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睡眠中の突然死を防ぐには

ナショナル ジオグラフィック日本版 9/15(木) 7:40配信

 8月28日の朝日新聞にショッキングな記事が載った。過去10年間に亡くなった14歳以下の子ども約5千人について解剖記録などからその死因を分析した結果、虐待死や不注意による事故死など予防できる事故が4割近くもあったというのだ。

添い寝習慣のある国の乳幼児の睡眠時間は短い

 個人的に目を引いたのは、「事故死」の半数以上が睡眠中の死亡であったことだ。子供、特に乳幼児は1日の半分弱を寝て過ごしているのだから、睡眠中に死亡する事例が一定数あることは不思議ではい。しかし、事故というのは日中の活動中に起こりやすいイメージがある。溺死や誤嚥などの子供にありがちな事故死を遙かに上回っていたのは意外であった。

 また、具体的な事例として挙げられていた母親の腕枕やうつぶせ寝が原因と思われる窒息に驚いた方も多いのではないだろうか。「添い寝の功罪」で添い寝に伴う窒息死については以前に触れたことがあるが、このような調査結果を見せられると、添い寝問題についてもっと注意が喚起されても良いと感じる。

 朝日新聞では事故死に焦点が当てられていたが、睡眠中に体調不良で突然死するケースもある。しかも、睡眠中に亡くなるのは乳幼児や子どもに限らない。若者や働き盛りの壮年でも決して突然死とは無縁ではない。

 では、このような睡眠中の突然死はどのような原因で起こるのだろうか。

とてもキケンな睡眠中の「無呼吸」、心当たりのある人は専門医へ

 寝ている間は外部からの刺激に対してとても無防備のように思われるかもしれないが、睡眠中でも体内環境を一定に保つための基本的なシステムは十分に働いている。たとえば、視床下部や脳幹部をトップにした自律神経機能や内分泌(ホルモン)機能は睡眠中でも休みなく作動し、血圧や心拍数、体温、呼吸を調整している。

 ただし、約90分周期で現れるレム睡眠中には自律神経活動が変動しやすく、交感神経が活発になりしばしば心拍数や血圧が上昇する。レム睡眠は「自律神経の嵐」とも呼ばれているくらいだ。過労やストレスなどをきっかけにして睡眠中に不整脈が起こることもある。

 高血圧など心臓疾患の持病がある人では、早朝に心筋梗塞を起こすことが少なくない。レム睡眠は睡眠の後半になるほど長くなるため、明け方の長いレム睡眠中に交感神経活動が急激に高まることが一因になっている。

 加えて、睡眠中の突然死に深く関係していると考えられているのが無呼吸発作である。

 最近ではずいぶんと知名度が高くなった睡眠時無呼吸症候群だが、睡眠中の突然死の一因にもなっている。睡眠時無呼吸症候群にもいくつかのタイプがあるが、睡眠中に大人では10秒以上、小児では20秒以上の呼吸停止が何度も繰り返し生じるのが共通した特徴である。

 たかだか10秒とあなどってはならない。大きく息を吸い込んでからの息止め10秒は簡単だが、睡眠中の浅い呼吸ではわずか10秒間でも軽い息苦しさを感じ、20秒ともなるとかなり苦しくなる。睡眠時無呼吸症候群では1分以上も呼吸が止まることがある。

 1時間当たり5回以上の無呼吸があれば睡眠時無呼吸症候群と診断されるが、30回、40回はざら、60回以上止まる重症の人もいる。一回20秒の無呼吸が60回あれば、1時間当たり20分間も息をこらえていることになる。それこそ死ぬような思いをしますよね。当然ながら、このような重症の睡眠時無呼吸症候群があると夜間中の不整脈、心筋梗塞、脳卒中、ひいては突然死のリスクが高まる。

 睡眠時無呼吸症候群のほかにも、さまざまな原因で睡眠中の突然死は訪れる。生命維持に欠かせない副腎機能が睡眠中に低下してしまう、神経疾患などが原因で声帯の筋肉が異常にけいれん、もしくは麻痺して気道が塞がって窒息する、などオソロシイ病気もある。

 睡眠中の突然死の多くは前兆がない。だからこそ突然死と呼ばれているわけだが、睡眠時無呼吸症候群については医療を受けることで突然死のリスクを減らすことができる。肥満や大きなイビキがある、高血圧や狭心症などの持病がある、朝方に息苦しさや動悸で目覚めることがある、夕方よりも朝の方が血圧が高い、などの症状がある人は専門医に相談することを強くお薦めしたい。

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最終更新:9/15(木) 7:40

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