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北朝鮮通のシンガポール人が来日。国内外の北朝鮮マニアが集うイベントに潜入!

HARBOR BUSINESS Online 9/14(水) 16:20配信

 9月9日に5度目となる核実験を実施するなど、世界を騒がせている北朝鮮。いろんな意味で注目をあつめる国だが、8月27日、東京渋谷のあるバーで一風変わったイベントが行われた。北朝鮮に興味がある人の間ではよく知られるインターネットサイト「DPRK 360」の運営者によるイベントだ。

⇒【画像】北朝鮮製のトイレットペーパー

 DPRK 360は、シンガポール人のプロ写真家アラム・パン(藩君瀚)氏が運営する360度写真や動画、パノラマ写真で北朝鮮を紹介するサイトだ。2003年からプロのカメラマンとして独立したアラム氏が、得意とするパノラマ撮影や360度撮影を駆使して北朝鮮の魅力をインターネットを使って発信したいとプロジェクトを発案。企画書をシンガポールやタイなどの北朝鮮大使館へ電子メールとFAXで送るも待てど暮らせど返事は来なかった。半ば諦めかけていた1か月ほど経った時にシンガポールの北朝鮮大使館から1本の電話がかかり、シンガポールを訪問していた北朝鮮政府要人と面会が実現し、その場で承諾を得てプロジェクトは動き出した。

 そうして2013年から始まったのが、北朝鮮から承諾を得て撮影はしているが、北朝鮮からの金銭的な報酬なしの無報酬で行われているDPRK 360プロジェクトである。北朝鮮からの報酬を受け取らないのでプロジェクトを実施するための資金はシンガポール内外の旅行会社などにスポンサーになってもらい資金を得ることに成功し、アラム氏は2013年以降14回訪朝、首都平壌を始め北朝鮮各地を撮影している。

◆マニアには垂涎の品々が展示

 会場となったのは、居酒屋とスポーツバーを掛け合せたような飲食店「I LOVE SAKE」。この日の同店は、北朝鮮マニアや研究者、マスコミなど30人が来場し立ち見も出るなど会場は熱気に包まれた。イベントの主催は、ポーランド人のエミル・トルシュコフスキ氏が代表を務める、日本と北朝鮮の民間交流をサポートしている「千里馬エクスチェンジ」だ。アラム氏が英語で説明し、それをエミル氏が日本語に通訳して説明するという形ですすめられた。

 会場には、1m以上はある金日成広場の巨大パノラマ写真や視線に合わせて動画が動くスマートフォンのアプリを活用した360度バーチャルリアリティシステムなどが置かれていた。集まった観客もわかったもので、珍しい北朝鮮の銀行カードが披露されると興奮の声があがっている。というのも、銀行口座は外国人でも3ドルほどで開くことができるというが銀行訪問は通常リクエストしてもなかなか実現しない場所なのだそうだ。

 他にも、北朝鮮の秘蔵動画や映像を流したり、目の細かな紙やすりのようにザラザラな北朝鮮製トイレットペーパーや1988年発行の記念金貨などが披露され会場を沸かせていた。

◆日本は北朝鮮に大きな影響を与えることができる

 アラム氏は、北朝鮮の普通の人たちに興味があり、一般の北朝鮮人の生活を記録して発信したいと考えているが、なんせ相手は北朝鮮なので思った通り行かず苦労も絶えないという。

 例えば、航空機や鉄道は世界中に愛好家が存在するのでしっかりと発信すれば魅力あるコンテンツであるのだが、そうしたことを北朝鮮自身が認識していなかったという。そのため、アラム氏から北朝鮮側へ提案して、撮影許可をもらいグーグルマップなどへ掲載させたものも多いのだ。昨年の夏から始まった平壌上空をヘリコプターで見学する観光オプションはアラム氏の発案から実現したものだ。このようなアラム氏から北当局へ積極的な提言もしている。

 「北朝鮮の人たちは日本製品が大好きで高く評価しています。外国人が入店できない電気店にはメイドインジャパンのテレビや冷蔵庫が売られています。たとえば、ニコンの一眼レフカメラの多くがタイ工場での製造となっていますが、彼らは日本ブランドでも日本で作られたものを好んでいるので私のニコンのカメラへの評価は渋かったです(笑)。日本は韓国よりも北朝鮮へ大きな影響を与えることができる潜在的な力があります。日本自身がその力に気づいていないのです」

◆北朝鮮通が語る、北朝鮮ビジネスのツボ

 「北朝鮮でビジネスをするときは短期ではなく5年、10年の長期視点が重要です。パイオニアになると大きなビジネスチャンスがありますが、北朝鮮の特徴として反応や決定が遅いため長い目でしっかりと関係を作っていくことが必要です」

 と語るアラン氏。さらに、現地の人を知る彼はこう続ける。

「政治を抜きにして人と人とが大切であり、庶民生活をよくするために協力していきたいです。今年3月の国連による北朝鮮への制裁が強化された後にも3度訪朝していて平壌や地方都市でも庶民が大きな影響を受けているようには感じられないのですが、対外貿易などには制裁影響が出ていると現地で耳にしています」

「千里馬エクスチェンジのミッションは、日本と朝鮮との関係修復です。そのためにはお互いの理解から始まると信じています。来年もアラムさんのようなゲストを呼ぶイベントを企画していきます」(千里馬エクスチェンジ・エミル氏)

 セミナー後に渋谷駅前で開催された懇親会では、日本語に英語、中国語が飛び交う空間でアラム氏との交流を深めていた。

参照

◯DPRK 360

◯千里馬エクスチェンジ

<取材・文・撮影/中野鷹>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:9/14(水) 16:30

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