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香港市場が上昇トレンド形成 大相場の可能性

マネーポストWEB 9/13(火) 16:00配信

 香港市場に活気が戻っている。9月12日はNYダウの急落を受けて、香港ハンセン指数は3.4%安となったものの、出来高は増えておらず、また、2日の終値を上回って引けている。9月9日には場中で24364ポイントを記録、2015年8月11日以来の高値を付けている。

 7月の中旬には200日移動平均線、52週移動平均線を越えている。この時点で強気相場入りしたといえよう。その後も上昇トレンドを形成、9月5日には2015年秋の高値を超えており、大相場の気配さえ感じさせる値動きである。

 上昇要因として、次の3点が指摘できる。

 第1に、本土市場からの資金流入期待が挙げられる。今年の全人代以降、深港通(深セン取引所、香港取引所を通じて、本土個人投資家が香港株を、海外投資家が深センA株を買える制度)の開始が、いつ発表されてもおかしくなかったが、ようやく8月16日の国務院常務会議において実施案が批准された。

 ただし、批准されたといっても、実際に深港通サービスが始まるのは12月以降である。また、2014年11月に滬港通(上海取引所、香港取引所を通じて、本土個人投資家が香港株を、海外投資家が上海A株を買える制度)が始まっており、深センA株を発行しているH株を除く主要香港株について、一定規模の本土投資家は上海市場を通じてすでに香港株を買うことができる。

 しかし、深港通の実施はあくまで中国資本市場の国際化、自由化の一環である。保険業監督管理委員会は9月8日、保険会社が滬港通を利用して香港株を買うことを試験的に許可した。そのことが9日の株価上昇につながったのだが、こうした形で資本市場の自由化が進むと期待する市場関係者は多い。

 滬港通を通じた本土から香港市場への売買動向だが、8月3日以降、9月9日まで資金流入が連続している。特に、9月に入ってからの資金流入額はそれまでと比べて大きく増えている。ちなみに、9日の香港市場における滬港通による買いの売買代金シェアは6.1%程度と推計されるが、本土の買いが香港地場の買いを誘う効果も考慮すれば、影響は決して小さくない。

 第2に、世界的な金融緩和継続見通しが挙げられる。イギリスのEU離脱決定を受けて、世界全体が金融緩和に傾いている。アメリカでは口先の利上げ誘導発言はある。しかし、経済統計を見ても、国際情勢を見ても、金利を上げるのは困難な状況である。少なくとも、グローバルな投資家が新興国市場からアメリカへと資金を引き上げる動きは見られない。

 香港ドルは米ドルにペッグしており、香港金融当局は金融政策を放棄せざるを得ない状態である。しかし、アメリカが利上げを行わなければ、香港においても金利は低いままである。

 中国を背後に持つ香港は、世界の中でみれば相対的に経済活動が活発である。経済実態に対して現在の金利水準はやや低い状態とみられる。そうであれば、流動性過剰で株価は上がりやすくなる。

 第3に、中国経済への信頼回復が挙げられる。

 成長率が下がること自体、問題ではない。当局が経済をコントロールできなくなることが心配である。現状の経済政策は短期的な景気回復に重点が置かれているのではなく、供給側改革、成長産業の育成など長期的、持続的な発展のための戦略に重点が置かれている。マクロコントロールの結果としての“低成長”である。そのことを世界の投資家は理解しているからこそ、景気が減速する中で、香港株式市場に資金を投じている。

 懸念材料はアメリカである。9月9日のNYダウは世界的な金利上昇やアメリカの利上げ懸念などを背景に394.46ドル下落している。FRB(連邦準備制度理事会)が金融システムの正常化を優先させて、無理な利上げを行えば、金利負担増でオイルシェール産業、住宅産業、自動車産業が大きな影響を受ける。長期金利の上昇は財政逼迫を加速させる。景気が過熱し、金利を上げざるを得ないほど実体経済が良いなら別だが、そうでない限り、これ以上の利上げは無理だろう。

 FRBが無理な利上げを行わず、NYダウが崩れない限り、香港市場は大丈夫だろう。年末に向けて香港ハンセン指数は2015年4月27日の高値28588.52ポイントを目指す展開と予想する。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週間中国株投資戦略レポート」も展開中。

最終更新:9/13(火) 16:00

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