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事故多発する「つくばエクスプレス」、労基署に告発も(片岡伸行)

週刊金曜日 9/13(火) 17:46配信

多発するドア挟み事故

 つくばエクスプレスで問題が多発している。8月18日に千葉県・南流山駅でドア挟み事故、同28日には危険ドラッグ所持容疑で運転士の逮捕……。内部告発を元に取材を進めると、運行する首都圏新都市鉄道(株)の安全軽視の経営実態が明らかになってきた。

 第3セクター方式で設立された「つくばエクスプレス」(TX)が開業し、8月24日で11年。研究学園都市(つくば駅、茨城県)からIT(情報技術)の街(秋葉原駅)まで58・3キロメートルを最速45分間で結ぶ、踏切なしの快適路線だとPRされる。しかし……。

 後に掲載するように、4、5月の2カ月だけで6件の事故・トラブルが発生。とくに「ドア挟み」は死傷事故に直結する危険性がある。つくばエクスプレスの車両ドアは厚さ1・3センチ以上の物の挟み込みを検知すると、発車できない仕組みになっている。しかし、八潮駅(埼玉県)と流山おおたかの森駅(千葉県)のトラブルでは、いずれも検知の基準未満だった上、運転士や駅ホーム係員も気づかなかったという。

 事故・トラブルの連続発生を重く見た関東運輸局鉄道部の安全指導課による保安監査が5月24日から4日間実施された。翌6月21日、つくばエクスプレスを運行する首都圏新都市鉄道(株)(柚木浩一代表取締役社長、本社・東京都台東区)で、柚木社長以下役員と幹部の出席による2016年度「第1回鉄道安全委員会」が開かれた。当然ながら、安全対策が主題だ。ところが、この会議では以下のような驚くべき発言がなされたという。

 柚木社長が「出発時の車両ドアへの荷物挟み込み事故」について、「今までにも同事象は発生していたのか」と、まるで部外者のような質問をする。それに対し、「運輸部」が、2012年度=5件、13年度=11件、14年度=14件、15年度=12件、16年度=4件(4月1日から6月20日までの2カ月半余の期間のみ)と、過去5カ年度の発生件数を報告。すると、柚木社長は「年間10件前後発生しているのであれば、現時点では減少傾向である。しかし、しばらく経つと同事象が再び発生する可能性もある」などと言い放ったという。

 同日までの2カ月半余でドア挟み事故が4件発生しているにもかかわらず、どのような判断基準で「減少傾向」と言えるのだろうか。

 しかし、この柚木社長のひと言で、ドア挟み事故対策は「ソフト面による対策」(列車乗務員や駅係員による対応強化)を講じることになり、JR東日本や東京メトロなどで導入しているホームドアの「3Dセンサー」など、同社の試算で十数億円かかるとされる「ハード面の対策」は事実上先送りされた。安全にカネはかけず、社員任せの対策を優先した格好だ。

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最終更新:9/13(火) 18:03

週刊金曜日

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