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エキナカ狭小店舗で「リアル×ネット」の融合を目指す!? アシックスが品川に小さな旗艦店を出したワケ

HARBOR BUSINESS Online 9/14(水) 9:10配信

 よく京急線を利用する人は、京急品川駅のホームに突如「ASICS」の大きなロゴが登場したことに気付いたのではないだろうか。

 このロゴの正体は、8月9日に開設されたばかりのアシックスジャパン直営店舗「アシックスステーションストア品川」の看板。京急品川駅2・3番線ホームのスープ専門店「Soup Stock Tokyo」跡地に出店したもので、店舗面積は僅か45.54平方メートルしかない。

 なぜ、アシックスはこのような「狭小店舗」を出店したのだろうか? それには理由があった。

◆ワンテーマの「期間限定商品」で“目を惹く店舗”に

 アシックスステーションストア品川は、通常の直営店とは異なり「イベント性を重視した売場」を特徴とする。店舗では常に「1つのテーマ」に沿ったかたちでスポーツの魅力を発信していくという。

 例えば、開店した8月は、店舗正面では「リオデジャネイロ五輪」の日本代表選手団公式スポーツウェアのレプリカ商品や応援グッズを展開。9月は「パラリンピック」関連のグッズを展開するなど、常に「旬の商品」を取り揃え、今後も月ごとに、その月のテーマに沿って変化する商品展開を行っていくことになる。

 狭いながらも、幅広い商品を少しずつ取り揃えるのではなく、「1つの旬なテーマに沿った商品展開」を極めることで、店舗の狭さを感じさせないラインナップにするとともに、客の目を惹くような店づくりとして「立ち寄ってみたくなる店舗」を目指したかたちだ。もちろん、販売される商品の多くが「期間限定商品」となることも立ち寄りたくなる魅力の1つであろう。今後は、店舗の外観やカラーリングもテーマ毎に一新していく予定だという。

 なお、都心駅への出店ということを反映して、都心ランナーにオススメのランニングウェアーやランニングシューズ、ジム通いにも便利なトレーニングシューズ、そして、品川店限定Tシャツなどは常時販売されるという。

◆リアル×ネット融合の実験店-狭小店舗からECサイトへの誘導目指す

 また、狭小店舗で出店した理由としては、「リアル店舗とネットショップを融合させる」という、実験的な販売に取り組むという目的もあるという。

 アシックスステーションストア品川では、Panasonicの技術を活用した「光ID」を国内の常設小売店舗で初めて導入。店舗外壁やレジ裏など3ヶ所に設置されたASICSの看板を専用アプリで読み込むことで、即座に同社のECサイト(ネットショップ)にアクセスできるだけでなく、店内の商品情報の表示や、コーディネートの提案を受けることもできるほか、店内のデジタルサイネージからのその場での商品注文もできるという。

 アシックスでは、このようなリアルとネットとの融合型店舗は初めてで、同店は、品揃えの限られた狭小店舗であっても、品揃えの豊かなネットショップで補完することができるか否かを調査するための、いわば実験販売を行うべく生まれたものだと言える。

◆「品川駅ホーム」という立地の真意は-「訪日客の目を惹く」「みやげ需要」も狙ってか

 公式に語られている出店理由はここまでであるが、実際のところ、品川駅のホーム上という、スポーツ用品店が絶対出店しないような特異な場所にあえて出店した一番の理由は「世界中の人の目に留まるアシックスの広告塔」を目指したからであろう。

 京急品川駅ホーム上への出店は、駅ビル内への出店に比べて出店費用も安く抑えられるうえに、品川駅は羽田空港へアクセスする客が多く通過する駅であるほか、新幹線駅も併設されており、さらには将来的にはリニア中央新幹線の乗換駅としても機能するため、限られた店舗面積ながらも全国各地からの旅行客、そして世界各地の訪日客の目を惹くことが可能なものとなる。

 旅行中は得てして財布の紐も緩みがちなものである。実際にアシックスステーションストア品川で接客を行っていた店員に伺ったところ、オリンピック効果もあり、日本国内外を問わず記念に土産として商品を買い求める観光客も多数いるとのことで、滑り出しは上々のようだ。

 東京オリンピックに向けてスポーツ熱が高まる東京都心。アシックスステーションストア品川では、今後は10月には都内で開催されるテニス大会「楽天ジャパンオープン2016」に合わせた商品展開を行うほか、現在の赤を基調とした外観も10月以降は緑を基調とした外観に一新されるといい、狭い店舗ながらも、月ごと店づくりの変化は、毎日の通勤で品川駅を利用する人たちにとっても目を楽しませてくれるものとなるであろう。

<取材・文・撮影/都市商業研究所>

【都市商業研究所】

若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken」

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ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:9/14(水) 13:25

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