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2016年は“新聞が死んだ年”になってしまうのか

JBpress 9/14(水) 6:15配信

 <「新聞って、何だったの?」 これから数十年後、あなたは孫にこんな質問をされるかもしれない>――。

 こんなショッキングな書き出しの記事が「ニューヨーク・タイムズ」(9月5日付)に掲載された。

 その記事はさらに以下のように続いていた。

 <あなたはその孫に2016年9月7日という日付を教えてあげてもよいだろう。この日こそが、私たちがそれまで知っていた米国の新聞が集中治療室を出て、痛み止めだけの末期治療を施され、天国への旅路についた日となったかもしれないからだ>

■ 「新聞」という言葉の意味がなくなってきた

 この記事は、「米国新聞協会」が9月7日をもってその名称を「ニュースメディア連合」に変えることを報じていた。

 米国新聞協会は1887年の創設以来、ニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナル、ワシントン・ポストなど世界的に著名な大手新聞から全米各地の中小の地方紙までが加わり、巨大な影響力を誇ってきた。

 ところが米国新聞協会は130年近くの歴史を経て、ついに名称から「新聞」という言葉を外すことになった。この決定はもちろん全米の各メディアに報じられた。

 理由はいうまでもなく、新聞の衰退、インターネットの成長である。2008年に約2700あった米国新聞協会の会員は、現在、約2000にまで減少しているという。

 米国新聞協会のデービッド・チャバーン会長は名称変更の理由について次のように説明した。

 「大手新聞をはじめ大多数の会員が、印刷した新聞だけではなくネットなどから多くの収入を得ている。そうした現状において、『新聞』という言葉の意味がなくなってきた。同時に、ニュース報道の業界を『新聞』という言葉でまとめることが難しくなってきた。紙の新聞を読む人よりも、ネット版のビューワー(見る人)の方が多くなってきたのだ」

■ 日本でも米国でも新聞は衰退の一途

 これまで米国では、紙の新聞を持たないネットメディアは米国新聞協会への参加が認められなかった。だが、今やネットメディアの方が伝統的な新聞よりも読者を多く引きつけているという現実がある。

 長年新聞記者として働いてきた者として、私はこの米国での動きにきわめて複雑な思いを抱く。

 私は毎日新聞と産経新聞で半世紀ほど記者活動を続け、現在は産経新聞のワシントン駐在客員特派員を務めている。今も仕事は新聞記者である。だから、今回のニューヨーク・タイムズの記事のような「やがて新聞は消えてなくなる」とか「新聞というのが何かをも知らない世代が出てくる」という話を聞いて嬉しいはずがない。

 日本でも米国でも新聞の衰退が叫ばれるようになって久しい。ワシントンと東京を往来する私は、両国で新聞の斜陽ぶりをさんざん目の当たりにし、実感させられてきた。

 特に地方紙の数が多い米国では、ここ20年ほどの間に中小新聞が多数消えていった。大手の中には、いちはやくデジタル化に成功し、ネット版の利益を着実に上げて紙の本体も健在というウォール・ストリート・ジャーナルのような新聞もある。一方で、ワシントン・ポストなどは経営不振に悩み、売りに出されて、現在はアマゾンの会長がオーナーとなっている。

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最終更新:9/14(水) 6:15

JBpress

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