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「信じて、つなぐ」カープ野球で25年ぶりV。石井、東出両コーチが打線にもたらした意識革命

ベースボールチャンネル 9/10(土) 21:50配信

一貫した方向性でドラフトで指名した選手が主力選手に

 あの優勝から25年、カープファンにとっては「長すぎる」時間が過ぎていった。なぜなら、FA制度、球界再編問題、主力選手のメジャーリーグ移籍――全ては、この四半世紀に起こったことだからである。

 しかし、球団は一貫した方向性で7度目の優勝を目指してきた。投手を中心とした「守りの野球」、伝統である「機動力」、これがカープ野球なのである。

 ドラフトでは、本格派投手を上位指名し、丁寧に育成してきた。前田健太・野村祐輔・福井優也・大瀬良大地・今村猛……彼らは確実にチームの主力に成長した。野手では、脚力があって、野球をよく知る選手を積極的に指名した。菊池涼介、丸佳浩、田中広輔、鈴木誠也、この顔ぶれだけでも、野手の順調な強化ぶりがうかがえる。

 そんなカープが歳月をかけて培った最高の戦力が、2016年、化学反応を起こした。1、2番打者として野球を考え抜いてきた石井琢朗・東出輝裕ら打撃コーチ陣が打線にもたらした意識は「つなぎ」と「我慢」であった。

後ろの打者へつなぐ

 トップバッターの田中は、持ち味である積極性だけでなく粘り強い打撃に取り組んだ。
「1球見ることで、相手に球数を投げさせることができることもあり、フォアボールを取る機会も増える」と狙いを把握していた。

 チームトップの安打数を誇り天性のバットコントロールを誇る2番打者の菊池もはっきりと言い切る。

「進塁打を打とうとしている中で、打球が1・2塁間を抜けているだけです。キャンプでやってきたことが出てきているだけです。基本的には「次につなげること」しか考えていません」

 この陽気な2番打者に「犠牲」「我慢」といった悲壮観はない。むしろ、野球というゲームの仕組みを考え、「楽しみながら」ランナーを進めている感すらある。

 3番の丸までもが、後続の打者にチャンスを託す意識で打席に入っていた。そこに、39歳の新井貴浩の存在である。2000安打という大記録を目前にしても、チームの勝利を最優先に考え、全力プレーを怠らない姿は、ナインに絶大な影響を与えた。外国人選手のルナまでもが言っていた。

「新井は、その全てが最高のお手本です。私も、チャンスをうしろにつなぐ意識を持っています」

 チャンスをつくる、拡大する、次の仲間に託す。だからこそ、余計な力みやプレッシャーとは無縁である。なぜなら、常に、打席に立つ選手の後ろには、最高の仲間が控えているからである。

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最終更新:9/10(土) 21:50

ベースボールチャンネル