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背水の陣のゴルフ場経営

Wedge 9/14(水) 12:31配信

 狭い国土に約2300ものゴルフ場がある世界第2位の「ゴルフ大国・日本」。しかし、ゴルフ人口はピーク時の半分以下に落ち込んでおり、団塊世代以上のメインプレーヤー「引退」が迫るなか、その穴を埋める世代が出てきていない。ゴルフ場経営の現状は「破綻への秒読み始まる日本のゴルフ場」でレポートした通り、お先真っ暗だ。この危機的状況において、ゴルフ場経営大手のPGMとアコーディア・ゴルフは、どのような展望を描いているのか、両トップを直撃した。

 ――いまの経営環境をどのようにとらえているか 。

 「日本のゴルフ人口が700万人前後まで減っているにもかかわらず、人口減に比例するゴルフ場数の減少はない。国別ゴルフ場数では米国に次いで世界第2位だが、密集度からいえば恐らく最も高く、ゴルファー数とゴルフ場数の需給バランスが年々悪化している」

 「ゴルフ場をグループで複数運営している会社と単体のゴルフ場ではコスト構造が全く異なる。PGMやアコーディアのようにグループで運営しているゴルフ場は、運営に必要な物品・消耗品なども一括で購入できるのでコストを抑えられる。利用者にとっても、グループであれば会員権を持ってなくても、ほかのゴルフ場でプレーを楽しむことができる。グループ経営と単体経営とでは、経営環境からみると土俵が違う」

若者・女性を寄せ付けない構造問題

――高齢者が多い来場者を変えられないか。

 「PGMが運営するゴルフ場へは全国で年間約 700 万人が来場する。その平均年齢は50歳後半から60歳台。18万人在籍する各ゴルフ場会員の平均年齢は7割が60歳以上だ。5年、10年経つと、現在、最も多くプレーしている60代、70代のプレー回数も大幅に減るし、やめる人もいる。その代わりに30代~50代が新しいゴルファーになるかというと現状想定では怪しい」

 「女性の比率は約12%で、他社を含めた全国でも約10~11%。ゴルフが盛んな海外ゴルフ場の女性来場比率は約3割という国もある。なぜ、日本では若者や女性のプレー来場比率が低いのかというと、バブル期に富裕層相手の高額なゴルフ会員権を多数のゴルフ場が販売していたため、国内の大半のゴルフ場は、どうしても当時の高額会員権を購入した、今の60~70歳台になった比較的富裕層をメインにした運営にならざるを得ないことが挙げられる。

 この結果、国内の多くのゴルフ場の施設、設備、雰囲気などはどうしても若者が気軽に来場できない状況であり、レストランのメニュー構成なども比較的高額になっている。それ以外にも、女性が来場されても女性用ロッカーの数は少なく、脱衣所や風呂場のスペースが狭いなど、十分な設備が整ってない所が多く、若者、女性からの印象が悪くなってしまう。そのため、いくらプレー料金を安くしても、オペレーションを見直すゴルフ場が増えてこない限り、若者、女性などの新しいゴルファーの創出を促進できる環境にならないというのが現状ではないか」

 ――いままでにないゴルフ施設をオープンしたそうだが。

 「中長期的にみて、ゴルファー人口、来場者を増やすキーワードは、若年層、女性、インバウンド(訪日外国人)だ。そこで、埼玉県吉川市にある江戸川沿いの河川敷に新しいコンセプトのゴルフ場「OUTDOOR SPORTS PARK」を2014年6月にリニューアルオープンした。クラブハウスはできるだけシンプルなデザインにして、風呂場は浴槽なしでシャワーのみ。1階平屋建て施設の屋上に本格的なバーベキューができるようにした。プレースタイルは2部制の18ホールスループレーで9ホールのハーフプレーも可能。すると、平均年齢が一気に約15歳も若返り、女性比率も20%台になり、好評を得ている。 新しい施設を作るには大きな資金が必要だが、こうしたゴルフ場が増えていかないと、ゴルフが国民的スポーツとして普及、定着していかないのではないかと感じている」

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最終更新:9/14(水) 12:31

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