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第46回 家族旅行<前編><あぁ、だから一人はいやなんだ。>

幻冬舎plus 9月15日(木)6時0分配信

いとうあさこ

 コラムをずっと読んでくださっている方はもうこのタイトルだけでピンときているかもしれませんが。昨年に引き続き、今年の夏もまた家族旅行に行ってまいりました。“もちろん”オアシズ大久保さんのご家族と、です。
 今年の大久保家には家族が一人増えておりまして。そうです、イヌのパコ美です。なので今年はパコ美も泊まれる宿にすることにしました。今やワンちゃん同伴出来る宿はたくさんあります。何か所か候補地が出ましたが、今回は夏の軽井沢に決定。

 改めまして今回のメンバーをご紹介いたしましょう。大久保さんのご両親、お兄ちゃんご夫婦と娘さん、佳代子嬢、おばさま、いとこ殿、そしてパコ美。そこへわたくしも加わえていただきまして大久保家ご一行様は計10名。

 皆さまはお住まいの愛知方面から車2台で軽井沢へ。私と大久保さんとパコ美は東京から新幹線で向かう事になりました。まずはワタクシ一人でみどりの窓口へ。パコ美のカゴもあるし、一日とは言えせっかくのサマーバケイションですから贅沢にグリーン車のチケットをお買い求めちゃおうと調べたところ……あれ?  あのテレビで見た“グランクラス”とやらがグリーン車と3000円しか変わらない。どうして?  別名“新幹線のファーストクラス”で超高級って聞いていたのに。一生乗ることないと思っていたのに。更に調べてみると軽井沢行きの場合は距離が近くて短時間の為、いわゆる専任アテンダントによるお食事だの、お酒も含むフリードリンクだの、アメニティなどのサービスがないとのこと。ただシートが広い、ということだけなのでお安いらしい。またとないチャンス!  そしてもう一回言いますが、たった1DAYだけのサマーバケイション!  そしてそしてハッキリ言いましょう。小銭は持っています!  

 ということで私はカウンターにて大きな声でこう言いました。「グランクラス2枚!」後ろに並んでいる人たちはきっと思ったことでしょう。「わあ、あの人お金持ちなのね」違うんです。グランクラスと言っても破格のお値段のヤツなんです。ただそれをバレないように小さい声で「軽井沢まで」。

 大久保さん&パコ美ペアとは東京駅のJR改札口にて待ち合わせ。「パコ美の体調はどう?」とか「天気よくてよかったですね」なんてたわいもないことを喋りながら、どこかウキウキしながら歩いていて。いざ新幹線改札口に入ろうとしたところ、大久保さんからまさかの一言。「チケットがない」え?  さっきの改札通ってから100メートル歩いたか歩かないかくらいの距離で?  でもそういう時はだいたい鞄だのポッケだのに入っているもんで……ん~、ない。とりあえずパコ美がいるので「私見てきます!」と来た道をたどって歩いてみる。どこにもない。みつからないまま待ち合わせの改札口に到着。改札のお姉さんに「チケットの落とし物か抜き忘れが届いていませんか?  ほんの数分前に通ったんですけど」と聞いてみるも、特に届け出はないとのこと。もう一度地べたを舐めるように見ながら引き返す。すると夏休みの超人混みの中、一瞬とある場所がひらけまして。なんとそこの中心にチケットが燦然と輝いているではありませんか。ああ、まるでモーゼの十戒。神様ありがとう。

 かなり変な汗はかきましたが、ある意味幸先のよいスタートで始まりました私たちの夏旅。まずはお楽しみのグランクラス。初めて乗るのを隠してスマートに乗り込んでやろうと思っておりましたが、無理。一歩乗った途端にキャーキャー&キョロキョロ。だってとにかくゴージャス。入口の内装から素敵で、シートもスペースも広い。足元にパコ美を置いてもキツキツにもならず。なんたる贅沢な空間。パコ美は一瞬「キュ~ン(訳:ああ、私もそのシートに座ってみたいなぁ~)」と言っていましたが、イイコにすぐ寝ちゃったので、お母さん(大久保さん)とバアバ(私)は東京駅の地下で買った前菜セットをツマミに缶ビールで乾杯。昼間のビール、最高です。

 しばらく飲んでいると「あ、そう言えば」と大久保さん。毎年恒例の大久保家夏旅行ですが、先日ご実家に帰った時にお母様が「佳代ちゃん、もうそんな毎年無理しなくてもいいよ」とおっしゃったそうで。なので「あさちゃんだって予定いろいろ合わせてくれてるんだから行こうよ」と言うとお母様が「そぉ~?  まあそんなにあさちゃんが行きたがっているなら行こっか」となった、と。「というわけであさちゃん。すごい行きたい感じで参加して」とまっすぐな目で言われる。いや、楽しみでしたよ。すごく楽しみにしていたけれど「わあ!  今日は私の為にみなさんありがとうございます!!」は大久保家の旅行でおかしいでしょ。

 ま、でも結局その“楽しみ感”は勝手に溢れ出ちゃいますけどね。だって広いシートの新幹線に始まり、真昼間のビール。そして傍らにはかわいいワンコ。更に軽井沢駅に着いた時、その気持ちはもっと膨らむのです。それは真っ青な空と真っ白な雲になんとも爽やかで涼しい風が吹いちゃったりしちゃったりしたらあなた。自然に「わぁ!」って言っちゃいますよ、思いっきり腕をあげて伸びしながらね。

 さ、いよいよ軽井沢満喫タイム。と、ここで“文字数”というお時間が来てしまいました。次回は軽井沢駅に降り立ったところから聞いてやっておくんなまし。大久保一族プラス私の旅はまだまだ続きます。

 【今日の乾杯】

 “鴨がネギ背負って”じゃなくて“ナスが鴨背負って”出てきました。嫁に食わさないでお馴染みの秋ナスちゃん。たっぷりの胡麻味噌をつけたら、ロックの純米酒はノンストップだわさ。


■いとうあさこ
1970年東京生まれ。主な出演番組に「ヒルナンデス!」「メレンゲの気持ち」「世界の果てまでイッテQ!」など。著書に『あさこ40歳。~私、生きてる! 』『居酒屋あさこ 待たせずおいしいおつまみレシピ72』。

最終更新:9月15日(木)13時0分

幻冬舎plus