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自衛隊はゴジラの東京湾上陸を阻止できるか?

PHP Online 衆知 9/13(火) 12:20配信

災害大国ニッポンにおける守りのかなめ「自衛隊」。彼らは日本を守るため、日々鍛練と技術革新に挑んでいる。そんな彼らが守る首都・東京に、もしゴジラのような“怪獣”が襲い掛かったら……。
本書『自衛隊対ゴジラ』(高橋信之企画、未来防衛研究所著)は、こうした危機的状況を想定し、自衛隊の防衛力を徹底的にシミュレートした戦略防衛解説書である。ここでは、もしゴジラのような怪獣が東京湾に上陸してきたらどうなるのかを、本書から抜粋編集して紹介する。

東京湾からの上陸を阻止せよ

海上自衛隊保有の兵器のうち、今回のような場合に有効な兵器としては、どのようなものが挙げられるであろうか?
海上を戦場として対怪獣攻撃が行われるのであれば、基本的には、有効な兵器の種類は《海上戦》のものと変わりはない。
すなわち、『大砲』『対艦ミサイル』『アスロック』の3点である。さらに付け加えられるとすれば『機雷』が挙げられるだろう。
機雷については、その保有する機雷の性能を各国とも最高機密としているために、ここでは一般的なことを概説するにとどめる。
機雷は、その敷設状況によって係維式と沈底式に分けられ、また起爆の方法によって触発式と感応式に分けられている。
触発式は、目標が機雷本体から出ているアンテナ等に触れると起爆するタイプのもので、現在ではあまり使用されていない。
感応式は、磁気感応式、水圧感応式、音響感応式等の3タイプにさらに分けられるが、巨大な生物相手に有効と考えられるのは、水圧感応式のものである。これは、巨大な物体が通過する際に発生する、水圧の変化を感知して、起爆するものである。
横須賀を根拠とする掃海隊群に掃海母艦『うらが』が配備されている。本艦は、機雷敷設艦としての機能も持ち合わせており、短時間で多数の機雷を敷設、敷設状況は艦内の機雷戦指揮室及びCICルーム(戦闘情報室)に自動表示される。
機雷戦の実行に際しては、一般の(味方の)船舶の航行にも制限が加えられることが避け得ないため、付近を通航する船舶の航行管制には十分な注意が必要である。
どの兵器を使用するにせよ、海上自衛隊の場合は、兵器の装備及び配備については、移動に要する時間の問題は比較的小さいものとみることができる(ただし、これも、事前に動員準備態勢が整えられていれば、の話である)。
航空自衛隊が保有している対艦、または対地攻撃能力を持つ兵器には、どのようなものがあるだろうか?
航空自衛隊の戦力のうち、対艦・対地攻撃を目的としているものは、F-2戦闘機1機種のみであるといっていい。
最大速度マッハ約2.0、最大航続距離約4000キロメートル。JM61A120ミリバルカン砲を装備し、80式空対艦誘導弾(ASM-1)または93式空対艦誘導弾(ASM-2)を最大4発を搭載できる。ほかにも、対艦ミサイルに換えて誘導爆弾や空対空ミサイルを搭載することも可能だ。
F-2戦闘機は、青森県三沢に基地を置く第3航空団に2個飛行隊(第3、第8飛行隊)が、福岡県築城に基地を置く第8航空団に一個飛行隊(第6飛行隊)に配備されているほか、宮城県の東松島に基地を置く第4航空団・第21飛行隊にも、練習用に複座型のF-2Bを配備しているなど、航空自衛隊全体ではF-2戦闘機を合計92機保有している(平成27年3月現在)。
訓練部隊である第21飛行隊を除くと、東京湾により近いのは三沢基地なので、動員命令が下されれば、第3または第8飛行隊から、まず茨城県百里に置かれている第7航空団基地に、戦闘機をパイロットとともに移動し、それから発進することとなる。
百里基地に置かれている航空部隊にも、F-15J、F-4EJ(改)戦闘機が配備されており、無誘導爆弾を投下したり、20ミリ機関砲で牽制したりということは可能だ。とはいえ、やはり対地・対艦攻撃能力を重視して設計されたF-2戦闘機を呼び寄せる方が効果的な攻撃が行えるだろう。浦賀水道付近で怪獣の脅威が確認されたからと言って、即座に最寄りの百里基地から迎撃部隊が飛び立つというわけには、なかなかいかないのである。
F-2をはじめとする、航空自衛隊の各戦闘機が装備する20ミリ機関砲は通称『バルカン砲』と呼ばれるもので、発射速度は毎分4000発から6000発。やわな戦車であれば、装甲を切り裂いてしまうほどの威力を持つ。
80式空対艦誘導弾はASM(エア・トゥー・サーフェイス・ミサイル=空から面へのミサイル)-1と呼ばれ、有効射程は百数十キロメートル、慣性航法装置とホーミング・レーダーを組み合わせたハイブリッド誘導方式である。現在では、さらに新型の93式空対艦誘導弾(ASM-2)が配備されている。
威力的には、このASM-1.2空対艦ミサイルが最も有望な兵器である。
では、陸上自衛隊が保有している対艦、または対地攻撃能力を持つ兵器には、どのようなものがあるだろうか?
だが、それ以前の問題として、陸上自衛隊の部隊、及び兵器の移動には、海・空とは比べものにならない制約がある。
部隊を移動及び配置するための用地の接収という問題もあるが、何よりもまず、地上を移動するということからくる物理的、時間的制約が大きい。
部隊と兵器の移動に、時間がかかりすぎるのである。
一般的に想像されるように、怪獣の上陸地点をあらかじめ予測してそこに火器部隊を集結させ、待ち伏せに近い形で一気に叩く! というスタイルで上陸阻止戦を行うことは、実際には、ほとんど不可能に近い。
上陸阻止戦において陸上自衛隊が果たす役割は、ほとんど期待できないと言ってよい。
怪獣の習性が事前によほど詳しく把握できており、さらに付近の住民、施設、湾内の船舶等の避難が完全に近い形で終了しているか、あるいは、自衛隊の攻撃の余波よりも怪獣を野放しにした際の被害の方がはるかに甚大であるというリスクの算定がなされているのでもない限りは、そもそも、上陸阻止戦そのものが決行できるのかどうかが問題である。
しかし、万一の事態として、怪獣に内陸深く侵攻された場合が想定され得るので、近傍の各基地の隊員に外出禁止命令が出される等、陸上自衛隊にも当然、何らかの動員準備態勢は敷かれることにはなるだろう。
結局、怪獣の上陸を阻止するための最もよい方法は、《海上で撃破する》ことに尽きるのである。

未来防衛研究所

最終更新:9/13(火) 12:20

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