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アパートローンの相続はそう簡単にいかない

NIKKEI STYLE 9/10(土) 7:00配信

 数年前、母親と共同でアパート経営をしているお客様から連絡がありました。「母が亡くなり相続が発生したので銀行にアパートローンの名義変更をお願いしたのですが、このままでは引き継げないといわれました。アパートは私が相続することになっているのに、そんなことがあるのですか?」と言うのです。
 翌日、銀行へ同行して確認したら「他の相続人に連帯保証人になってもらわないと融資できないかもしれません」と担当者は冷たい返事。アパートの収益力と相談者の返済能力が問題になったようです。

■民法上、債務は法定相続分で引き継ぐことになっている

 遺産分割協議の際には財産だけでなく、アパートローンなどの債務も誰が引き継ぐかを決めます。しかしこの取り決めは相続人同士では有効ですが、債権者が承認しなければ意味のないものになってしまいます。債務については民法上、相続人が法定相続分で引き継ぐことになっています。そのため相続人のうちの特定の人が引き継いで返済するとなると、その人に新規の融資をするのと同様な審査を経て、新しい金銭消費貸借契約を締結することになります。

 債務が法定相続分で引き継がれることになっているのは債権者を保護するためです。例えば借金だらけの相続人に債務を押し付けてしまった場合、その相続人はただでさえ返済がきついため、すぐに弁済不能状態に陥ります。その状態で破産してしまえば、計画的に返済を免れることもできてしまうからです。

 通常、相続が発生すると銀行は亡くなった人の銀行口座を凍結しますので返済も滞ってしまいますが、預金残高がある場合は引き落としを続ける銀行もあります。

 あるメガバンクの支店長に「医師や弁護士などの個人事業主に相続が発生して預金が凍結されると、家賃や給与の支払いが滞ってマズイことになるのでは?」と尋ねてみました。答えは「その案件ごとの緊急性や重要性で支店長が判断することになっている」とのことでした。

 本来、ローンだけでなく銀行預金も「可分財産」といって、分割協議を経なくても相続人が法定相続分に応じて取得できるという扱いになっています。ところが相続人がそれぞれ銀行に押しかけて自分の相続分の預金を引き出したら、後に銀行が相続人同士のトラブルに巻き込まれる可能性があるため、銀行は分割協議書や銀行独自の申請書(相続人同士の同意書)を相続人から取り付けているのです。

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最終更新:9/10(土) 7:00

NIKKEI STYLE

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