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大統領を決めるに留まらない、11月8日の選挙が持つ重要な意味

Forbes JAPAN 9/9(金) 17:00配信

11月8日の米大統領選まで残すところ3カ月を切り、世界の関心は次期米大統領が、ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプのどちらになるかに集まっている。



ところがアメリカでは、議会と最高裁判所についても同じくらいの関心が払われている。アメリカが、行政・立法・司法の三権分立にもとづいているからである。

アメリカでは、議会が大統領を牽制することができる。つまり、大統領が望む法律の成立を拒否したり、大統領の拒否権を却下して法律を成立させたり、弾劾権を使って大統領を罷免したり、大統領の指名候補を拒否したり、大統領が署名した条約の批准を拒否することで牽制できるのだ。

議会は、連邦裁判所に対して下級審の数と管轄を変更したり、弾劾権を使って判事を解任したり、判事に指名された候補者を承認しないことで牽制する。大統領は、議会が通した法律を拒否して議会を牽制し、判事を任命することによって連邦裁判所を牽制できる。

そして裁判所は、法案を違憲と宣言することによって議会を牽制でき、大統領やその部下の行為を違憲または法律違反と宣言することによって牽制することが可能だ。

11月8日の選挙で選ばれるのは、大統領と435人の全下院議員と、100人いる上院議員のうちの34人である。下院には現在、247人の共和党議員と、188人の民主党議員がいるが、民主党が過半数を得る可能性は低い。

だが、上院では共和党54議席に対して民主党46議席であり、選挙は共和党の24議席と民主党の10議席を対象に実施される。もし、民主党が共和党から4議席を奪い、クリントンが勝てば、民主党が過半数を握ることになる。これは、上院で同数の場合、副大統領に決定権があるからだ。

民主党が上院で過半数を獲得する可能性は非常に高い。それは、共和党がイリノイ州やウィスコンシン州、ペンシルベニア州、オハイオ州、ニューハンプシャー州、フロリダ州、ノースカロライナ州、ミズーリ州、などで弱いためである。上院で民主党が多数を占めれば、クリントンが大統領になった場合、政策の批准や指名候補の承認がより容易になる。
--{最高裁判所の構成も今後のアメリカ政治において重要な鍵に}--
1月20日に新政権が発足する際、3,000人を超える政府高官が入れ替わるが、これには閣僚だけでなく、副長官や次官、次官補、大使なども含まれる。米国憲法の下では、これらの高官は上院で承認されなければならない。また、憲法は、上院に、最高裁判所判事の候補者承認も義務付けている。

2月13日のアントニン・スカリア最高裁判事の死後、オバマ大統領は彼の後任としてメリック・ガーランドを指名した。

ところが、上院で多数派を占める共和党は、「オバマはレームダック(死に体)なので、指名は彼の後任者によって行われるべき」として、承認公聴会の開催を拒否している。これは、現在の米国政治における最も重要な論点の一つである。なぜなら、最高裁判所判事の構成が、アメリカの社会・政治・経済政策を、今後何年にもわたって形づくるからだ。

最高裁判事は終身制で、82歳、78歳、76歳の判事がいるため、次期大統領は少なくとも2~3人の判事を任命することができるだろう。仮に、民主党の大統領があと1名を任命し、上院の承認を得られれば、民主党が有利になり、大きな意味を持つ。

実際、ジョージ・W・ブッシュの大統領選出の際の2000年の選挙では、最終決定は最高裁に委ねられ、その結果を決定している。オバマケア(医療保険制度改革)や中絶、同姓婚、アファーマティブ・アクション(差別是正措置)、選挙資金制度、その他の米国社会や政治の根本問題に影響する判決も最高裁判所が出している。

したがって11月8日の選挙は、単に次期米大統領を選ぶというだけではないのだ。上院や最高裁判所の構成を決定することにもつながり、今後何十年にもわたるアメリカの主要な政策に影響する可能性が非常に高く、重要な意味を持つのである。

グレン・S フクシマ

最終更新:9/9(金) 17:00

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