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「誤解」で景気回復は可能だったのか? 書評:金融政策の「誤解」(塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 9/13(火) 5:00配信

黒田日銀総裁の「QQE(量的・質的金融緩和)」について、かつて日銀きっての論客と言われた早川英男氏が解説した本が出ました。金融政策の「誤解」(慶應義塾出版会)です。

難解な事象を理路整然と、かつ読みやすい文章で解説した本です。初心者向けとは言いませんが、数式はほとんど出てこないので、中級者向きと言えるでしょう。もちろん、上級者が読んでも得るところは多いと思いますが。

(内容の紹介)
■QQEは短期決戦を目指した賭けだった
リフレ派は、日本経済の長期低迷の理由はデフレによる需要不足にある、ゼロ金利下でも中央銀行が使える有効な金融政策手段は十分にある、財政赤字の問題はデフレ脱却による経済成長で大部分解決できる、と考えている。

リフレ派の理論は経済学界の主流派から相手にされていないので、黒田日銀総裁が信じていたとも思われない。しかし、QQEにより円安になる可能性に賭けてみる価値はある、と考えたのであろう。

非伝統的金融政策は、「普遍化」している。タイプ別に見ると、中央銀行が市場に供給する資金の量を増やすもの、長期金利を押し下げるもの(時間軸政策、長期国債購入の二通り)、信用緩和(社債等の購入によるリスク・プレミアム圧縮がある。

量的緩和は、理論的には効果が無いと考えられる政策であり、円安、株安になる可能性(偽薬効果)に賭けたものであるから、効果は「やってみないとわからない」のである。

緒戦は成功だったので、消費者物価上昇率が1.5%になった時点で勝利宣言を出してしまえば良かったのだが、長期戦となったために苦戦している。

マイナス金利政策は評価している。イールド・カーブを全体に押し下げる効果は明白であるし、国債大量買い入れより持続可能である。機動的に追加緩和も行える。発表が「だまし討ち」的であったこと、たまたま世界的な金融市場の動揺と重なったこと、金融機関の収益が悪化すること、などにより評判が悪いのは残念。

マネタリーベースを増やす政策は、政策波及ルートが不明確な上にマイナス金利政策と整合的でないので、やめるべき。続ければ続けるだけ、出口戦略の際の日銀の損失が拡大する。マネタリーベースの増加は日銀の通貨発行益であるという論者もいるが、超過準備の部分については通貨発行益では無い。

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最終更新:9/13(火) 5:00

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