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【解説】キリンはこうして4種と判断された、5000頭未満の種も

ナショナル ジオグラフィック日本版 9/12(月) 17:10配信

保護政策に影響

 最新の研究により、アフリカ大陸には4種のキリンがいる可能性が出てきた。

 従来、キリンは1種のみで、9亜種が存在すると考えられてきた。ところが今回、キリンの遺伝子を解析したところ、キタキリン、ミナミキリン、アミメキリン、マサイキリンの4つの集団には明らかな遺伝的差異があることが判明、9月8日に『カレント・バイオロジー』誌に論文が発表された。

珍しい!白いキリンが撮影される、タンザニア

「キリンの亜種が遺伝的にこれほど明確に分かれていて、交雑していないとは思っていませんでした」と、論文の共著者でドイツ、ゼンケンベルク生物多様性・気候研究センターの進化生物学者であるアクセル・ヤンケ氏は語る。

「まったく見落とされていた」

 キリンのように目立つ動物について、こんな基本的なことさえ分かっていなかったのはなぜなのだろう?

「理由の1つは、キリンが科学的にあまり興味を持たれない生物だったことにあります。シロサイについての科学論文が2万本もあるのに対して、キリンに関する論文は400本しかないのです」とヤンケ氏は言う。

 世界の人々の注目は、絶滅の危機に瀕した動物や、ゾウのように激しい密猟にあっている動物、ライオンなどの肉食動物に集まりやすく、その中ではキリンは目立ちにくい。「キリンは地球上で最も背の高い動物ですが、完全に見落とされていたのです」

 この15年間、世界がよそ見をしている間に、キリンの推定個体数は14万頭から9万頭前後まで激減した。一部の科学者はこれを「静かなる絶滅」と呼んでいる。

 キリンの専門家のジョン・ドハーティ氏は、今回の研究には関与していないが、電子メールで、「キリンに複数の種があると主張したのは彼らが最初ではありませんが、キリンの分類をめぐる論争はまだ決着していません。この議論に貢献する貴重な提案として、彼らの研究を歓迎します」と見解を述べた。

 ケニアのアミメキリンプロジェクトと英クイーンズ大学ベルファストに所属しているドハーティ氏は、研究チームが提案する分類は、遺伝学的データのみにもとづくもので、重要な身体的特徴やその他の要素を考慮していないと指摘する。その点を考慮すると、「今回の知見を決定的な成果として発表するのは時期尚早だったかもしれません」と言う。

 ただ、著者らが「アフリカ大陸全土でキリンの保護にのりだす緊急の必要性がある」と訴えている点にはドハーティ氏も強く同意する。

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最終更新:9/12(月) 17:10

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