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「多様性の国」ブラジルがパラリンピックに強い理由

NIKKEI STYLE 9/14(水) 7:00配信

 ブラジルのリオデジャネイロで7日、パラリンピックが開幕した。成功裏に終わった五輪に続き、日本の反対側に位置する多様性の国に再び注目が集まる。国土は世界5位の851万平方キロメートルで、日本の約23倍と広い。北部のアマゾン川流域には熱帯雨林が広がり、南部では雪が降ることもある。人種構成も多様で、宗主国だったポルトガルなど欧州だけでなく、アフリカやアジアからの移民も多い。世界最大の190万人の日系人社会があるのもこの国だ。文明社会との接触が少ない先住民も生活している。人口2億人のうち、混血は4割超に達する。一方で2020年に五輪・パラリンピックの開催国となる日本は島国で比較的同質性の高い国といえる。招致を機にダイバーシティー(多様性)を尊重する社会を目指す日本にとって、多様な人種や文化を内包するブラジルから学ぶ点は多い。■多様性と課題、希望を象徴する選手
 8月21日の五輪閉会式。マラカナン競技場では大会のハイライトをまとめた映像が流れた。ひときわ大きな拍手が巻き起こったのは、ブラジルに大会初の金メダルをもたらした柔道女子57キロ級のラファエラ・シルバ選手(24)が映し出されたときだった。それはシルバ選手が、ブラジルの多様性と課題、希望を象徴する選手といえるからだ。
 シルバ選手はリオ市西部の貧民街(ファベーラ)シダジデデウスに生まれた。五輪公園からほど近く、世界的にヒットした映画「シティ・オブ・ゴッド」(02年製作)の舞台となった街としても知られる。銃撃戦が頻繁におきる場所だけに、なかなか外で遊べず、自分と同世代の子供が目の前で流れ弾によって亡くなった経験もあるという。当時を「目標なんかなかった」と振り返る。8歳の時、日本からの移民が持ち込んだ柔道に出合ってけんかばかりの日々に別れを告げる。元ブラジル代表が指導する非政府組織(NGO)で練習を積み重ね、規律を学んだ。大会に参加するための旅費は周囲のカンパでまかなって力をつけてきた。
 だからこそ閉幕後の8月22日には、消防車の上に立ち、金メダルを首にかけ、国旗を手にして、2時間以上かけて地元をパレードした。雨の中集まった住民は「ファベーラの金」と叫んでたたえた。シルバ選手は「ファベーラの子どもたちも価値があることを証明できた。ロールモデルになりたい」と述べて、地元への感謝を口にした。シルバ選手の勝利の裏には、3年前から一緒に暮らす元柔道選手の女性の恋人の存在もある。自身が性的少数者(LGBT)であることについては「自然なこと」と隠さない。

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最終更新:9/14(水) 7:00

NIKKEI STYLE

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