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1.7億年前の魚竜をついに発掘、岩が硬すぎて50年間放置されていた

ナショナル ジオグラフィック日本版 9/8(木) 7:40配信

 英国スコットランドのスカイ島で、50年前に見つかった化石の発掘作業が完了し、ネッシーも驚きの怪物の全貌が明らかになった。1億7000万年前の海に君臨していた、体長およそ4メートルの海生爬虫類だ。

掘り出された魚竜化石

「ストア・ロックス・モンスター」と名づけられた化石は、ほぼ完全な骨格を保つ魚竜(イクチオサウルス)の仲間。魚竜は絶滅した海生爬虫類の1グループで、恐竜と同じ時代の海をイルカのような体で泳いでいた。イカや魚を食べるのに適した細長い吻と円錐形の歯を持ち、泳ぎも速かったと考えられている。

 アマチュアの化石収集家によって発見されたストア・ロックス・モンスターは、スコットランドで過去に発掘された海生爬虫類の中で最も完全に近い骨格を残している。しかし非常に硬い岩の中に埋没していたことから、発見から50年近く掘り出されることなく放置されていた。

 今回、英エジンバラ大学とスコットランド国立博物館、英電力会社SSEの協力により、ようやく専門技術を用いての発掘作業が可能となった。そして9月5日、掘り出されたばかりの化石は、めでたく公の場にデビューを果たした。

「魚竜が今もこのあたりの湖にすんでいると思っている人もいますが、実際にここに本物の魚竜がいたのは、1億年以上前のことです」。化石を分析した研究者のひとりである、エジンバラ大学のスティーブン・ブルサット氏はそう語る。

水力発電所長の慧眼

 ストア・ロックス・モンスターが発見されたのは、1966年の夏のこと。SSEのストア・ロックス水力発電所で長年所長を務めていたノリー・ギリース氏は、ある日曜の午後、発電所の北側に広がる風光明媚な湖岸に散策に出かけ、そこで岩から何か奇妙なものが突き出ているのに気づいた。チョコレート色の灰皿をいくつも重ねたような外観のそれは、魚竜の脊柱だった。

 アマチュアの化石収集家であったギリース氏は、みずからが発見したものの重要性をすぐに理解した。大急ぎで王立スコットランド博物館に手紙を書くと、先方も大いに興味を示し、数週間後には化石発掘のためのチームが現地に派遣された(王立スコットランド博物館はその後、スコットランド国立博物館に合併されている)。

「父はいつも“自分の身の回り”にあるものに興味津々でした」。そう語るのは、ノリー・ギリース氏の息子で、電気技師としてSSEに勤めるアラン・ギリース氏だ。「化石を見つけたとき、父にはこれがきわめて重要なものであることがわかっていました。これは自宅の裏庭で簡単に見つかるようなものではありません」

 ノリー・ギリース氏はその後数十年間にわたり、化石の件で博物館と連絡を取りつづけたが、化石は相変わらず岩に埋まったままだった。氏は自分が発見した化石の全体像を目にすることなく、2011年に93歳で他界した。

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最終更新:9/8(木) 7:40

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