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農業技術で世界を変えるモンサント―本当の姿は?・下 --- GEPR

アゴラ 9/9(金) 8:10配信

「農業技術で世界を変えるモンサント―本当の姿は?・上(http://agora-web.jp/archives/2021313.html)」より続く。

モンサントは、2015年に300件以上の企業を毎年審査し、20社に新規投資をしたという積極的な買収活動も行っている。2013年に買収した農業情報企業クライメイト・コープレーション社のサービスを、今大きく展開しようとしていた。

同社のサービスの「クライメイト」では、iPadやスマホなどの情報端末でさまざまな農業関連情報を農家に提供。天候、衛星写真を使った農地の作物の成長、適切な肥料の投入時期の参考情報も提供する。米国の農家は1シーズンに種まき、刈り入れの時期など、重要な決断を40ほどしなければならないそうだが、その判断を情報で支える。また作業の計画や内容も、クラウドに保存できる。

このクライメイトは2015年から本格的にサービスを開始したが、無料サービスではすでにトウモロコシやダイズの作付面積の米耕地面積の7割分の農家が、これを利用しているという。データの利用量によって、無料から年数10万円の料金になる。

「『ビッグデータ』の活用があらゆる産業で検討されています。農業は大量のデータがあるのに、適切な時に必要な人に届けられないことが多かったのですが、このサービスで変わっていくでしょう」。クライメイト社のプラディプ・ダス主任研究員は語った。農業情報サービスはこれまでも、スマホなどの情報端末で使いやすいサービスはなかなか開発されていなかったという。

巨大な研究施設で遺伝子のデータを集積

モンサントの本社に隣接された中央研究所も見学した。これまでの品種改良は作物の数世代分のデータを集積し、数百の苗を掛け合わせる必要があった。また偶然性に頼る面があった。ところが遺伝子組み換え作物では遺伝子を分析して、特定の性質を持つ遺伝子を選択的に活用する。そのために品種改良の手間が劇的に減った。今は複数の性質を組み込んだ、遺伝子組み換え作物が開発されている。ただし、モンサントが一つの品種の種苗だけを提供するわけではない。その国や土地にあった品種に、遺伝子組み換えで得られた特定の性質を与えていく。すべてのトウモロコシなどの作物が単一の品種になるわけではない。

研究所では確認のために、苗を培養し、また穀物を栽培する室内農園があり、データをとっていた。

印象に残ったのは、遺伝子組み換え作物の効果だ。「写真」は、畑から展示場所に移し、1週間経過したダイズの姿だ。反時計回りに上から無農薬、農薬をかけたダイズ、遺伝子組み換えで害虫耐性を持った植物だ。すると、無農薬では虫に食べられぼろぼろになり、農薬を使ってもある程度は食べられてしまうが、遺伝子組み換えダイズは緑色のままだ。

同社が力を入れる生物製剤の効果を示す展示もあった。この薬剤は農作物の成長を促す成分を取りだし、成長を補助する肥料の一種にするもので、遺伝子工学の技術が応用されている。

根が長く成長することで、干ばつや水不足、気候変動や温暖化でも、植物が成長できるようになる。同社の最新の技術は、気候変動という日本を含めた地球全体の課題にも役立つ。

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最終更新:9/9(金) 8:10

アゴラ

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