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広島25年ぶりの優勝セールと消防団への注意喚起

Wedge 9/13(火) 11:20配信

 四半世紀ぶりの広島優勝は、社会的、経済的にどんな波及効果をもたらしているのか。

 経済効果は優勝マジックナンバーが13となった8月29日の時点で、広島市のシンクタンクが278億円と発表。さらにマジックが3に減った9月7日に、関西大学が宮本勝浩名誉教授(71歳)の試算として331億4916万円と、大幅に上方修正した数字を明らかにした。2003年阪神の1481億円(宮本研究室)、2007年巨人の418億円(日興コーディアル)には及ばないものの、2010年中日の215億円(共立総合研究所)、2013年楽天の230億円(宮本研究室)を100億円以上も上回る。

 それほど盛り上がったからか、優勝が目前に迫ってくると、本拠地マツダスタジアムのチケットもネットオークションに破格の値段で出品された。とくに本拠地での優勝決定の可能性があった8日の中日戦はネット裏の砂かぶり席が1人50万円、三塁側内野指定席で40万円、外野自由席でさえ3~5万円と大変な高値が付けられている。

 このころから地元マスコミにも様々な優勝関連のニュースが流れるようになった。地元有力紙の中国新聞は、広島駅からマツダスタジアムへ通じる道(通称「カープロード」)が拡張されるという情報をはじめ、25店舗以上に及ぶ優勝セールの期間と内容を一覧表にして掲載。広島市だけでなく、芸北と呼ばれる山間部の商店街のセール、三原市で行われる地元画家のカープの絵の個展なども地域面で紹介するという念の入れようである。

 地元の民放テレビ局は、4局中2局か3局が連日、朝や昼のワイド番組でカープ関連の情報を伝えている。やはり25年ぶりの優勝を機にファンの購買意欲、消費意欲をあおるものが多い。有名デパート・百貨店の「中身3万円、値段7500円」の福袋。広島球団御用達の仕立て屋が選手と同じ生地を使用し、特別に格安の値段でつくってくれるオーダーメードのスーツ。2500円の飲み放題セットと一緒に注文すれば無料になる1万円の高級ステーキ。このあたりはいいとして、新井の背番号にちなんで(?)カレーライスを250円にした食堂とか、髪を赤色に染めたら無料にする理容院なんてのも紹介されている。

 定番は日本酒の振る舞い酒、ビールを1杯無料、もしくは全部半額にする飲食店のサービスだ。そんな盛り上がりが思わぬトラブルに発展することを懸念し、地元消防団は団員に事前にこんなメールを配布している。

 「優勝が決定した際には、他都市等の過去の事例から、市民等が過剰飲酒や歓喜のあまり暴徒化したり、事件や事故につながる行動に走ることも考えられます。消防局では、こうした事態に備え、特別の警備体制を検討している状況です。消防団としては、直接の警備活動は行わない予定ですが、いざという場合には出動もあり得ることから、これに備えてください」

 このように警戒を促す一方で、団員自身にも自覚を求めているところが面白い。

 「なお、優勝を祝う際には、市民を守る立場にある消防団員自らが他に迷惑を及ぼすことのないよう、節度ある行動をお願いします」

 1975年の初優勝のときは、優勝決定の夜に一部のファンが繁華街で暴れだし、女性が被害に遭ったという話も伝わっている。当時が球団創立26年目、今回が前回優勝から25年目。消防局や消防団が「いざという場合」に備えていたのも当然だろう。

 もっとも、今時のファンは昔に比べて女性や子供が増え、総じて優しくなった。マツダでの広島-巨人戦のあと、カープロードから広島駅へ向かっていると、巨人ファンの落としたオレンジ色のタオルを赤いユニフォームを着た広島ファンが拾い、巨人ファンが頭を下げて礼を言ったりしている。こんなふうにカープが敵も味方も楽しめるチームになったからこそ経済効果も上がったのだろう。25年という時の長さを実感させられる。

赤坂英一 (スポーツライター)

最終更新:9/13(火) 11:20

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