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「貧乏弁護士」が急増。飲食店でバイトする若手も…

週刊SPA! 9/12(月) 9:10配信

 日本における国家資格の最難関である司法試験。突破した者には富と栄誉が約束されていたのは、今や昔。気がつけばサラリーマンよりも稼げない若手弁護士が急増。その困窮の現場を探った。

⇒【グラフ】司法試験合格者推移

◆リッチなエリートのイメージは過去のもの

 超難関で知られる司法試験をクリアした弁護士といえば、リッチなエリートの代名詞的存在。そんな誇りとともに弁護士バッジを胸につけた彼らの残酷物語を、日経新聞が報じて話題になっている。「弁護士の年収低下 新人は5年前比210万円減」と題した同記事は、法務省が日本弁護士連合会の協力を得て実施した調査結果による。’15年に弁護士登録した新人の平均年収は568万円。’10年に弁護士登録した新人の同778万円に比べ27%もダウンしているという。

 4年間の勤務弁護士生活を経て今年独立した若手弁護士の山崎みのりさん(仮名・38歳女性)は、新人時代を苦しそうに振り返る。

「日経の記事は、勤務弁護士のことでしょう。確実に年収は減っています。私が勤めていた法律事務所では、私より10年前に入った先輩は、月給40万円から始まり、今は年収1000万~1500万円くらい。ですが私は4年間ずっと月給30万円のままでした。一旦上げた人の給料を下げられないから、新しく入ってくる人の給料を最初から低く設定して、上げることもできないんです」

 下記の司法試験合格者推移のグラフのように、’06年に新司法試験制度が導入されて以来、合格者数は毎年およそ500人程度増え、10年間で1万4000人以上も激増。しかし、民事・刑事の事件数はむしろ減っているため、弁護士一人あたりの仕事はさらに減るという絶望的な状況だ。日弁連がまとめた『弁護士白書2015年版』によれば、’06年には弁護士業界全体の平均年収は3500万円を超えていたが、’14年には2500万円を割り込んだという。

◆顧客も仕事もなく飲食店でバイト

 3年前に弁護士登録した原田史康さん(仮名・32歳男性)は、若手としていいように使われる生活に疲れ、今年独立を決意した。

「私が最初に勤めた法律事務所は月収30万円で、そこから弁護士会の会費、年金保険料、健康保険料などを払うので、実質は20万円程度。しかも個人案件を引き受けるのは禁止でした。10~23時くらいの勤務で残業代ナシでした」

 まるでブラック企業のような勤務体系だが、そもそも弁護士には「残業代」という概念はない……というのが、この業界の定説だと原田さんは嘆く。そして彼は逃げるように別の事務所に……。

「移った事務所、ここもキツかった。痴漢や未成年買春をやってしまい、捕まるかもしれないと怯えている気の弱い相談者に高額の弁護士費用を払わせるのがやり方で、良心の呵責に耐えられなかった」

 こうして、どうせどこの事務所もブラックならば……と事務所を開業した原田さんだったが、苦しい日々はさらに続いた。

「独立したはいいものの“顧客”はゼロ。やっと仕事が来ても経験が少ないため信用してもらえなかったり、法律相談にきた見込み客から話をうまく聞けなくて依頼に繋がらなかったりして、月収はほぼゼロです」

 所在なさげに手をさする原田さん。その手は弁護士の手とは思えないほど荒れていた。

「実は仕事がなくて飲食店でバイトしているんです。もちろん、自分が弁護士だとは言ってません……さすがに言えないですよね」

 司法試験を突破した現役弁護士が、飲食店で皿洗いをしている……記者は言葉を失った。

グラフ作成/前之浜ゆうき

― [貧乏弁護士]急増にはワケがあった ―

日刊SPA!

最終更新:9/12(月) 9:10

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