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アンプ直結のギブソン・フルアコ~熟成の音に酔う

JBpress 9/14(水) 6:00配信

 自分が夢中になって弾いていた経験があるからなのか、数ある楽器の中でも特にギターの音が大好きです。6本の弦が張ってあって、それを両手を使って弾くというシンプルな楽器ではありますが、シンプルなだけに弾く人の個性や人間性が音に反映されやすいという点も魅力の1つかなぁと思います。

 あと、JR中央線の西のほう・・・米軍キャンプやアートスクール/カレッジが多く、都心発の最先端の流行にそれほど大きな影響を受けず、どこかのんびりとしたヒッピー~アメリカ文化の影響が色濃い三多摩地方で生まれ育ったためか、ジャズやブルース、フォーク、カントリー、ロックンロールなどアメリカのルーツミュージックのギタースタイルに特に惹かれます。

 今回は、そんなルーツに根差したスタイルを持ちつつ独自の味わい深いプレイを聴かせてくれる、個人的に大好きな日本の名ギタリストたちの作品をご紹介します。

■ アルバム全曲、ビンテージなギブソン1本のみ

 はじめに、私が日本で一番好きなギタリストで、音楽家としても尊敬している塚本功さんの新作「ARCHES」をご紹介します。

 塚本さんは美大生の頃にデビューして、東京・国立を拠点に活動していました。現在は福岡を拠点としています。

 ソウルやジャズ、パンク、ロックンロールなどの影響を受けた「ネタンダーズ」のギター、ボーカルをはじめ、さまざまなバンドのギタリストとして活動しつつ、多くのアーティストのライブやレコーディングにも参加、また作曲家/プロデューサーとしても活躍しています。

 また、それらの活動と並行して、ギター1本でのインストゥルメンタルのソロ作品もこれまで数枚発表しており、最近ではさすらいのギター弾きといった感じでフットワーク軽くソロでのライブも全国各地で行っています。

 さて、塚本功といえば、デビューから一貫して、ビンテージなギブソンのフルアコースティックギターを、エフェクターを通さずアンプに直結するスタイルで有名です。ポピュラーミュージックで聴かれるギターの音のほとんどは、何かしらエフェクターを通して音色を変えていると思います。けれども彼は、エフェクターをかけない古いフルアコの音色にこだわります。タッチの強弱がダイレクトに音に反映されますので、よほどギターが上手くなければ、あるいは自分が出す音に自信がなければ、採用しないスタイルと言えるでしょう。

 全13曲を収録した最新作「ARCHES」も、これまでのソロ作品と同様にギター1本だけのインストゥルメンタル作品となっています。アルバムの全部が同じギターの音なの?  それも1本だけ?  飽きないの? ・・・と思われる方もいるかもしれません。でも、心配はご無用。

 この塚本功という独特かつ特異なギタリストが奏でる音楽は、ジャズ~スウィング、ブルース、カントリーなどなどさまざまな音楽からの影響をベースとしつつ、今まで聴いたことのないビビッドな音が次々と連続して奏でられ、心を奪われ、気がつけばあっという間にアルバム1枚を聴き終えている・・・という魔術的な魅力を持っています。

 聴く人それぞれが違った心象風景を描き、聴き終えたあとは、まるで映画の世界に没頭して我を失ってしまったかのように、日常の憂いがすっかり晴れて軽快で自由な感覚を味わえることでしょう。「この甘美な夢よ、このまま一生覚めないで!」とでも言いたくなる彼のマジカルなギターを、まだ未聴の方はぜひ一度体験していただければと思います。

 ◎Mikikiインタビューもあわせてお読みください。こちらです(http://mikiki.tokyo.jp/articles/-/12114)。

■ 戦前のアメリカの音楽をベースに37年活動

 ラジオやテレビで活躍する「音楽愛好家」のピーター・バラカン氏が監修する、ルーツミュージックの祭典「LIVE MAGIC! 2016」が、今年も10月22、23日に東京・恵比寿のザ・ガーデンホールで開催されます。

 国内外のさまざまなルーツミュージックを聴かせるアーティストが一堂に会するこのフェスは今年で3回目を迎えます。今回は私の大好きなバンド「吾妻光良 & The Swinging Boppers」が登場するので今からとっても楽しみにしています。

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最終更新:9/14(水) 6:00

JBpress

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