエンドモデルを売りに出したり、GPSの性能をアピールしてもいいと思う。

石川氏:データ通信容量もね。そこそこ遊ぶと1か月1.5GBくらいは使うと思うので、キャリアもMVNOもウハウハな気がする。キャリアだったら1500円くらい上がることになる。

石野氏:1.5GBも行きます?

石川氏:がっつりやると、1日50MBくらい行く。自分自身は最近、あまりやらなくなっているので、データ量は明らかに減っているんだけど。

石野氏:僕も休憩時間にしかやらなくなった。

法林氏:容量はあまり食わないね。むしろバッテリーを食う。機種でいえばシャープが最初、ちょっとかわいそうだったね。

石川氏:最初の頃、AQUOS端末が軒並み非対応になっていて、アプリがダウンロードできなかった。

法林氏:あれはGoogle側の設定ミスらしいね。どの機種が対応しているかを確認して、直してもらって、ちゃんとダウンロードできる環境を整えるのに10日間くらいかかった。スペック的には問題ないので今はもう大丈夫ですが、比較的新しい機種でもアプリをダウンロードできなかったのは、そういう理由らしい。

石野氏:ポケモンGOは、要求条件がAndroid4.4以上、RAM2GB以上で、そこそこ高い。

法林氏:Android4.4以上はクリアできるけど、メモリが比較的厳しいね。

石野氏:ただ、1GBのRAMでもインストールはできちゃうんですよ。ZTEの1万円程度の端末でも、インストールできて動くことは動く。その辺の基準はザルなのか厳しいのか分からないですね。また、インテルチップは非対応といわれていたのに『ZenFone 2』も対応している。設定を間違っているんじゃないかと思うようなところもあります。

法林氏:恐らくGoogleの設定情報が間違っていたのではないのかな。そしてシャープは機種が多いので影響を受けたのかな。

石川氏:Android端末は機種が多すぎて、検証がちゃんとできない弊害が出ている気がしますね。

房野氏:あのゲームのどこがメモリを食っているのでしょうね。

法林氏:いや、そんなには食わない。AR(拡張現実)はオフでプレイした方が明らかに軽いけれど、めっちゃ重いゲームではない。もっと重いゲームはたくさんある。

石川氏:ポケモンGOは表示も簡素ですしね。

房野氏:最初にアメリカでヒットしたから良かったという話でしたが、アメリカでヒットした理由は分析されているんでしょうか。

石野氏:なんですかね。Ingressの下地があって、ポケモンだったからかな。

法林氏:日本人の感覚では、ポケモンは任天堂のもので、国内でメジャータイトルだとは分かっているけれど、世界的にもメジャータイトルだということは理解されていなかった気がする。ポケモンは誰でも知っている。

石野氏:ドラえもん以上に知られている日本のキャラクターかもしれない。小学館の媒体でこんなことを言うのは心苦しいのですが(笑)日本人にとってのドラえもんなのかというくらい、みんな知っていますよね。

法林氏:オリンピック中にブラジルでも配信が開始されたので、選手村は大変なことになったそうですね。アメリカはシューティングゲームが強い国だけど、ポケモンの認知度が高かったために、違う層にアプローチできた。

石野氏:Ingressの下地もあった。あれは濃いゲームなのでライトユーザーはやらなかったけど、話だけは聞いていたという人がやったのかな。

石川氏:スマホゲームが強いのは、面白そうだと思ったらその場ですぐダウンロードできること。ファイルサイズが大きいのでiPhoneはWi-Fi経由じゃなきゃダメだけど、隣の人が面白そうにやっていたら、すぐダウンロードして気軽に始められることが大きい、ということが改めて証明された気がする。スマホのコンテンツやゲームは、まだまだ面白いことが起きると思います。

石野氏:コロプラなんかで日本は位置情報ゲームのノウハウがあったわけじゃないですか。今やコロプラの語源(位置情報を利用した街育成ゲーム「コロニーな生活」から)が分からないくらいになっていますけど、そういう下地がある。ポケモンGOのようにグローバルでやるのは難しいかもしれないけれど、日本だけだったらやりようがある。位置情報と連動させたコンテンツの可能性が見えたことは、今後に非常にプラスになるかな。

