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本場の空気を吸った男たち──手縫いのスーツ

GQ JAPAN 9月15日(木)11時51分配信

イタリアのスーツの源流といわれるナポリ。その地を踏み、独立を果たした3人の男のストーリー。本場でも年々その数が減る手縫いの仕立てにこだわる彼らの思いとは?

【手縫いの仕立てにこだわる3人のテーラー その他画像】

3年半で200着を手がけた上木規至──反復して覚えたナポリの味つけ

香港の「アーモリー」など海外でも採寸会を催す上木規至さん。三段跳びで五輪に、という夢の挫折をバネに飛翔した。

「幸運だったのは、当時15人いた職人が次々と辞めてしまい、私がやらざるを得ない状況になったことです」

海外帰りとひと口にいっても、むこうでろくに針ももてず終わることもある。リングヂャケットを経てダル・クオーレに弟子入りした上木規至さんは最も大きな戦力として起用された日本人のひとりだろう。3年半のイタリア滞在でゆうに200着は携わったという。

「彼らとの違いは感性にある。これを体得しようと思えば、反復練習ほど役に立つことはありません」

さらに研鑽を積むため、アントニオ・パスカリエッロの門を叩く。日本ではなじみがないが、ナポリで3本の指に入るサルトである。そうして会得したスーツ最大の見どころはショルダーラインにある。右で紹介した東さんも、その優美なシルエットに打ちのめされ渡伊を決意した。

上木規至
チッチオ ジャパン 代表
1978年福井県生まれ。大阪体育大学中退。リングヂャケットに4年勤めた後、2004年に渡伊し、ダル・クオーレ、アントニオ・パスカリエッロに師事する。2006年、ナポリでの愛称「チッチオ」の名で始動。

チッチオ ジャパン
東京都港区南青山5-4-43
Tel.03-6433-5567
営10:00~20:00
休 日

本場を知るからこその謙遜な姿勢、小野雄介──1年半待ちのオーダースーツ

1着仕立ててもらおうと思えば、ゆうに1年は待たなければならない知る人ぞ知るテーラー。それがアングロフィロである。

小野雄介さんはその技術のほとんどを見て盗んだ。いまから15年前のイタリアでは日本人が修業するということ自体、珍しかった。そもそもろくにハサミも握ったことがない小野さんはまったく相手にされない。細い伝手を頼ってようやく一軒のテーラーに拾ってもらうも1年ずっと雑用だった。イタリア版イエローページ、「パージナジャッレ」を繰って働き口を見つけたこともある。金になるからと本来、下請けの仕事であるボタンホールのかがりばかりやっていたこともある。

つくるだけなら数カ月もあれば十分で、問題は自らを律し、そこからいかに収斂するかに尽きると小野さんはいう。

「僕はイタリアの源流となる職人の最後の仕事を、この目に焼き付けることができた。じいさんになったときにいい勝負ができればいいかなと思っています」

小野雄介
アングロフィロ代表
1976年兵庫県生まれ。手縫いのスーツに憧れて2002年に渡伊。フィレンツェ、ナポリのテーラーを渡り歩き、06年に「Yusuke Ono」の名で始動(後に「Anglofilo」に改名)。屋号は英国贔屓の意で、スーツのルーツに敬意を払った。

アングロフィロ
東京都渋谷区神宮前3-15-4 ブライスランズ内

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最終更新:9月15日(木)11時52分

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