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『君の名は。』新海誠インタビュー 震災以降の物語/『シン・ゴジラ』との共時性?

KAI-YOU.net 9/12(月) 19:00配信

新海誠監督が手掛ける映画最新作『君の名は。』。本作は、エンターテインメント性にあふれるアニメーション映画として、新世代のマスターピースになりうると同時に、「2011年以前では決して生まれることのなかった作品」(新海監督)だという。

【大ヒット上映中の『君の名は。』関連画像】

日本人の価値観を大きく変えた出来事をモチーフの1つに、願いや祈りを物語の軸としたことで生まれた結末。

インタビュー後編では、ラストの決断に至った背景や、奇しくも同年に公開された怪獣映画との偶然についても言及する。(取材は8月13日に行ったもの)

※本稿には、物語の核心に触れる記述があるため、映画『君の名は。』および、小説版を未見の方にはネタバレになる恐れがあります。ご注意ください。

震災以降でなければありえなかった作品

──監督ご自身は「自然な変遷の中で生まれた作品」と語られましたが(前編)、やはり個人的には、過去作品からの明確な変化も感じました。

まず、人為の及ばない災害というのは、日本人としては(震災を)想起せざるを得ないモチーフだと思いますが、これを描くに至った経緯はどのようなものだったのでしょうか?

新海誠(以下、新海) 『君の名は。』は、震災以降でなければありえなかった作品だと思います。とはいえ、物語を考える過程で、自然に出てきたモチーフでした。

直接的に震災を描いてはいませんが、僕らには、知識や体験として震災がある。2011年以降、僕も含めて、多くの日本人が「明日は自分たちの番かもしれない」あるいは「なぜ(被災したのは)自分たちじゃなかったんだろう」という思考のベースに切り替わっていったように思います。

そういう意味では、2011年を境にして、僕たちは以前と違う人間になっている。変化した受け手に向けて、同じく変化したつくり手がつくる物語としては、決して不自然なモチーフではありません。

──あくまでも環境の変化という流れに沿った作品であると?

新海 僕らはその変化の上に生きているのだから、フィクションに対する想像力も変わってくる。

新海 例えば、僕は小説家の村上春樹の作品が好きですが、オウム真理教事件以降、彼が信者や被害者に取材した『アンダーグラウンド』という分厚いインタビュー集があります。いろんなことを感じる読み物ですが、僕は、そのノンフィクションではなく、それ以降に結実していった小説の方が好きです。

『君の名は。』も、あの震災を物語の中心に据えよう、真正面から向き合おうと思ったわけではありません。自分の身近な出来事として感じてもらえる物語を書こうとしたときに、フィクションでありながらも、確からしさを感じさせる舞台装置だった、というのが正直な気持ちですね。

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最終更新:9/12(月) 19:00

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