ここから本文です

レッドラインを超えた?中国がスカボロー礁基地化へ

JBpress 9/8(木) 6:10配信

 9月2日、フィリピン国防当局は、南シナ海のスカボロー礁周辺海域でフィリピン沿岸警備隊が中国のバージ(平底の荷船)を多数視認したことを報告した。

 フィリピンと中国、それに台湾が領有権を争っているスカボロー礁は、現在のところ中国が軍事力を背景に実効支配中である。そのため、バージがどのような作業をしているのかまでは確認していないようである。しかし、中国がいよいよスカボロー礁の人工島化に本格的に着手したことは間違いないと見られる。

 かねてよりオバマ大統領は、「中国がスカボロー礁を埋め立てて軍事基地化することは、レッドライン(最後の一線=平和的解決と軍事的解決の境界線)を越えることを意味する」と中国政府に対して強い警告を発してきた。それだけにスカボロー礁周辺での新展開に、米海軍関係者たちは高い関心を寄せている。

■ スカボロー礁は“レッドライン”だ

 本コラムでも繰り返し取り上げているように、中国は南沙諸島の7つの環礁での埋め立て作業を急ピッチで進め、2年足らずのうちに7つの人工島を建造してしまった。そのうちの3つの人工島には、戦闘機はもちろんのこと爆撃機まで発着可能な3000メートル級滑走路も造り上げた。

 そして、それぞれの人工島にはレーダー施設や港湾施設をはじめとする明らかに軍事的設備と思われる様々な建造物も確認されている。まさに南沙諸島中国基地群の誕生である。

 (参考記事)
・2014年6月26日「着々と進む人工島の建設、いよいよ南シナ海を手に入れる中国」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41041)
・2015年3月12日「人工島建設で南シナ海は中国の庭に」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43161)
・2015年6月4日「南シナ海への認識が甘すぎる日本の議論」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43933)
・2015年9月24日「人工島に軍用滑走路出現、南シナ海が中国の手中に」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44833)
・2016年1月14日「中国が人工島に建設した滑走路、爆撃機も使用可能に」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45748)

 それに加えて、中国が武力を背景に実効支配を続けるスカボロー礁にも軍事基地が建設されるという情報が流布していた。

 アメリカが南沙諸島の7つの人工島以上にスカボロー礁の軍事基地化に神経をとがらせているのは、スカボロー礁と、アメリカがフィリピンでの軍事拠点として再び利用するであろうスービック海軍基地とが、わずか260キロメートル程度しか離れていないからである。

 南シナ海での米中軍事対決を想定する場合、南沙諸島の中国人工島基地群がアメリカ軍にとってきわめて大きな障害となることは言うまでもない。そのうえ、スービックに近接しているスカボロー礁に人民解放軍の前進拠点が設置されてしまうと、アメリカ海軍の作戦行動には深刻な脅威が生じてしまう。日本やハワイからスービックへ向かう米艦艇や補給船舶の航路帯の土手っ腹に、匕首(あいくち)が突きつけられる形になってしまうのだ。

1/3ページ

最終更新:9/8(木) 6:10

JBpress

記事提供社からのご案内(外部サイト)

JBpress PremiumはJBp
ressが提供する有料会員サービスです。
新たな機能や特典を次々ご提供する“進化
するコンテンツ・サービス”を目指します。