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「ふるさと納税」の足引っ張るマイナンバー制

JBpress 9/13(火) 6:15配信

 ふるさとチョイスやさとふるをはじめとしたポータルサイトの登場によって、小さな自治体がネット参加できるステージも整い、いよいよ自治体が「ふるさと納税」への取り組みを本格化していくことが予想される。

 しかし実はそこに、死角が潜んでいる。

 日本にもいまだネットを利用しない人は一定数いるのである。特に、高齢者ではその割合が高くなる。

■ 電話での問い合わせ殺到

 ポータルサイトは確かに「ふるさと納税」にかかる手続きを簡略化したが、ネットを利用しないという人にはそれも意味をなさない。彼らには今も、電話での問い合わせやファックス、紙を媒介にしたやりとりが発生するのだ。

 昨年、佐賀牛を中心にした返礼品で7万3000件を超える寄付を集めた嬉野市では、電話による問い合わせが殺到したという。ファックスや郵送での申込書のやり取りに担当の坂田氏を始め、複数の職員がその業務にかかりきりにならざるを得なかった。

 「12月に入ってからは、1日中電話が鳴りっぱなしでした。毎日その対応に追われて、本来の仕事が全くできないほどでした。有り難い気持ちはあるものの、正直、大変でした」(嬉野市・坂田千夏主任)

 翌年の確定申告で控除を受けるためには、前年の間に寄付をしておく必要がある。お歳暮の時期とも重なり、12月には特に寄付が集中するのだ。

 電話での申込みが12月だけで450件。7万3000件を超える年間の件数と比較すればわずかな割合だが、ネットによらない寄付の申込みには、職員の手間は何倍、何十倍かかると言っても過言ではない。1カ月で数百件の申込みが入れば、ほかの仕事ができなくなるのもうなずける。

 こうした昨年の経験から、嬉野市は坂田主任のほか、もう1人専任の担当者をつけ、2人体制に替えたという。だが、それにしてもネット以外で申し込みをする納税者の手続きを、いかに簡略化していくかは、これからの大きな課題である。

 ところで、ネットを使わないユーザーの問題以上に各自治体が頭を痛めている問題がある。それは、マイナンバー制度によって発生する手間だ。

 昨年の制度改正によって、確定申告が不要な給与所得者に限り、寄付先が5団体以内なら確定申告が不要になるという「ワンストップ特例制度」が設けられたことは、前々回触れた。

■ マイナンバー制の泣き所

 この特例制度によって、寄付を希望する人にとって、「ふるさと納税」はさらに手軽なものになっだのだが、マイナンバー制度が施行されたことにより、ふるさと納税の申請書にマイナンバーを付記することが義務づけられたのだ。

 ところが、マイナンバーは電子データでやりとりすることが法令上禁止されているため、ポータルサイトがシステム化することが現状ではできないのである。

 するとどうなるかというと、ワンストップ特例制度の申請者は、紙の申請書に免許証とマイナンバー通知書のコピーを同封したものを郵送で各自治体に送るしかないのである。

 これにより寄付者に手間が増えてしまうのだが、申請書を受け取る側の自治体の作業は、それとは比較にならないほどの負担を生むのだ。

 1通ごとに開封して名前とナンバーを照らし合わせて間違いがないかをチェックする作業は、何万件もの申込みが入ってくる自治体にとっては、気の遠くなるような手間と労力だ。

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最終更新:9/13(火) 6:15

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