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ポケモノミクスからマリオノミクスへ --- 久保田 博幸

アゴラ 9/10(土) 7:10配信

9月7日のアップルのスペシャルイベントでの期待は当然ながらiPhone7であった。ところがそのイベントに意外な人物が登場した。任天堂の宮本茂氏である。任天堂のiOS機向けアプリとして「スーパーマリオラン」が発表されたのである。念のためこれは日本国内向けのイベントではない。世界から注目を帯びていた新型iPhoneの発表の場であった。

8月21日深夜(日本時間22日午前)のリオデジャネイロ・オリンピックの閉会式に現れたのも安倍首相が分したマリオであった。閉会式のなかで2020年の東京五輪への引き継ぎ式が行われた。そこでのプレゼンテーションの映像は非常に洗練されたものであった。日本国歌そのものをアレンジしてしまったところから驚かされたが、その映像技術とともに、コンテンツの内容も日本を代表するキャラクターがこれでもかと詰め込まれ、その最後に登場したのが安倍マリオと称された安倍首相によるマリオであった。

これも当然ながら世界の人々が見ていた。中国・杭州で9月4、5日に開かれた主要20か国・地域(G20)首脳会議でも安倍マリオが話題となり、各国首脳らから「非常に高いパフォーマンス」と評価する声が寄せられたそうである。さらには世界銀行のキム総裁からは「親子の会話のきっかけになった」と謝意が示される場面もあったそうである。

そしてその前にもうひとつ世界を揺るがすような大きな出来事があったことを忘れてはいけない。ポケモンGOの登場である。ダウンロード数などすでにギネスに登録されるなど、世界各国で社会現象化した。ポケモンがこれほど世界の人々に愛されていたことに気付かされる現象とも言えた。これは経済的な効果も期待されたことで、アベノミクスならぬポケモノミクスとも呼ばれた。

アベノミクスと呼ばれた経済政策の柱は、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「投資を喚起する成長戦略」であった。このうち「大胆な金融政策」が最も効果があったとされているが、9月20、21日の総括的な検証でその修正が加えられようとしている。その効果そのものに対して疑問を持つものも多く、金融機関の収益への影響ばかりでなく、債券市場の機能を低下させるなどの副作用も出ている。機動的な財政政策もこれまでの自民党の財政政策とは何ら変わることはなかった。実は最も期待されていたはずのものが成長戦略であった。しかし、それは飛ばない矢とも比喩されていた。

日本における成長戦力とは何か。これはリオデジャネイロの閉会式で安倍首相が自ら強く感じ取ったものではなかったろうか。日本の誇る映像技術、ロボット技術なとどともに一番目立っていたのがドラえもんやハローキティ、キャプテン翼、パックマンなどのキャラクター達であった。これらのキャラクター達の人気は国内に止まることなく、ワールドワイドのものであることを日本人に知らしめたのではなかろうか。

そこにポケモンGOの世界的な社会現象化、さらには現在のハイテク技術のシンボル的な存在である新型iPhoneの発表の場でのマリオの登場も、それだけキャラクターが世界の人々に愛されているからこそのものとなる。

日本にとってこのキャラクターたち、つまりはハードではなくソフトの部分をもっと効果的に使えないのであろうか。つまりポケモノミクスやマリオノミクスである。成長戦略はむろんバードの面の日本技術の強さを向上させることも重要だが、せっかく世界の人々に愛されているこれだけのキャラクターを生かして、日本そのものをアピールしていくことも重要ではなかろうか。そのキャラクターを生み出す産業もしっかりと育成していくことも大切である。

これから2020年の東京オリンピックの開会式の演出なども練られることであろうが、それを通して日本の成長戦略として必要なものも再点検することが重要ではないかと思う。日銀が大量に国債を買っても世界は変わらないが、日本で生まれた大量のキャラクター達をうまく使えば、日本の将来に対する展望も開ける可能性がある。こちらのほうが余程、健全な政策であると思う。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2016年9月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちら(http://bullbear.exblog.jp/)をご覧ください。

久保田 博幸

最終更新:9/10(土) 7:10

アゴラ

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