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いつまでガールフレンド?  欧米と日本の恋愛ギャップ

Wedge 9/12(月) 12:20配信

[フランス中西部Le Puyからスペインの聖地Santiagoを経てMuxiaまで]
(2015.4.22-7.16 86days 総費用37万円〈航空券含む〉)

韓国エリート官僚、尊敬すべき知識人アレックス

 6月12日 ブルゴスの教会付属の宿舎での夕食会。慈善宿であるが夕食は料理人が調理して見た目に豪華だ。サラダ、豆のスープ、チョリソ入りパスタ、カモ肉料理が並んでいる。総勢14名が着席すると教会の世話人の合図で全員夕食前の簡単なお祈り。

 その後、世話役の進行で全員が自己紹介。各自が名前、出身地、サンチアゴ巡礼の感想・想いなどを簡単に述べる。私の隣は体格の良いアジア系男性。彼は「韓国から来ました。名前はアレックス。今日は45km歩きました。サンチアゴを目指して歩きます」と自己紹介した。

 英語は余り上手くない。低い声で訥々と話す。がっしりした体格で45kmも歩いたというので軍人ではないかと想像した。第一印象はあまりお近づきになりたくないタイプだ。

 アレックスと私以外は欧米人である。食事が始まり賑やかな会話が飛び交うがアレックスは場慣れしていないようで会話の蚊帳の外であり一人黙々と食べている。ちょっと可哀想なのでアレックスに話しかけた。

 彼は考えながら正確な英語を訥々と話す。日常会話には慣れていないようだが英語の基礎的学力はかなりの水準のようだ。どんな仕事をしているか聞くと「政府の役人(government servant)で法務省(Ministry of Justice)」という。さらに詳しく聞くと「国際刑事局(International Crime Dept)」を担当しているという。国際刑事機構とのリエゾンは彼の管轄らしい。

 訥々とした話しぶりに実直な人柄が現れており好感が持てる。赤ワインで乾杯しながらおしゃべりに夢中になってしまった。

高級官僚氏は元外交官志望

 アレックスとはその後も何度か道中一緒になり、さらに二度同じ宿になった。宿ではワインを飲みながら遅くまで語り合った。彼を知れば知るほど尊敬するようになった。彼の経歴を整理すると彼は55歳。私より6歳年下ということになる。彼は大学卒業後3年間の兵役(現在は2年間だが昔は3年だったとのこと)を経て25歳で法務省に任官。

 韓国では高級官僚は勤続30年になると一か月の休暇が取れる。それで20日間でピレネー山脈の登山口、サン・ジャン・ピエ・ド・ポーから聖地サンチアゴまで750kmを踏破する計画を立てたという。

 ある時アレックスがスペインの田舎の人間とスペイン語で会話しているのを聞いて不思議に思った。スペイン語の文法が正確なのだ。聞くと学生時代は外交官を目指してスペイン語を3年間学習したという。外交官試験には失敗したが官吏の高等文官試験には合格したという。エリート官僚なのにそんな過去のことも率直に笑いながら話すところに彼の懐の深さを感じた。

 彼のソウルでの日常は毎日仕事に忙殺されて自分の時間が持てないのが悩みだという。時間があればじっくりと本を読みたいと渇望していたので巡礼の旅にも数冊持参しているという。そして彼は「もう少し仕事に余裕があれば、国家の長期的戦略や大きな課題についてじっくり思索できるのですが」と残念そうに言った。単なる官僚というよりも国士タイプの人物である。

 現在日韓両国は国民レベルでも反日・嫌韓というネガティブな感情が両国の友好親善の大きな障害になっている。韓国の反日的ニュースを見聞きするたびに悲観的になってしまうが、アレックスのような素晴らしい知識人がいることが救いである。

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最終更新:9/12(月) 12:20

Wedge

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