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ジャニス:リトル・ガール・ブルー

ローリングストーン日本版 9/11(日) 10:00配信

夭逝した新旧歌姫のドキュメンタリー映画をこの夏、相次いで見ることができた。エイミー・ワインハウスの『AMY エイミー』とジャニス・ジョプリンの『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』だ。このふたりには共通点がいくつかあるように常々感じていたが、ふたつの映画を見たことでその気持ちはいっそう強まった。と同時に決定的な違いがあることも改めて確認した。

ジャニス・ジョプリンの人生を描いた新作ドキュメンタリー映画の内側に迫る

それは時代のアイコンになり得たかどうか。60年代後半、ベトナム戦争や学生運動に代表される政治的激動、あるいはカウンターカルチャー全盛の文化的激動の時代に生きて、この時代のランドマークになったのがジャニス・ジョプリンだった。一方のエイミーは強烈な個性の持ち主であったけれど、生きた時代自体がアイコンの生まれにくい時代だった。

このサウンドトラックにはジャニス・ジョプリンという、時代のシンボルになったミュージシャンによる60~70年代を喚起させる曲がいっぱい収められている。

もっともポピュラーなのがジャニス最大のヒットとなった『ミー・アンド・ボビー・マギー』。作者のクリス・クリストファーソン本人も映画に登場してインタヴューに答えていたが、ふたりが短期間ながら恋人同士だったという当時のゴシップに触れることはなかった。

クリストファーソンのフォーク調のオリジナルを、ジャニスはシャウト唱法(懐かしい言い方?)という独自のスタイルで自分のものにした。死の数カ月後に出された遺作アルバム『パール』収録曲だから、全米No.1ヒットになったことなど彼女自身は知る由もない。ひとつ付け加えるなら、やはり『パール』に収められこの時代を象徴する曲として使われることが多い『ジャニスの祈り』(=『Move Over』)は、ここでは取り上げられていない。なにか意味があるのか少し気になった。

代表曲『心のカケラ』の未発表音源なども収められている。しかし聴くほどに心に残るのはビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー時代の2作目『チープ・スリル』でお披露目された『サマータイム』。ガーシュウィンの名曲として知られカヴァーの名盤も多いが、特徴的なイントロから始まる彼女の『サマータイム』は特別だ。ジャニスを知らない世代はこの曲をどんな風に聴くのかちょっと知りたいと思った。

Noriko Yamashita

最終更新:9/11(日) 10:10

ローリングストーン日本版

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