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「選挙に行くな! そして日本は中国に朝貢せよ!」 外山恒一の主張をあなたはどう思う?

週刊SPA! 9/13(火) 9:10配信

 混迷を極める、現代ニッポン。果たして何が正しく、何が誤りなのか……。一見、異端に見えても、それがたちまち正鵠を射るときがくる。さまざまなジャンルの論客たちが、既存の常識、価値観を揺さぶる!

⇒【写真】外山恒一氏

 アメリカ大使館前に迷い込んだ“ニセ選挙カー”はおもむろにこう街宣しだした。

「アメリカ様、民主主義ありがとうございました。もういりません。選挙反対、目指せ投票率0%。外山恒一がアメリカの皆様に民主主義をお返しにやってまいりました」

 7月に行われた東京都知事選挙の期間に、都知事選とまったく無関係に展開されていた外山恒一氏の「ニセ選挙運動」のひとコマである。

 外山氏がその名を世間に馳せたのは、今をさかのぼること9年前の東京都知事選挙に“本当に”立候補したときのことだった。「選挙で何かが変わると思ったら大間違いだ!」と「政府転覆」を訴える彼の政見放送は大きな話題となり、今も動画サイトで再生され続けている。そのインパクトから「頭のおかしい元泡沫候補」「色モノ政治活動家」と思われがちな彼だが、実はその主張は一貫している。

 今回の「ニセ選挙運動」では街宣車を“選挙カー風”に仕立て上げ、「外山恒一がついに帰ってまいりました。帰ってきただけです。立候補はしていません。みなさんが選挙に行くから、誰かが当選してしまうんです。東京に知事はもういりません」と17日間、「選挙ボイコット」を訴えてまわった。

 期日前投票があるので選挙戦が始まった瞬間に「投票率0%」なんてあり得ないなどのツッコミがすぐに頭をよぎるが、実は外山氏の本意は別のところにある。

「別に選挙に行きたい人は行けばいいと思いますよ。でも、選挙は多数派のお祭りであって少数派が選挙で勝つことはありえない。だから我々少数派が『社会を変えたい』と思ったならば、選挙に頼らない方法を自由に発想しなくてはいけない。そのためにはまずは選挙を相対化しなくてはいけないわけですが、『ニセ選挙運動』はそのきっかけを提示するためのパフォーマンスであり、運動ということです」

 だが、選挙以外の方法とはいったい何なのか? 答えは「リベラルではないラジカルな学生運動の復興」である。

「左右を問わず、穏健派で『これまで選挙に期待して頑張ってきたけど、全然ダメだ』と思い始めている人たちに呼びかけているんです。選挙に勝てなくても、そういう選挙に絶望した人たちが集まればいい。政府が対応に困るような学生運動が盛り上がらないことには、変革は始まりもしない。それが国会で野党を勝たせようみたいな、政府の想定内の運動だとダメで、幕末や’60年代のように政府が想定していないことをしないと。歴史上、社会が激動したり変わったりするときって若者が騒ぎだすのが普通ですからね」

 外山氏本人も若かりし頃は他人が主催するイベントの“粉砕”を試みるような極左の過激派だったが、自称「良いファシスト」に転向後の活動はそこまでは過激に見えない。だが、「直接暴力的に見えなくても、人々を扇動する知恵を身につけたわけですよ。いざ若者が暴れ始めたら、『若い連中は血の気が多くて止められませんからなぁ』って言おうかな(笑)」とうそぶく。このどこまで本気かわからないユーモアも外山氏の魅力のひとつである。

◆左右のシンパにすら評判の悪い親中路線

 そんな外山氏の周辺には左右を問わず、さまざまな思想背景の人々が集まるが、最近主張していることは大変評判が悪いという。

「みんなに怒られてるんですけどね、『日本は中国の冊封体制下に入れ』って言っているんです。活動資金難なんで中国共産党から活動資金をもらえないかな、なんて魂胆もあるんですが(笑)。米中どちらにつくか選択を迫られる日が近づいてて、しかもアメリカはもう日本を見捨てる気まんまんです。安倍サンがもっと調子に乗って、中国を本気で怒らせてくれないかなあと期待してて。もし日中が戦争になれば日本は負けますし、中国がGHQみたいに進駐してきて、やがて傀儡政府をつくって撤退するでしょう。その政権のトップに指名してもらうために、こっちは今からうまーく中国に取り入れないかなって思っているんです。これだったら選挙に頼らずに政権もとれますよ」

 いや、さすがに右翼ならずとも「この売国奴め。君は自分のことしか考えていないのか!」と叱りたくなるような話だが、外山氏はこう続ける。

「逆に、今のうちに中国を味方につけておかないと、アメリカに見捨てられた時点で国が滅びますよ。いずれ中国の側につくしかなくなった時に、それでも日本の相対的自立を守るために言ってるんです。中国に金印とかもらえるといいですよね。ファシストは『国家社会主義者』とも訳されるし、最近は『漢の倭の奴の国家社会主義者』と自称してます。『国家』のところを小さく書いて中国共産党の目をごまかす(笑)」

 今どき、中国共産党が金印なんかつくっているかよ、とツッコんでしまうのは、すでに選挙以外の方法で社会変革を目指す“過激派”外山氏の術中にハマっているのかもしれない。

取材・文/織田曜一郎(週刊SPA!) 撮影/市原浩二

※現在発売中の『週刊SPA!』9/13発売号では「閉塞の時代を打ち破れ! ニッポンの論点」という特集を掲載中。ベッドイン、八木秀次氏、洞口朋子氏、外山恒一氏、らんまるぽむぽむ氏、中田 考氏、中村淳彦氏、三次ゆりか氏、武市悦宏氏、sguts氏、シバター氏、ゴッドスコーピオン氏(以上、掲載順)の12人がオリジナルな自論を展開!!

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最終更新:9/13(火) 14:34

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北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。