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映画『地獄に堕ちた野郎ども』―ザ・ダムド、あるいは果てしなく堕ち続ける地獄について

ローリングストーン日本版 9/10(土) 17:00配信

"ロンドンの3大パンクバンドと言えば?"
"はい!ザ・セックス・ピストルズ、ザ・クラッシュ、そしてザ・ダムドです!!"



1970年代後半に巻き起こったロンドンのパンクシーンを牽引、今なお現役で、多くのミュージシャンに影響を与え続けている奇跡のパンクバンド、ダムド。とはいえUSローリングストーン誌が選ぶ"グレイテスト・パンクアルバム40選"にはなぜか落選してしまっているダムド・・・。

『地獄に堕ちた野郎ども』は、そんな彼らの初ドキュメンタリー。貴重なフッテージを多数収録した本作で監督を務めたのは、レミー・キルミスター(モーターヘッド)をフィーチャーした映画『極悪レミー』のウェス・オーショスキー。

68年、ステッペンウルフが『Born To Be Wild(ワイルドでいこう!)』を出し、75年にはブルース・スプリングスティーンが『Born To Run(明日なき暴走)』をリリース、77年にジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズが『Born To Lose』を放ったかと思えば、ダムドは同じく77年に『Born To Kill』。・・・まったくもって身も蓋もない(それゆえに最高にパンク)。映画の中でも語られるが、ピストルズやクラッシュとはちがい、ダムドの音楽は政治抜きでメッセージ性もほとんどなし。だからこそ純粋にロックでポップであり、さらには『ラヴ・ソング』『マシンガン・エチケット』なんて完全にハードコア(3rdアルバム『マシンガン・エチケット』に収録されたこの2曲の流れは、ザ・フーの6thアルバム『四重人格』の『ぼくは海』『リアル・ミー』の流れに匹敵するくらい素晴らしい)。

メンバーが堕ち続けている地獄について 予告編はこちら

解散、再結成などをはさみながらも、キャプテン・センシブルやデイヴ・ヴァニアンは現在もダムドのメンバーとして活動中。映画に登場するセンシブルは白いジャケットに"OLD AGE PUNK"と書いているのが微笑ましく、「ドラキュラが好き」というヴァニアンはまだまだ白塗りゴシックで可憐。ちなみにオリジナルメンバーのラット・スキャビーズとブライアン・ジェイムスは、RAT SCABIES & BRIAN JAMESなる名前で活動したりしているらしい。

映画にはミック・ジョーンズ(クラッシュ)、ビリー・アイドル、グレン・マトロック(セックス・ピストルズ)らパンクセレブリティが顔を出すかと思えば、ザ・ストラングラーズの空手キッド&三島由紀夫信奉者のジャン=ジャック・バーネル、1stアルバム『Fresh Fruit For Rotting Vegetables』(邦題は『暗殺』)で"Kill The Poor"と反語的にのたまったデッド・ケネディーズのジェロ・ビアフラなど、心憎い面々も登場。みんなが彼らの音楽を褒め称える。

ダムドのメンバーが作品中で吐き出す言葉は"金がない"やら"俺たちは認められていない"など、我が身を嘆くぼやきばかり。それでもやっぱり、音楽をやっている時の彼らは楽しそうだ。キャプテン・センシブルは言う。「俺はこんな感じで中途半端に生きてる。ミュージシャンでいるだけだ」

メンバーが堕ち続けている地獄は、良くも悪くも、果てしなく深いのだ。

映画『地獄に堕ちた野郎ども』
9月17日(土)より、渋谷HUMAXシネマほか全国順次公開
http://damneddoc.jp/

RollingStone Japan 編集部

最終更新:9/10(土) 17:00

ローリングストーン日本版

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