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韓国WBC代表監督、金寅植が3度目の就任の背景。日本に通算成績で勝ち越すも「大谷に手も足も出ず、日本より力は落ちる」

ベースボールチャンネル 9/10(土) 6:50配信

要望に応えての再登板

 この人しかいない――昨年のプレミア12で初代王者に輝いた韓国。準決勝の日本戦では最終回に驚異の粘りを見せて4対3と逆転勝ちを収めたのは記憶に新しい。

 去る9月5日、2017年3月に開催される第4回WBC韓国代表監督に金寅植(キム・インシク)氏が就任すると発表された。

 金監督は現在69歳。韓国野球委員会(KBO)の技術委員長を務めており、球界全体を支えている。直近のプレミア12で優勝監督となり、WBCでは06年・09年に続いて3度目の登板となる。結果を出し続ける勝負師としてだけではなく、温厚な性格から国民監督と呼ばれている。

 韓国メディアは実績ある監督の就任に沸いていると思いきや、それがすべてではない。『dongA.com』では本人の体調を心配しながらも監督人選の問題点について次のように挙げている。

「金監督はもうすぐ70歳になる。プロ野球の現場は既に09年のハンファイーグルス監督を最後に退いているがなぜ、韓国球界は今となっても彼に激務をさせようとするのか。それはもう依頼できる人物が彼しかいないからだ」

 これまで代表の指揮官は韓国シリーズ優勝監督が務めると決められていたものの、今回のWBCではこの条件は撤廃された。これを受けて金監督自ら現場の監督達に就任を打診したが、残念なことにすべて断られたという。その主な理由として「他球団の選手達に気を使うことはとても難しい」などが挙げられている。

常に日本を警戒する指揮官

 KBOは組織内に「WBC準備委員会」を設置して来年3月に向けて時間をかけて準備を進めていた。ちなみにこの委員会のトップは金監督。本来ならば彼以外の人物が指揮を執り、新監督の手助けをする立場になるはずだった。今回のような想定外の事態が起こっても冷静沈着な態度を貫いている。5日に行われた就任会見では、全力を尽くすと所信表明を行うとともに大会の展望についても話した。この内容にはライバル・日本についても言及されている。

 韓国メディア『ジョイニュース24』では金監督の言葉を次のように報じている。

「プレミア12では大谷翔平(日本ハム)に手も足も出なかった。最終的にチームは準決勝で日本に勝利したが、それは運もあったからだと思う。全体的な戦力を考えれば韓国のほうが力は落ちる。しかし、実際に試合をしてみなければわからない」

 金監督にとって日本戦は特別なものだろう。

 過去、4度の国際大会で日本と11回対戦し、6勝5敗の成績を残している。彼は09年WBCの決勝戦でなぜ、イチロー(現マーリンズ)を敬遠させなかったのかと問い詰められていた姿が印象的だ。また、プレミア12準決勝後には小久保裕紀監督に「日本のよいチームリーダーになる」とエールを送ったこともある。たとえライバルであっても決して見下すようなことはせず、相手に敬意を示している。

 日本とは切っても切れない関係にある金監督。既に発表されている大会日程によれば、日韓両国が激突するのは東京ドームでのセカンドラウンドが有力だ。まずはお互いにファーストラウンドを勝ち抜かなければならない。果たして金監督にとって12回目となる対戦は実現するのだろうか。彼は今、静かに闘志を燃やしている。


豊川遼

ベースボールチャンネル編集部

最終更新:9/10(土) 6:50

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