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「MBB」~“思い”を伴わない目標管理制度は機能しない 企業と個人の創造的対話がマネジメントの起点

日本の人事部 9/15(木) 7:30配信

「MBB」とは、Management by Beliefの略で、日本語では「信念による経営」「思いのマネジメント」と訳されます。MBBは目標管理制度の一種で、会社や組織全体の目標の背景にある経営陣や上司の思いと、自分自身の仕事やキャリアに対する社員個人の思いをぶつけあう“創造的対話”のプロセスを経るのが特徴。互いの思いを明確化し、価値観を共有した上で、会社にとっても、個人にとっても意味のある業務上の目標を見出し、実現までの道筋を設定していく手法です。「MBB」は、ナレッジマネジメントの生みの親として知られる一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏や、一橋大学大学院教授の一條和生氏らによって提唱されました。

“思い”を伴わない目標管理制度は機能しない 企業と個人の創造的対話がマネジメントの起点

上述の野中氏らは、共著書『MBB:「思い」のマネジメント』で、「これからのマネジメントは“MBO(Management By Object)=目標管理”だけではダメで、“MBB(Management By Belief)=思いのマネジメント”が必要」と述べています。

バブル崩壊に端を発する経済の長期低迷がそれまでの日本型経営を根幹から揺るがせたことで、日本企業の多くは競うようにして米国流の成果主義を採用し、それを機能させるために、あわせてMBOと呼ばれる目標管理制度も導入しました。MBOは、社員が自ら設定した目標の達成を目指すことで、組織としての成果を高める経営管理手法です。

しかし現実には、MBOがうまく機能しなかったという企業も少なくありません。容易に達成できるよう目標を低めに設定した結果、組織全体の業績が伸びなかったり、社員の間にやらされ感や疲弊感がまん延して会社全体が閉塞感に包まれたりするなどの問題に悩まされてきました。最近の例でいうと、東芝の不適切な会計処理問題も、会社が「チャレンジ」と称して、各事業部門に過剰な業績改善の目標を強いたことに遠因がある、とも言われています。

こうしたMBOの問題点を分析し、その改善を目指した経営管理手法が「MBB(信念による経営)」なのです。MBBは、社員や組織の目標を設定して、その達成を目指すという点ではMBOと同じですが、最大の違いは目標を設定する際、社員が上司と対話して価値観を共有するとともに、仕事やキャリアに対する自己のビジョンを明確にするところにあります。つまり、企業の論理だけに従うのではなく、社員個々の思いも込めた目標を、両者納得の上で設定するわけです。そのためにMBBでは、お互いに腹を割ってこれしかないと思えるまで話し合う、「創造的対話」の場づくりが重要になります。

MBBは、けっしてMBOを否定するものではありません。むしろMBOは、MBBを伴わないと正しく機能しないのです。高い目標や難しい課題に挑戦しようとするときほど、「何が何でもやり遂げたい」という組織と個人との一致した思いが必要です。東芝のように一方的に強いられていては、乗り越えることが難しいでしょう。多くの日本企業が成果主義の導入でつまずいたのは、MBBを伴わないMBOを行っていたからだとも考えられます。

最終更新:9/15(木) 7:30

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