■“歩きスマホ”でキャリアに責任はあるのか

房野氏:歩きスマホが問題になりましたね。

石野氏:ドコモが特に便乗することもなく、真っ先に歩きスマホの注意喚起をしたのは、ちょっとイメージが悪いなと思いつつ、一方でキャリアの責任になっちゃうことを牽制している感じもします。歩きスマホについてはポケモンGOが始まる前からいわれていて、過去に出会い系サイトや振り込め詐欺など、何かあると常にキャリアが責められる。そこは多分に反省というか牽制というか、しているなと思いました。

法林氏:所詮インフラなので、携帯電話会社が叩かれる理屈はない。

石川氏:何でもかんでもキャリアが悪いということはない。キャリアを擁護するわけじゃないけれど、それは違うんじゃないかと思う。

石野氏:おかしいですよね。おかしいけれど、警察側の理屈なんですよね。

石川氏:飲酒運転で事故を起こしたときに、酒造メーカーや自動車メーカーが謝るか、ということと同じ。

法林氏:本質的に間違っている話が多い。さっきのポケスポットの話で、線路にモンスターを表示させないでという話があったけれど、そもそもの話としてGPSの位置情報はそんなに精度が高くないし、厳密でもない。それに線路上に出たからといって、ユーザーがそこに歩いて行く必要はない。ちょっと文句の付け方が間違っていませんかと思うところではある。ポケモンGOをやっていてホームから線路に落ちたという話になった場合、ホームドアがないことはマズくないのかという議論になるはず。駅の構造の責任は追及されないの? という話。

石野氏:鉄道会社の責任回避な感じがします。

石川氏:みんなが責任逃れをしようとしている。キャリアも、歩きスマホはダメだといっておけばいいという考えだと思うし、鉄道会社もそう。結局はユーザーが責任を持って遊ぶしかない。

石野氏:ナイアンティックも、歩きスマホを推奨していないというのではあれば、歩きを検知してボールを投げられないようにするとか、技術的にできることはもっとやった方がいいかな。走行中のプレイを禁止する機能が入りましたけど、あれももっと徹底すればいいのにと思います。運転者じゃないと答えたらプレイできるようになるけれど、そもそも車でポケスポットを回るのは反則技じゃないかと思う。

石川氏:すべてのスマホで、歩きスマホの微妙な動きを検知するのは難しい。iPhoneだけとかのレベルだったら対応できるだろうけど、すべてのAndroid端末に対応させるのは厳しいと思う。

法林氏:簡単にはできない。

石川氏:歩きスマホしなくても、ある程度プレイできるゲームの作りにはなっているので、慣れてくればできるようになるし、もう慣れ始めているような気がする。

石野氏:“急に止まりスマホ”もちょっと邪魔だよなあ。渋谷みたいに人が多いところで、ポツンと道の真ん中で立ち止まっている人がいて、何をしているのかと見ればポケモンGOをやっている。歩きスマホじゃないけど、急に止まるのもなあ。

法林氏:気持ちは分かる(笑)個人的には自転車がひどかった気がする。自転車のマナーの話は以前からあるけれど。

石野氏:そもそも乗り物を使うのはチートのようなものですから、ちゃんと歩けといいたい。

房野氏:交通マナーの問題がポケモンGOで露呈しているという感じでしょうか。

法林氏:ニンテンドーDSの「すれちがい通信」はあったけれど、これまで外でやるゲームが、あまりなかった。だから面白い取り組みだと思うし、今後も1つのアプローチになる。「パズドラ」も流行ったけれど、こういう形のゲームもあるんだということが分かった。

 課金に関しても、言葉は悪いけど、今まではズルというか、バイパスするためにアイテムを買っていたのが、ポケモンGOでは店にお客さんを呼ぶために近所に「ルアーモジュール」(ポケストップで使うと30分間周囲のポケモンを引き寄せることができるアイテム)を置いたりしている。これは面白いやり方で、広告とは違った意味合いで客を呼べる要素。現にマクドナルドは黒字になったとか客の回転数が上がったとかいわれていて、それはそれでよかった。

石野氏:問題は、マクドナルドの中に入っちゃうとGPSが捕捉できなくなること。設置されているジムでじっくり遊ぼうと思って入ると、GPSの精度が狂ってフラフラどこかに行ってしまう。Beaconとかに頼る仕組みが必要だなということは少しありました。

石川氏:屋内でもちゃんとピンポイントで位置情報を取れるように、GPSと連携した技術も増えてくると思う。今後、いろんなテクノロジーが進化して、まだまだ面白くなると思います。

......続く!

次回はサムスンの新型モデルについての会議です。ご期待ください。

@DIME編集部

最終更新:9/8(木) 8:10

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