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卓球・丹羽孝希「リオの銀メダルが思ったより嬉しくなかった理由」

webスポルティーバ 9/8(木) 14:50配信

 卓球日本男子史上初となる団体でのメダル獲得。銀メダルを首にかけた瞬間、丹羽孝希が感じたのは違和感だった。

【写真】男子卓球団体初となるメダルを獲得した水谷隼、丹羽孝希、吉村真晴の3人

「思ったより嬉しくなかったんです。本当はもっと嬉しいと思ったんですけど」

 試合中、喜怒哀楽は見せない。派手なガッツポーズをすることもない。感情やパフォーマンスよりも結果。そして、常識にはとらわれない。それが丹羽のスタイルだ。

 誤解されやすいことは本人も十分理解している。日本人初のプロ選手で、現在、丹羽とアドバイザリー契約を結ぶヤマト卓球の社長である松下浩二は、丹羽が試合で負けた翌日、たいてい「なぜ丹羽は声を出さないんだ!」「なぜ負けても悔しがらないんだ!」とクレームの電話がかかってくるという。

 松下は丹羽に「選手それぞれのスタイル、考えがある。好きなようにすればいい。ただ、応援してくださる方が、負けても悔しそうにしない選手を見て怒りを覚えるのは当然だということは知っておいたほうがいい」と声をかけたことがあるという。それを聞いた丹羽は、「はい」と返事をしている。

 リオ五輪の直前も、丹羽は自身のスタイルを崩さなかった。

 ワールドツアーでの1回戦負けが続いた6月下旬、松下が休養を提案。丹羽はそれに同意した。

 松下は1、2日の休養だと思っていたのだが、丹羽は一向に練習を再開しなかった。7月2日、インカレの前日になって、ようやくラケットを握る。

「5月に合宿でやり込んでいたのに試合では負けたんです。これはもう、今大切なのは練習量じゃないなって。卓球をやらされている感覚もあったので、卓球をやりたくなるまで休もうと。休んでいる間、もちろん筋トレなどのトレーニングはしていたんですけど、ラケットは一切握りませんでした」

 不安はなかったかと聞くと、丹羽は表情を崩さず答えた。

「オリンピックまで1ヶ月だったんで、ここから劇的に伸びることはないと、腹をくくって割り切りましたね。インカレがなかったら、もう少し休んでいたかもしれません」

 そのインカレで、丹羽率いる明治大は優勝。丹羽自身も復調の兆しを見せた。

「疲れも取れ、変な癖も抜けていたので、休養は確実にプラスに働いたと思います。何より、卓球が楽しいって思えたことが大きかったです」

 インカレ後、丹羽は異例とも言える練習試合を一切しないままリオに乗り込む。

「練習試合と試合は全然違うんで。練習試合だけすごい強い人もいます。僕は練習試合してもたぶん負けるんで。負けると自信が揺らいだり、プレーに迷いが生じてしまう。勝ちたい気持ちが強すぎて、プレーに変な癖がついてしまう可能性もある。だったらと、練習試合はやりませんでした。インカレで勝った印象のまま五輪に挑もうと思ったんです」

 リオは丹羽にとって、ロンドンに続き2度目の五輪。「オリンピックには、他の大会にはない独特の雰囲気がある」と言う。

「世界選手権などとは雰囲気も違います。やっぱり4年に1度だけなので。自然と気持ちも高ぶっていきましたね」

 シングルス2回戦から登場した丹羽は、セグン・トリオラ(ナイジェリア)を4-2、続く3回戦のシュテファン・フェガール(オーストリア)を4-1で下し、ベスト8に進出した。

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最終更新:9/8(木) 15:06

webスポルティーバ

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