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天皇陛下の執刀医である天野篤氏が明かす“天才”を育てたものとは〈dot.〉

dot. 9月18日(日)7時0分配信

 人の体の中でも、特に手術が難しい「心臓」。並外れた技術で、重症患者を次々救っているのが順天堂大学順天堂医院の天野篤院長(60)だ。これまでの手術数は7300例以上。天皇陛下のバイパス手術も担当した。週刊朝日MOOK「突然死を防ぐ 脳・心臓のいい病院」で、その極意を語っていただきました。

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 医師生活34年目を迎えた2016年春、順天堂医院の副院長から院長に就任した。しかし、変わらず外科医として手術台に立ち、1日最大3件の手術を行っている。

「周りからは、院長と心臓外科医を両立できるのかと聞かれます。でも両方100%の全力が大切です。200%の新たな人生です」

 天野医師はこれまで7000件以上の心臓手術を執刀。昨年も平日はほぼ毎日、計400件ほどの手術を行ったという。予定された手術なら成功率は99.5%と驚異的だ。これだけの数をこなしながら、意外にも疲労は蓄積されないという。

「手術はチーム医療です。自分自身が参加する時間は1例あたり長くても3~4時間なので、それほど疲れることはありません」

 さらに、「執刀中はもっている五感を最大限生かすので、目から入ってきた情報が反射的に手に伝わって、自然と手が動きます。頭を使わないので、疲労は少ないです」。

 天野医師の場合、手術はだいたい8割5分は予想通りにいき、1割5分のことが起きると初めて頭が動きだすという。「この状況をどう切り抜ければいいのか」「進むべきか、他の道を探すべきか」蓄積されたエビデンスや自己の経験から、さまざまなシミュレーションが瞬時に繰り返される。さらに危ない状況になると、体にある変化が起こるという。

「まるで幽体離脱したように、手術台を俯瞰(ふかん)するような感覚になります。冷静に手術を見ているもう1人の自分が、手術をしている自分に点検項目の指示をしてくれる。その中から難局を打開するアイデアが生まれたり、進むべき道が見えてきたりします」

 こうした“もう1人の自分”が出てくるようになったのは、医師になって10年目ごろの30代後半だったという。30歳から本格的に積み上げていった心臓外科医の経験を、当時「日本一の心臓外科医」と呼ばれた須磨久善医師のいる新東京病院(千葉県)で、徐々に開花させていたときだった。

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最終更新:9月18日(日)7時0分

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