ここから本文です

「白い巨塔」で何が起きていたか 手術数競い合い、医局間争い…〈AERA〉

dot. 9月18日(日)7時0分配信

 群馬大学附属病院で18人が死亡した医療事故の医療事故調査報告書。読み解くと、特定の医師の技量不足もさることながら、組織の問題が見えてくる。大学病院における経営重視の弊害が根底にはある。

 群馬大学医学部附属病院で起きた同一医師による18例の手術ミスを検証する医療事故調査報告書を読み解くと、根本的問題は、執刀したA医師(報告書の呼称に準ずる)よりも、指導的な立場にあったP元教授(同)ではないかと思えてくる。

 6人で構成された第三者による医療事故調査委員会は、当事者だけでなく病院関係者や遺族らから聞き取りを続け、35回、計210時間以上の審議を経たうえで報告書を作成、7月末に公表した。A医師の未熟な手術もさることながら、報告書の随所に「P元教授」への苦言と批判がつづられ、ときには「倫理にもとる」など厳しい言葉で指弾している。

 まず驚かされるのは、P元教授がA医師の手術で死亡例が相次いでいることを、報告を受けて把握していたことだ。A医師の術後死亡例は、開腹手術による肝切除で2009~12年度に10例、腹腔鏡による手術で10~13年度に8例の計18例あった。

 09年度に死亡例が続発したことから、P元教授は同年10月ごろに高難度の肝切除術を控えるよう、A医師に指示している。しかし、12月には再開し、膵臓手術を含めて3人の死亡例が相次いだ。このため、再び手術を休むようアドバイスしたが、一定期間の休止の後、P元教授の承認を得て再開している。

●部下の進言退ける

 さらにA医師は10年末から新たに腹腔鏡による肝切除術を始めて1年間で4例の死亡事故を起こしている。A医師の所属する第2外科(当時)の医師から、責任者であるP元教授に対して「危険なので中止させたほうが」との進言があった。

 医局のなかで上司にあたる教授にこうした苦言を呈することは勇気のいることだ。しかし、P元教授は進言を退けている。

 その理由についてP元教授は、調査委員会のヒアリングに対して「A医師はよく勉強し、技術訓練も実施している」「A医師への紹介がほとんどで院内外の医療者からの信頼も厚いと考えていた」と述べている。患者の命が相次いで奪われているというのに、だ。

1/4ページ

最終更新:9月18日(日)7時0分

dot.

記事提供社からのご案内(外部サイト)

dot.(ドット)

朝日新聞出版

「AERA」毎週月曜発売
「週刊朝日」毎週火曜発売

「dot.(ドット)」ではAERA、週刊朝日
アサヒカメラの記事や、dot.独自取材の
芸能記事などを読むことができます。さらに
アサヒパソコンのオンライン版もあります!

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

暗闇で光るサメと驚くほど美しい海洋生物たち
波のほんの数メートル下で、海洋生物学者であり、ナショナルジオグラフィックのエクスプローラーかつ写真家のデビッド・グルーバーは、素晴らしいものを発見しました。海の薄暗い青い光の中で様々な色の蛍光を発する驚くべき新しい海洋生物たちです。彼と一緒に生体蛍光のサメ、タツノオトシゴ、ウミガメ、その他の海洋生物を探し求める旅に出て、この光る生物たちがどのように私たちの脳への新たな理解を明らかにしたのかを探りましょう。 [new]