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タイ移住した日本人の“貧困老人化”がヤバい。同胞を騙して金を無心する者まで…

週刊SPA! 9/8(木) 16:20配信

 一年中温暖な気候、物価の安さ、日本食レストランの多さなどを背景に、リタイア後、タイに移住してくる日本人。本来は優雅にタイで余生を過ごすはずだった……。しかし、物価の高騰など現実は想像以上にシビアで、生活は厳しくなるばかり。ビザも切れ、もはや日本にすら帰れずに、いわゆる“沈没”。最終的には日本人を騙して食いつなぐような“貧困老人”が増えているというのだ。

 某大手商社を退職後、すでに15年、夫婦揃ってタイで暮らしているAさん(79)にリタイア事情を聞いた。タイには、ロングステイ会というリタイア組がゴルフや会食などを行う集まりが存在しているが、ここ数年で会員は減少傾向。「昔はよくテレビの取材なども受けましたよ」とAさんはかつての移住ブームを懐かしみながら、最近になって移住者が減っている理由を「物価や家賃の高騰」「昔に比べて受給できる年金の額が少ないこと」を挙げた。

 ロングステイの方たちが持っているビザは、その名も“リタイアメントビザ”。申請条件は、銀行の預金残高が80万バーツ以上、もしくは月に年金を6万5000バーツ以上を受け取っていること。つまり月に6万5000バーツ以上あれば人並みの生活がおくれるという試算から出てきた数字ではあるが、タイの現状を考えると、決して裕福な生活とはいえない。タイの家賃は先進国と比べれば安いとはいえ、年々高騰化傾向が続き、日本人居住区においてアパートを借りれば、3万バーツ(9万円)程度。郊外などに行けば価格は安くなるものの、日系レストランなどは激減し、利便性は落ちるため、快適さを求める高齢者にとっては厳しい。タイまで来て、不便な生活を、そもそもが本末転倒になる。

 ちなみにAさんは厚生年金に加え、企業年金を受け取っており、いわばリタイア組の“勝ち組”。サービスアパートというホテルと同等のサービスを受けることができる住まいに暮らし、週に2回のゴルフと週1回の飲み会を欠かしていない。

 当然、リタイア組でも年金受給額にはバラつきがある。懐事情はそれぞれで、Aさんたちの飲み会の予算は食べ&飲み放題800バーツ(約2400円)。タイではお酒の持ち込みが可能なレストランが多いため、その分で浮かせているという、なんとも切ない実情。そしてゴルフは平日のみに限定。週末と比べると、激安だからだ。ゴルフ代は1000バーツに加え交通費、食事代で、込み込み2000バーツといったところだろう。日本円にすると6000円強。Aさんのように週2回参加できる人もいれば、1回のみの人もいるという。

 物価や家賃の高騰により、日本人居住区から離れた場所に引っ越しせざるをえない人も出てきている。人気エリアはスクンビット駅からアクセスもいいオンヌットやウドムスックといったところ。この辺りは、2万バーツ以内(約6万円)で十分にファシリティが揃うコンドミニアムを借りることができる。なかにはラップラオといったまず日本人はいないローカルエリアを選択する人もいるという。その辺りなら5000バーツ(約1万5000円)で住むことも可能だ。

 節約の波は家賃だけにとどまらず、食事代にも及ぶ。食事は屋台なら、1食30~40バーツ(約90円~120円)ほど、お酒もコンビニのビールを買えば、40バーツほどで飲める。つまりは生活費を抑えようと思えば、かなり安く済ますことができる。しかし、Aさんは「そこまでしてタイにいたいのでしょうか。何が楽しいのかわかりません」と切ない実情を嘆いた。

 生活に貧窮した老人が、バンコクから離れていくパターンも多いという。そんな貧困老人が次に目指すのはチェンマイ。バンコクと比べて物価や家賃も安く、街は落ち着き、老後に暮らすには最適だといえる。

 しかし、Aさんは「チェンマイは危ないですよ。日本人が日本人を騙すパターンをよく聞きます。観光客だけではなく、我々のような在住者にとっても危険。彼らは日本人にターゲットを絞っていますので」と話す。ついに金に困った老人たちは、日本人を見つけると「お金を貸してくれないか。近々、日本から送金してもらえるから、金はすぐに返すので」といって金を無心してくるというのだ。お決まりの言葉は「日本人なら理解できるよね?」といった同情を誘いながら、口八丁手八丁で攻めてくるというからタチが悪い。かつてAさんはチェンマイのリタイア組とも交流していたが、「いつ金を無心されるかわからない」という理由から疎遠になったという。

 ただし、日本人社会は想像以上に狭い。そういった悪事を繰り返せば、噂が広まるのも一瞬。途端に住みにくくなる。バンコクですら、村社会といわれているのに、チェンマイでそのようなことを続ければすぐに村八分になるのは明らかだろう。結局、貧困老人は再びバンコクに戻り、チェンマイでの悪い噂が収まるまで身を隠し、再びチェンマイに戻っていくパターンを繰り返す。「チェンマイも狭いですからね。飲食店だって限られているし、会いたくなくても絶対にどこかで会ってしまうんですよ。ただ、そういった人がバンコクに帰ってきても、スーパーにも行かずにひっそりと生活している。もはやむなしいだけです」とAさん。

 タイ移住日本人貧困老人が勝手気ままに移動ができるのかというと、独身者が多いからだという。夫婦でタイに移住してきているのは、Aさんの感覚では「全体の半分ほど」。身寄りのない状態で生活は貧窮、日本人から金を無心し、移住先を転々とするタイでの老後……。もはやそこには優雅さのかけらも感じられない。

「タイに来る老人は、変わった人が多いですよ。本当にいろんな人がいます。だから日本人も騙されないようにしないといけない。もうこの年齢になると、昔のことって聞きづらいんですよ。どんな会社に勤めていたとか。ただ、やっぱり交流が続くようなしっかりした人はマナーもわかっているし、変なこともしません。自ずと変わった人は淘汰されていく傾向がありますね」(Aさん)

 まだまだ後進国だと勘違いして移住を考えている人もいるかもしれないが、現在のバンコクは決してそんな生易しいものではない。郊外でひっそりと暮らすにはいいかもしれないが、バンコクで優雅な生活を求めるには、それ相応の資金が必要となる。格差社会はここタイでも確実に広がっている。<文・撮影/ワダタケシ>

日刊SPA!

最終更新:9/8(木) 16:20

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