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謎の古代モザイク画、秘められたユダヤ人への伝言

ナショナル ジオグラフィック日本版 9/14(水) 7:31配信

アレクサンドロス大王か、セレウコスの休戦協定か

 イスラエル、フコックの遺跡で見つかったローマ時代のシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)を飾るモザイク画。その美しく謎に満ちた画の全貌が公開された。

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 5世紀に制作されたこのモザイク画には、位の高い男性ふたりが会談に臨む様子が描かれており、そのうちひとりは軍を率いる将軍のような姿をしている。ところが、ふたりの正体を示す記述がまったくないため、ここに描かれているのがどのような場面なのか、解釈は困難をきわめている。

「古代末期や初期ビザンチン様式においては、モザイク画などに描かれた人物には名が記されていることが多いのです」と、米ウェスタン・カロライナ大学の歴史学者で、モザイク画を専門とするカレン・ブリット氏は言う。

 モザイク画には武装したゾウも描かれている。このモチーフから連想されるのは、紀元前2世紀半ばにセレウコス朝に対して反乱を起こしたユダヤ人のマカバイ家の物語だ。アレクサンドロス大王の部下の子孫が築いたセレウコス朝は、ゾウを戦争に用いていたことで知られる。

アレクサンドロス大王説

 しかし発掘を統括する米ノースカロライナ大学の考古学者、ジョディ・マグネス教授は、軍を率いている人物はアレクサンドロス大王と考えている。大王がエルサレムのユダヤ教大祭司と会談を持ったという史実はないが、そうした伝説は古代フコックの住人たちの間ではよく語られていた。

「紀元前323年のアレクサンドロス大王の死後、彼の名声が広く知られるようになると、ユダヤ人をはじめ、人々は自分たちがあの偉大な王と関わりを持っていたと示したがるようになりました。こうして、モザイク画に描かれているような伝説が語られるようになったのです」

 マグネス氏によると、このモザイク画は下から上へ読むようになっているという。最下段には、アレクサンドロス大王が版図を東地中海まで広げる途上で行われた、数々の戦闘の場面が描かれている。

 中段にはエルサレムの大祭司をはじめとする祭司たちと貴族がいる。彼らが街の門の前に並んでいるのは、アレクサンドロス大王が街に近づいているためだろう。

 描かれている白い衣の男たちが有力者であることは、服に英語の「H」に似たギリシャ文字「エータ」が付いていることでわかる。「エータ」が何を表しているのかは専門家にもわかっていないが、当時の絵では、高い地位の象徴としてこの文字が衣服に描かれることが多い。

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最終更新:9/14(水) 7:31

ナショナル ジオグラフィック日本版

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